第35話 美味は世界を救う?

 この大陸の住民達、調理の概念が無かったようで、噂を聞き付け多くの種族が調査名目でイノマ王国にやって来た。


「大王様北山の『オボノヤス』と『大多鬼丸』がやって来ました」

「大王様南山の『キムナイム』がやって来ました」


 ※余談入れます。

 オボノヤス?キムナイム?何じゃそれは?

 って初めて聞く方が多いと思います。


『キムナイム』はアイヌに伝わる妖怪?キムンアイヌ(山にいる神)の事で、力が強く高速で走り、クマでも何でも追いかけて手掴みにして殺すがタバコ好きで煙管きせるで吸う刻みタバコを一摘まみ与えると、重い荷物を軽くしてくれる、外見はハゲ頭の普通の人に見える。


『オボノヤス』『大多鬼丸』は福島県に伝わる妖怪で、どちらも山の中霧で人を遭難させる以外伝わって居ません、容姿も不明の妖怪なので、拙作ではオボノヤスは小角の見目麗しい女性、大多鬼丸は従者としました。


 ※余談の余談、初の登場福島県の紹介。

 北海道、岩手県に次ぐ全国3位の、広い面積の県って意外に知られて居ません。




「イノマ女王、儂は世界統一を目指して居った、北山脈も南山脈も遠征は遣った、じゃが北山脈は霧に覆われて居って踏み入る事が出来んかった!南山脈のキムナイムには完敗し逃げ帰った・・・」


「イノマ女王様、らわは北山脈の女王オボノヤスじゃ!キジムナーのキジに聞いた!剛の者を引き連れ、この混沌世界を平和な世界に改革する者と、兎も角その旨そうなものを食わしてたもれ」


「イノマ女王様、われは南山脈の王キムナイムで有る!我もキジムナーのキジから聞いた!剛の者を引き連れ遥か北の国からやって来て、混沌大陸の平定を目的として活動していると、旨そうなものを食いながら話を聞きたい」




 北山脈の女王オボノヤスに、南山脈のキムナイムも、理由を付けて旨い物に釣られてやって来た、と言う感じ付き人達が料理指導を受けて居る間、散々飲み食いして居ました。

 大多鬼丸は、オボノヤスに料理の完全習得を命じられて居たそうで、必死さが半端で無かったそうです。


 オボノヤス女王もキムナイム王も、旨い料理を広める私の配下になって楽がしたいと、初めから決めて来た様です。


 美食は偉大です結局、美味は世界を救いました。

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