第36話 『置いてけダンジョン』

 人面犬に階段まで案内して貰い、下に降りると。

「バカ、バ~カ!俺達人面犬に勝てても、犬面人には勝てんぞ~」

 上で何か吠えてる、見上げたが逃げ足は超速かった。


「検便人?うんこ調べる人?」

「ゴラア!犬面人だ!んこ調べに勝手に変えるな!!」


 ※犬面人は犬と顔を取り替えた怪人です。昔、犬面人の話を聞いて、作者が一番に思った事、低俗な話でご免なさい( ´_ゝ`)ゞ



 襲って来た犬面人、丁度胃袋辺りに頭突きを噛ます形に成った。

 ゲロ吐きながら検便じゃ無かった、犬面人は苦し気にして居たが、やがて血ヘドを吐いて息絶えた。

「可哀想な事したな、攻撃じゃ無くて頭が当たっただけで死んじゃうとは」


 犬面人の死骸は、ゆっくりダンジョンに吸収されて、後には壷が一つ転がってた。

 蓋を開けると、中は黒い液体で嫌な匂いでは無いが、いだ事の無い匂いがした。

「ピーター、これ何だろ?」

「古代でショイと呼ばれていた、豆を発酵させた調味料です」


「へ~え、調味料?どうやって使う」

「塩の代わりに使ったそうですが、記録のみで龍神世界にも伝わって居ない、失われた古代の調味料です」

 失われた古代の調味料か、試しに料理に使うにしても、もう少し量が無いと、可哀想だが犬面人もう少し狩るかな。


「こう成ると、人面犬は何を落とすか気になる」

「チョッと戻って倒して来ます」

「帰りで良いだろ、下に降りて何が出るか調査が先だ」


 ことわりが違っても、ダンジョン構造は分かる様で、ピーターは迷いなく階段を見付けた。

 途中二人犬面人を見付け、逃げ出そうとした犬面人を狩って、ショイの壷を収納して置いた。


「箱が有るだけで、何も出て来んな」

 ゴン子が箱を開け、取り出した物を持って来た。

「ピーターこれ宝石?」

「龍神も大好き、ダイヤモンドと言う価値有る宝石です」


「そうか!他の箱も開けて調べるか」

 ダイヤモンドにルビー、サファイア等の宝石が、全ての箱に入って居た。


 階段が無くて、ここがダンジョン最下層のようだ、他のダンジョンに行くため階段を昇ろうとすると❮置いてけ~❯

「誰か何か言ったか?」

「主様、ダンジョンの問い掛けです」


「人面犬と犬面人のダンジョン何か用か?」

 私の問いに答えは無かった。


 階段を昇ろうとすると❮置いてけ~❯

「何を置いて行けば良い?」

 又々返答は無い。

「無視して帰るぞ」

 私達は階段を昇った。


 昇った途端手に持ったダイヤモンドが消えた。

 他の皆も持ってた宝石が全て消えた。


 人面犬の階まで、犬面人が全く出ない。

「侵略者出て行け!」

「こいつらとは、会話が成り立たん、何が出るか一匹倒してみて」

「侵略者出て行け」しか言わなくなった人面犬の頭をゴン子が叩いた。

 ショイと同じ様な壷が残った。

「わっ!人面犬のンコだ!」

「ゴン子さん、違います、これも失われた調味料ミーソですよ」

 持つのも嫌なアイテムだ。


 ダンジョンを出て気付いたが、収納の腕輪に入れた宝石とショイの壷は消えてなかった。


『置いてけダンジョン』と命名、手に入れたアイテムは収納の腕輪に必ず入れて、消されない様気を付ければ美味しいダンジョンだった。

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