第26話 ゴブリンのゴン子

 ゴブリンの珍しいメス、ゴン子の事を少し紹介。


 イノマクランを立ち上げ、ギルド依頼でナマカゼ町の高難易度ダンジョン調査に向かう途中の事だった。

 ナマカゼ町ダンジョンは、ベルタ型オリジナル妖精ピーターが居た所だ。


 二台のソリに分乗して街道を走行中。


「この辺り以前は、盗賊が頻繁に出没してたそうね」

「あれ?あれは……人が倒れてる!」

 前方を見ていたシノブが何か見付けたようだが、生憎私達にはまだ見えて居ないが速度は落とした。


 間隔は詰まったが、後続のモノ達も速度を落とし、付いて来る。

「前方に人が倒れているそうよ!」

 コノハが後続のソリに向かって叫んだ。

 聞こえたようで、モノが手を挙げてる。


 暫く徐行し前方に人らしき物が倒れているのを確認した。

 速度を一段と落とし、注意しながら進む、もし襲撃があるとすれば、右手の森からだ。

 倒れて居るのは小柄な者、子供か女性と思われる。

 3メートル手前で停止、注意しながら近付いた。


 乱杭歯らんぐいば細いあごに太い歯がいびつに生えた、醜悪な顔がニヤリと笑って錆びたナイフを突き出した。

 私は瞬間頭を蹴り飛ばし相手を昏倒させて、辺りを見回す!

「こいつはゴブリンだ!」

 私の反応で、手筈てはずが狂ったようだ、潜んでいた多数のゴブリンは襲撃して来ない。


 クランの全員が駆け寄って来て、剣を抜き構えた。

 衣服を着用、人に化けておとりになる、ゴブリンと思えない知恵を付けた魔物に興味が湧き、拘束し一個だけ持ってたメイが着けてた奴隷の首輪を装着させた。

 ゴブリンに奴隷の首輪が効果のある物か不明だが、知恵を付けたゴブリンは興味を引かれる。


 気付いたようだ。

﹝ギギッ?オデボ、ドボヅル、ヅボリダ﹞

「ん?『俺をどうするつもりだ』って言った?」

﹝オデバ、ザルゴボ、リカイズル﹞

「サル語?」

﹝オバエダヂノゴドダ﹞

「私達は人間よ」

﹝オデダヂバ、ザルド、イッデル﹞

「命令する!私はお前のご主人様だ!言ってみろ!」

﹝ギギッ…ゴジュジンザバ﹞

「ん?今一だな?イノマ様と言ってみろ!」

﹝イノバザバ﹞

「ん~ん、ま、こんな物かゴブリンと本気で会話出来るとは…お前をゴンと命名ずる、じゃ無い!する!」

「オデバ、ゴン」


 ゴブリンがなぜか使役出来た。


「リーダー?それどうするの?」

「何か使役出来た」

「会話してたの見てた、ゴブリンなんか使役して、何かの役に立つ?」

「銅貨5枚より役に立つっしょ!」

 コノハはゴンを魔石と比較してる。

 話すと、ゴンは結構可愛いが…この醜悪な顔、もう少し愛嬌が有ればよくあるペット枠で通用するのだが。

⦅ふむ、使い途か⦆

「ゴンは矢を射る事は出来るか?」

﹝オデ、アージャーナイ﹞


「イノマ?森に放してやった方が…」

「モノ!使役したの!!私が飼うの!」

⦅仔猫拾って来た子供かよ!イノマは子供だった…こう言う時年齢が出るな。ま、良いか、役には立たんでも害は無いか⦆


 公爵様に平兵士に格下げされた所をシノブが救った騎士達は、シノブが決めたなら決定に従う。

 反対無し、全員がゴンを仲間に受け入れた。


 こんな感じでゴブリンのゴン子が仲間になり、魔道具ダンジョンで契約したピーターが少女の姿に変えた。

 イメージし易く容姿を説明すると、青白く顔色の悪いエルフの子供で分かるかな?

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