どのようにして皆死んだか
生まれる、彼女が何かしたのではという疑惑。
しかし
「ヴィーオが優しい心の持ち主なのは、オレたちが一番知っている」
「後遺症っていうか。弱りきっちゃってたのよ」
仲間の信頼は変わらず、行く先々での悪意から彼女を守った。
その矢先、仲間の戦士が亡くなった。
死因は寿命としか言いようがなかった。
ついこのまえ
「30までに嫁さんもらう計画が……」
などと笑っていたのに。
「誰より勇敢な男だった。勇者より勇気のある」
「ヴィーリャ。頼める?」
「はい」
仲間の死によって動揺していた少女。僧侶として初めてしっかり向き合った時。
初めて気付いた。
「光が、ない……?」
瞬間、彼女は全てを察した。
光は人の持つ『魂』そのもので。『呪い』はそれを直接
そして、
癒すために光の大部分を。モヤごと切り離し、打ち砕いていた自分は
「あ、あ、ああぁぁ……!」
「ヴィーオ!?」
「大丈夫!?」
「ああぁ……! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
彼女はひたすら泣きじゃくったが、尽きた命は帰らなかった。
削った時間も戻らなかった。
少女が事実を話しても、二人は彼女を責めなかった。
「だとしてもヴィーオは悪くない」
「そうよ。治してくれなきゃ、どのみち旅は続かなかったわ。森の中で動けなくなって、もっと早くに」
「だから大丈夫だ。それより旅を始めてから年単位過ぎている。急がないとだ」
優しさに心底救われ、心底痛かった。
その後も彼らは変わらず少女を守った。時には『呪い』を解いてほしがる者からも。
「ヴィーリャ、あなたはかわいい私の妹……」
数ヶ月後には魔法使いが死んだ。
「ヴィーオ……ヴィオレッタ……。オレたちの大切な仲間……高潔なる守護聖女……」
「『聖女』? こんな、私が?」
「そう。オレたちの愛する、守護聖女……」
勇者の死からはもうすぐ一年、といったところらしい。
この日少女は、『呪殺聖女』という十字架と絆を背負った。
「大体こんなものですかね」
ヴィオレッタは笑った。
「だから私、『呪殺聖女』なんです」
静かにしっとり、慈しむような微笑み。
私は幼い頭で必死に言葉を探した。
「そんな、ただ、みんなを助けたかっただけなのに」
「えぇ、でも。思うだけではならないのが運命というものです」
「でっ、でもっ!」
あぁ、今思えば、この時私は泣いていた。
「あなたはやっぱり聖女です! 立派な聖女です! みんなが認めたとおりの、素敵な!」
「ありがとう。でも本当はね? 『聖女』なんて自分だけ清らかそうなものより。みんなを救い、幸せを振り撒けるような」
対する彼女は、寂しく乾いた
「私、天使になりたかったのよね」
微笑みを浮かべた。
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