第44話 山本五郎左衛門を配下に

 地下に降りるとマリンの情報通り三目入道が行く手を塞いだ。

「我はイノマ!妖怪の大女王なり!!妖怪魔王の封印を解く為に参った!押し通る!!」

 私は最大威圧を込めて三目入道に言った。


 私の威圧に負け姿が変わった、三目入道も正体はタヌキだった。

 後ろでマリンが米の俵と言うのか?藁で作った大きな包みを貰ってる。

 あの包みが米60㎏か、あれだけで河原の全員に腹一杯カレェゾ食わせてやれる。


 気が緩んだ?『ポンポコドコドン』と聞こえた様な、聞こえた方向に最大威圧を送ると、音は聞こえなくなった。

 威圧は疲れるが、耳栓してるよりダンジョン内を進み易い。


 三目入道も邪魔をしなくなり、私達は階段を降りた。

(いよいよ、サンモトゴロウザエモンとご対面か)


 三目小僧より小さい小僧が現れた。

「お前が高坊主か?」

 高坊主は無言で、巨大になり踏み潰そうとして来た。


 ※高坊主たかぼうず高入道たかにゅうどう見越し入道みこしにゅうどうと同じで、遭遇すると見上げる程巨大になる妖怪で、タヌキやキツネ、カワウソが化けた物と言われている。


 私は再び最大威圧を込めて。

「我はイノマ!妖怪の大女王なり!!妖怪魔王の封印を解く為に参った!邪魔は不要!押し通る!!」

 高坊主も私の威圧で、タヌキに姿が変わった。


 邪魔が無くなり、私達は奥に進んだ。

 ダンジョン最奥突き当たりの壁に、青白く光る大玉が埋って居た。


「さて、どう声掛けするか?」


『そこな現れし、人外の気を放出せし一行、妖怪の大女王イノマ殿、我は百鬼夜行の総大将、妖怪魔王成り!!我の封印を解く成れば、我は妖怪大女王イノマ殿の配下に成るもやぶさかで無し!』


 よし!遣るぞ!!


「我が名は妖怪大女王、イノマ・コウシン成り!サンモトゴロウザエモン!真名契約を結ばん!!」


『妖怪大女王イノマ・コウシン、侮って居った!我が真名を知って居ったとは!!我の封印を解きしイノマ・コウシン様!我を配下の一員に受け入れたまえ!!』


 封印玉が弾け跳び、まげがほどけ残バラ髪の鎧武者が現れ、私の前に片膝ついて頭を下げている。

「サンモトゴロウザエモン、配下として以後魔王と呼ぶ」

「配下の許し有り難き幸せ!許されるなら、我はエモンと呼ばれたし!」

「エモンと呼ぶ」

 私がエモンと呼ぶと、オドロオドロした容姿のサンモトゴロウザエモンは、おかっぱの童『座敷わらし』に姿を変えた。


「イノマ様、大女王一行に相応しい姿と我は思うが、如何に?」

「あぁ可愛くなって私の一行に参加しても違和感の無い姿になった」

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