第34話 ダメ押し胃袋を掴む

 ゴン子は元ゴブリンなのに私直伝で料理が上手、ダンジョン妖精のスミレが出した風呂桶の様な大ナベ2つで馬鹿うましかのモツを煮込んでる、2つの大ナベでは頭肉に筋肉を煮込みながら、アキナやコズミに指示して骨付きリブ肉にばら肉を焼かせてる。


 生肉に抵抗の無い私にスミレは、大量の肝を薄切りにして、ニンニク塩ダレに合えている。

「美味しい!」

 味見したが、ダンジョン妖精ピーターの血抜きの成果か、全く生臭く無くとろける様に旨い。


 煮込み料理は時間が掛かる、待ちきれない様子の入道に悪鬼達、それにメドツ達に肝のニンニク塩ダレ合えを先に喰わせた。

 馬鹿うましか10頭分の大量の肝が、アッと言う間に完食された。

「旨い!!」「これは凄い!」「肝がこんなに旨い物とは知らなんだ!」

 好評なのは良いが、私味見したものしか食べれてないよ。



 肉が上手いタイミングで焼けた、焼き肉コーナーに全員を移した。

「あれ?悪鬼30人も居る?」

 入道は20人の悪鬼を潜ませていたようだ。


 メドツの300人は、食べる量はたかが知れてるが悪鬼は2㍍の巨体だ、30人がメドツ100人分は肉を喰う。


「ゴン子、煮物はまだ出来んか?」

「イノマ、モツ煮込みは出来た!カレェゾはもう少し煮込まないと筋肉が固い!」

『カレェゾ』はボツラ町、今はコウシン町の香辛料ダンジョンから出る香辛料を全て使い、ハンエイ公爵様の要望で私が考案した料理だ。

 カンゲイ神と対当契約された、イリス大王様が作った『カレー』に似てると言われガッカリしたが楽しい思い出だ、あの頃は私がスライムとは知らず領地持ち貴族を夢見て幸せだった。


「イノマ大王様!料理と言うものは素晴らしい!メドツに指導して下さい!」

「イノマ大王、悪鬼にも料理指導して下され!こんな旨い物があるとは!料理で世界統一出来ますぞ!」


「料理とは、こんな物では無いぞ!モツ煮込みを食ってみろ!旨さに意識が飛ぶぞ!!」

 私の言葉に皆がゾロゾロ煮込みナベの方に移動してる。


 一つ目入道は、ドンブリからモツ煮込みを飲むように、一気に口に入れた。

「旨い!!何だこれは!馬鹿うましかのハラワタだな?」

「おい!熱く無いのか?」

「儂は不死身!これくらい何とも無いぞ!」

 入道を真似した悪鬼どもは、熱さに目を白黒してる。


 観察してたメドツ達は、息を吹き掛け冷まして食べた。

「美味しい!!これが馬鹿うましかのハラワタ?信じられん位美味しい!!」

 四天王最強らしいカナツにも好評だった。


 私は最後の最強料理『カレェゾ』のナベを確認した。

「筋肉は少し固いが香辛料入れて、香りテロを始めろ」

「ん!仕上げやる!」

 香辛料の香りが辺りに漂い、匂いに釣られふらふら皆が近付いて来た。

 お米も炊き上がってる。

 カレェゾにとろみが入り完成したようだ。


「モツ煮込み食い終った者!空のドンブリ持って集合!!」

 入道がモツ煮込みの残りを飲み込み、空のドンブリを持って一番乗りだ。

 ドンブリに飯をついで。

「カレェゾを掛けてもらえ!」

 ゴン子がカレェゾを掛けて、木のしゃくしを渡してる。

 入道は、カレェゾもガブガブ飲み込んだ。


 ※カレーは飲み物って有名な言葉、最初に言ったのはタモリさんってのは、案外知られていない。


「これは何だ?癖になる旨さだ!!」

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