第31話 メドツとの勝負!

 海岸の砂浜の様な川原に到着した。

 収納の腕輪内部は時間停止状態、馬鹿うましかの劣化は収納している限り起こらない。


「主様が収納してる馬鹿うましか出して」

 砂浜の波打ち際に出すと、ピーターはたる形状の装置を取り出し、たるから伸びた管を馬鹿うましかの首に差し込み反対の首を切った。

「首の血管に生理食塩水を注入します、反対側の切った血管から血が抜け出ます」

 血管と言うのは血の管の事だろうが、説明されても意味が分からん、逆さ吊りにして血抜きした方が早く済みそうだが、こんな手間を掛ける意味を説明して欲しいぞ。

「ピーター逆さ吊り血抜きした方が早く済むぞ」

「この方法の血抜きは肉の旨さに差が出ます」


「川を汚すのは誰じゃ!へ小玉抜いてやろうか!」

 濡れた長い黒髪を身体に纏い付けた、迫力のある美女が怒鳴って来た。

 キジムナーのキジが言ってたメドツのようだ。

「メドツの族長どの、馬鹿うましかの死骸の処理を早くせねば食べれない肉になる、メドツ族にもご馳走するので許して欲しい」

「馳走とな?我らわは、メドツの女王リュウキじゃ!川を利用する権利を賭け勝負せよ!勝てば全て許すがお主達が負けたなら、へ小玉抜いて川に流す!」


 リュウキが勝負に選んだのは、私にゴン子、マリン、アキナ、コズミの5人で最後にリュウキと私が戦うと決まった。


 リュウキは砂浜に丸く円を書き「この輪から押し出されたら負け、砂に手を付いたり投げられても負け」

 リュウキは綺麗なお姉さんだが、4人のメドツはゴツい体格のおばさんが選ばれた。

「「「「我らメドツ四天王!!」」」」

 初めは、コズミと四天王と言ったおばさんの勝負、コズミが張り手一発、ゴツいおばさんは輪の外に吹き飛んだ。

 一瞬で勝負が決まった。

「ヨワツは四天王最弱、我ヘナツは簡単には負けんぞ!」

 選ばれたのはアキナ、2回戦の始まり。


 アキナは、押し出そうとしたヘナツの腕を掴み振り回し、砂浜に叩き付けた。

「ヨワツとヘナツはニ天王の補欠!我こそはニ天王筆頭チョイツである!ここから3連勝!ひ弱なアイヌソッキいざ勝負!!」


 チョイツはマリンがアイヌソッキと見抜いたようだ。

 3回戦の始まり。

 チョイツは迂闊に手を出さず、マリンに抱き付き動きを封じ込め作戦に出た。


 抱き付かれたマリンは踏ん張り、地を蹴って抱かれたまま飛び上がり重い方が下にあびせ倒しになった。

 小柄なマリンはチョイツの上、手も身体も砂に着いて居ない。

 誰が見てもマリンの勝利だが、リュウキの判定は引き分け?


「そう言う汚い判定するなら、もう容赦せん!ゴン子!吹っ飛ばせ!!」

 名乗りを上げようとした、一番ゴツい体格のおばさんをゴン子は頭上高く持ち上げ、砂浜に叩き付けた。

「勝負始めの合図まえの事、勝敗は無効!反則行為と見なす!1勝2敗1引き分け、最後に我らわが勝てば引き分け、代表者の再戦になる!」


「頭に来た!ここまでふざけた事をほざいて、リュウキとやら死を覚悟せよ!!私はイノマクランの統帥、スライムのイノマ」



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