第22話 キジムナー族

「おろっ?儂達に気付くとは、お主只者ではないな!」

 一見では、真っ赤な長髪の3人の子供に見える、その一人が老人の様な声を出した。

「主様、人に気付かれず集団に紛れ込むキジムナーの家族です、魚の目玉を食べさせると満足して消えます」

「そちらのご仁は儂達を知って居るようじゃな、儂はキジムナーのキジ、息子のジムに妻のムナ。好物を食して気分が良い!お主達は北の島の戦好いくさずききのサルとは別種族と見えるので、情報を与える」


 戦好きのサルとは人間の事だろう、ゴン子が言うにはゴブリン達は人の事サルと呼んでた。

「この辺りはキジムナーの領地じゃが、東の外れは悪鬼の世界」

「悪鬼とは?」

「黒い性悪の鬼じゃ」

「主様、オーガです」

「一部の者、メドツなどはオーガと呼ぶ」

「メドツ?」


 ※又々余談です。

 キジムナーは沖縄諸島に伝わる古木の精霊で、「体中が真っ赤な子ども」あるいは「赤髪の子ども」または「赤い顔の子ども」の姿をしている、座敷わらしに近い存在です。

 メドツ(メドチ)は青森県に伝わる河童の一種です。

 メドツのメドは(穴)ケツメド(尻の穴)肛門の事ですが、語源は気にしないで下さい。

 マリンの種族アイヌソッキは、アイヌに伝わる人魚の一種です。



「メドツはそこのアイヌソッキと同じ、女のみの種族。アイヌソッキは海に住むが、メドツは川に住む」

「メドツも人魚か?」

「いや、背中に甲羅は有るが美しい容姿をした女性じゃ」

「女性と言っても人では無いな」

「メドツ族と言って居ろう!サルと一緒にするな!西に行けば分からんが、この近辺にサルの様な狂暴な者は居らんぞ!」


「人に嫌悪感を持っているようだが、人が居るのか?」

「大陸西の外れは誰も行った事が無い未開の地、そこにはサルが居るかも知れん、では帰るとするか、また魚の目玉食わせてくれ」

「もう1つ教えてくれ、魚は旨いが肉も食いたい肉が旨い獣は居るか?」


「ここから西は儂らキジムナーの国、東は悪鬼の国じゃが、南に行けば大川に突き当たるその川にメドツ族が住んで居るが、そこまでの間に馬鹿うましかと言う獣が居る、バカ過ぎて呼吸を忘れて死ぬ奴が結構居てその死骸は食って良い事になって居る、見ておると突然倒れる馬鹿が必ず居る」



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