第37話 ミーソ、ンコ料理

 ダンジョンから持って帰ったショイ、塩の代わりとピーターが言ってたので、焼き肉にポテポテ垂らしてみたが、とんでもなく旨そうな匂いが辺りに漂い、腹ペコ妖怪が押し寄せて来た。


「イノマ大女王!何と旨そうな匂いがする料理!それは何じゃ!」

「オボノヤス女王の住む北の山脈、大滝が有るでしょ?そこの裏がダンジョンになっていて、地下の犬面人と言う妖怪を倒せば、ショイと言う調味料を落とす、その調味料を使った」


「なな、何と!あの気持ち悪いホコラに、その様な物が有ったのか!!これは何としても、調味料採取に行かねば!」


 問題は人面犬のンコだ!!

 ピーターはミーソと言ったが、ンコ以外に見えん奇っ怪な調味料だ。

 未消化の豆つぶまで見える、スライムの私は全く気にしない、調味料なら料理を旨くするため使いたいが、人間だったイノマの記憶が拒否する。


「こんなの何に使えば良い?」

 悩んだすえ、塩味ダンゴ汁に少し入れてみた。

「見た目はンコだが、匂いは臭く無い」

 味見も勇気が居るぞ。


 あれ?・・・旨い、かな?

 味わった事の無い味だが、不味くは無いどちらかと言えば旨い?かな?



 ショイ焼き肉と同じく、腹ペコ妖怪が忘れ去った遥かな昔を思い出す?郷愁?妖怪のソウルフード?妖怪達の琴線に触れた様で、大盛況の試食会になったが、私は旨いと思えない工夫が必要!


 オボノヤスのお膝元に有るダンジョン、今まで見向きされなかった『置いてけダンジョン』が脚光を浴びた一件だった。




「イノマ様、無数にあるダンジョン探索が急がれます」

「そうじゃぞ!ショイとミーソは、我らわ達で採取するゆえ、他のダンジョン調査を急いで欲しいぞ、もっと旨くなる調味料希望じゃ!」


(私はショイ焼き肉は旨いと思ったが、ミーソのダンゴ汁は普通?特別旨いとは思わんかった。なら焼き肉に使う?)


 肉が焼けた所にミーソを少し塗り、火で炙る!これも物凄く旨そうな匂いを撒き散らす!

「これは旨い!」


 見ていたオボノヤス達に、全てかっさらわれた。

 ミーソもショイも全て使いきるまで、料理を止めさせてくれない。


 綺麗に全て使いきり、何も残って居ない。

 残ったのは、食べられない宝石だけで、宝石に価値を見出ださない妖怪達だった。

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