第20話 ゴン子何処へ行く?

 アイヌソッキの村民が、全員子供になってこっちを見てる。

 私が不可思議な方法で、マリンに力を授けたとアイヌソッキ達は思ったようだ。


 面倒なので自在車4台に分乗、アイヌソッキの村を出る事にした。

 私とマリン、ピーターとゴン子、スミレとニコ、アキナにコズミの4台、私が先頭車を操縦して樹海を飛び越え、シバレル連邦を見聞する予定だ。


 樹海の外れが見えたころ、突然ピーターの自在車が左に回り南に向けて飛んで行った。

「ピーター!どうした?」

《僕の操縦じゃ無い、ゴン子の操縦です!》

「ゴン子!どうした?何処へ行く?」

《イノマ、こっちが気になる!着いて来て》


「気になるって、勝手な行動は皆の迷惑になるよ」

《イノマ、皆ゴメン確認…気になる事確認させて!》


 元シタエズ王国を抜けゲロ公爵じゃ無い、エズキ公爵領を抜けた。

 ゴン子は海岸を更に海に向かい、南下してる。


「ゴン子?海に出たぞ、何も無い海だ」

《イノマ、もう少しで着く》

(もう少しで着く?ゴン子はこの先に何が有るのか分かってる?)

「マリン、初飛行が訳の分からん事になって、驚いているだろう」

「いえ、ワクワクしてます!」

 マリンもコズミと同じ冒険者向きの、いい性格をしてる。


 カンゲイ神の気紛れで、イノマがスライムの時運を最大に上げた。

 スライムよりゴブリンの方が運を上げ易かったようで、ゴン子の運はイノマより高くなって居て、人に魔物全ての生物中最高値になっていた。


 最高値の運にみちびかれ、ゴン子は自在車を操り海上を南に向けて突き進む。



 ※また余談です。

 たった一つでも、干潮と満潮凄まじい影響を海に与えて居る月ですが、この世界には夜空に浮かぶ大小3つの月があります。

 3個の月が各々それぞれ海水を引っ張り、潮流は複雑気儘に流れ航海を不可能にしています。

 複雑な潮流が、航海技術未発達の理由で、海岸から見えない沖合にある島なども全く知られて居ません。

 有視界に島が点在する、東列島王国のみが例外です。



「イノマ様!この方向は、多分暑い世界が有ります」

「暑い世界?」

「暑くて、変な生き物が一杯居て密林しか無い広い世界、密林と言っても物を売っては居ませんが」


「ゴン子、大陸が有るのか?」


《イノマ見えた!凄いでしょ》

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