第32話 メドツがへこへこ謝った

 私の怒りの気に触れて、リュウキはヘナヘナ経たり込んだ。


「イ、イノマ女王様!怒りを納めて下さい!!イノマ女王様の怒気でメドツが皆気絶して居ります!」


 言われて辺りを見ると、試合を観戦していたメドツ達が倒れている。

 四天王と言ったおばさん達、気絶はして居ないが腰がふらつき立って居られない様子、いざり寄って懇願してる。


「このバカ女王は引退させ、イノマ様が今を持ってメドツの女王様で御座います!!」

「こら!イノマ女王様に頭を下げんか!我らの神聖な戦いに泥を塗りおって!クソリュウキめ!」

「そうじゃな!神聖なスモウ勝負に、有っては成らん不正を行った…元女王でも追放が妥当じゃ!」

「我は、ひ弱なはずのアイヌソッキに一方的敗北をきした、イノマ女王様の一族は信じられん剛の者揃い!我らメドツを導いて貰えたなら、メドツの未来は明るい希望に満ちたものになる!」


「私がメドツの女王ってのは確定?私スライムでメドツじゃ無いよ?」


「そんな些細なことは、問題にならん!平和に正しく、繁栄に導いてくれる者が女王に相応しい」

「我らはその排他的無能女王の代になって、衰退するばかりで一族もここに居る者で全員、僅か300人程になってしまった」


「イノマ女王様!異種族が王や女王になるのは珍しい事では有りません」

「悪鬼の王も異種族ですぞ」

 私が四天王に確認してるのに、誰か割り込んで来た。


馬鹿うましかの死骸が1頭も無い、原因は怒気を振り撒いていた貴様か!」

 私の身長の倍以上の大男が私達の会話の邪魔をする。

「今大切な話をしている!詰まらん言い掛かりなら後にしてくれ」

「チビッ子!生意気な口をききおって、儂は悪鬼の大王入道だ!」


 悪鬼の入道大王と名乗る男は、身長3㍍頭髪の無い巨大な頭には目が一つだった。

「私はメドツの女王イノマ、喧嘩を売るなら買ってやるぞ!ハゲの一つ目」


「ハゲの一つ目だと!!生意気なチビッ子!儂は『一つ目入道』だ!捻り潰してやる!!」


 ※余談を入れます。

『一つ目入道』は佐渡島の加茂湖かもこに住むと伝わる妖怪です。

 一目入道いちもくにゅうどうと読ます書物も有りますが、もっとも古い文献『伝説の越後と佐渡』に一つ目入道ひとつめにゅうどうと紹介されて居ます。

 サイクロプスと思って下さい。

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