第50話 山本五郎左衛門情報【2】

「イノマ様、お待たせしましたぁ」

 随分時間を掛けて、マリンがやっと出て来た。

「マリン、有力な情報が有ったか?」

「このダンジョンは、3階層になって居ました、高難易度ダンジョンと同じ階層です」

「ふむ!」


「それでね!入って直ぐは三尾キツネでショウガを貰いました、下に降りると五尾のキツネが下ろし金をくれたの!この下ろし金でヤム芋やショウガをすり下ろせるの!最下層は『玉藻御前たまもごぜん』って名の九尾のキツネで、油揚げを貰ったの!!火で炙って下ろしショウガとショイで食べたら凄く美味しいそうよ!!」


 マリンはこんな食いしん坊キャラだったか?

「・・・九尾のキツネは強そうだったか?」

「玉藻御前はサンモトゴロウザエモン様の側近って言ってました」

「そうか有意義な情報・・・!!サンモトゴロウザエモンだぁ?それが妖怪魔王の名か!!」

「玉藻御前さん『我らわは綺麗か?』って怖い顔で言うの、私が強そうだけど、見た事が無いくらい綺麗!!て答えたらニコニコ笑顔で、色んな事教えてくれたの」


 予想もしなかった、妖怪魔王の真名を聞いて来た!マリンが余程聞き上手なのか、玉藻御前が抜けてるのか?有り得ない幸運だ!!

「九尾のキツネは他に何か言ってたか?」


「え~とね、サンモトゴロウザエモンさんは、イバラギドウジやシュテンドウジって妖怪大将を子分にして、妖怪の総大将になったそう、総大将になって異界渡りが出来る様になって、この世界に来たって」


 うん!これはマリンが聞き上手だったのと、玉藻御前と相性が良かったのだろう、物凄く重要な情報だぞ!!

「異界渡りと言うと、サンモトゴロウザエモンは他者を連れて、異世界を行ったり来たり出来るのか?」


「そう、配下を引き連れ異界渡りしてきたら、神に封印されたって言ってたよ」

 古代神がどれ程の力の神か不明だが、封印されたくらいだから異世界の妖怪総大将の、サンモトゴロウザエモンの能力が神より劣って居たと言う事だろう。


「勝算は私達に有る!!妖怪魔王サンモトゴロウザエモンと真名契約に行くよ!!」

 全員がうなずいてくれた。




 一俵ダンジョンは意外に近くにあった。

 ダンジョンに入ると情報通り、ハゲ頭三目の小男が現れた。

「我はイノマ!妖怪の大女王で有る!妖怪魔王の封印を解く為に参った!邪魔は不要!押し通る!!」


 三目小僧は私の威圧で姿がタヌキに変わった。

「三目小僧はタヌキが化けて居ったか!」

 正体を暴かれた三目小僧は、大人しく道を空けた。

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