003

「後日から交流会の頻度を上げるそうだ」


 つい先日、父からそんな宣告があった。なんで週一になったの。今まで通り月一でいいじゃない。私に相談もなく、決定されてるとか不愉快極まりないんだけど。それに私、週一で付き合えるほど時間の使い方が上手いわけでもないし、暇ではない。いくら我がジェラルディエール家の領地が近いとはいえ、行ったり来たりはやはりしんどい。むしろ、その分時間が削られるから最悪。さらに社交の時期じゃないから、王都の屋敷には最低限の管理できる程度の人数しか置いていない。つまり、彼らに負担を強いてしまうということ。勿論、人材を増やすことはできるだろう。けれど、そこには費用がかかってくるということ。つまり、使いところにお金が使えなくなってしまうということ。

 じゃあ、最初から王都にいればいいと向こうからしたらなるかもしれないけど。そういうことじゃない。領地で進めていることもあるし、王都にしては進めることができないことも多い。それにまだ王子妃教育が始まってないのだから、王都にいるだけ無駄なのだ。

 やりたいこと、進めたいことをある程度に私は王都へと出発した。馬車の中で愚痴を零しつつ、戻ったらすぐに事が進められるようにできることをやっていく。新しい計画書も用意しておこう。

 数ヶ所の街を経由して到着した王都で私はすぐにお茶会の準備に追われた。旅でクタクタに疲れているというのに体をしっかりと磨かれる。それから、いつものように髪を巻き、化粧が施される。


「この化粧、嫌いなのよね」


 そう鏡の中の私が零すのはいつも私に施される化粧のこと。思い出す前の私は殿下に少しでも少しでも好かれようと大人っぽい化粧をと当時の侍女にお願いしたのだ。それがどうしてあんなけば化粧などになるのか。まぁ、どうにも当時の侍女の嫌がらせだったようだけど。そんな侍女は今はいない。だから、ナチュラルメイクをしてもらうこともできるのだけど、私は婚約解消の目的ができたがため、そのままそのメイクを無理を言って続けてもらっていた。

 正直、肌にも悪そうだから早く普通のメイクができるようにしたい。まぁ、今でもお茶会から帰ったら速攻化粧を落としてるんだけど。


「お嬢様、ドレスはこちらでよろしいでしょうか」

「えぇそうね、ドレスはこれぐらい派手だったら、十分だわ」


 侍女たちが用意してくれたのはゴテゴテの装飾が施されたドレス。新しく侍女となったマチルドはすでに数度お茶会の準備を経験している。そのことから、メイクに合わせて嫌われそうな衣装を選んでくれる。かなり優秀な人よ。母には一昔の流行らしい化石のようなドレスを着て行くなんてと嘆かれた。気持ちはわかる。確かに重量もあるし、見た目的にもキツイ。でも、きっと解消には必要なことだから、母も我慢して欲しい。きっと解消されたら普通のドレスを着るはず。むしろ、着たい。だから、できる限り早く婚約解消してもらいところなんだけど。

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