第16話 ダンジョンボス2
無線通信の音声が流れる。
CPオペレーター:「Red-1より報告。2本目の脚部破壊に成功」
CPオフィサー:「Redチームよくやった。さすが特務部隊だな。引き続き攻撃を継続しろ」
Red-1(特務部隊リーダー):「了解した。攻撃を続行する」
CPオペレーター:「Green-1より警告。ゴーレムは巨体ゆえに動きがゆっくり見えるが端部は音速を超えると……」
CPオペレーター:「チームBlueより被害報告多数、位置情報確認、チームBlueとチームGreenが各ターゲットに詰め寄られています」
音声記録に悲鳴や絶叫が入る
CPオペレーター:「バイタルデータ確認。チームBlue 負傷者が3人……、5人」
Blue-1(一般兵リーダー):「オ、オペレーター。目標がこちらに近接っ!!」
Blue-3(一般兵)「逃げろ!逃げろ!」
音声記録に衝撃音や爆発音が入る
CPオペレーター:「死亡者が1、2、……3。ああ、あっアアア……。こ、このままでは壊滅して・・・・・・」
Blue-15(一般兵)「ギャアアアアア!」
Blue-9(一般兵):「く、くるなぁ、うあアアア」
Blue-7(一般兵):「にげろ、こんな奴に敵うわけ……がっぅあア」
CPオフィサー:「落ち着け、しっかりと状況を報告しろ」
Blue-12(一般兵):「ヒィィ、誰か助けてくれ」
Red-1(特務部隊リーダー):「Target-Redの足止めに成功したらすぐに救援に向かう。持ちこたえろ」
CPオフィサー:「ダメだRed-1。目の前のターゲットを確実に始末しろ。持ち場を勝手に離れるな」
Blue-3(一般兵):「今すぐ援護がこなければもたないぞっ、こちらの武装では逃げまわることしかできないんだ!」
Blue-9(一般兵):「もうダメだぁ、アアアあああアアアアアーーーー」
Blue-9(一般兵):「?……?……た、たすかった?」
Green-2(朝倉):「やれやれ。ずいぶん走らされたぜ。初期配置を間違えたんじゃねぇか?」
Green-1(黒瀬):「負傷者はあちらへ運んでください。ターゲットは我々が面倒を見ますので、あなた方は救助活動に専念して頂けますか」
CPオフィサー:「なにっ? どうなっている? 状況を報告しろ」
CPオペレーター:「位置情報を確認。えっと……Green-4が一人で……右側のゴーレムTarget-Greenを足止めしています……。Green-1~3がチームBlueの救援に駆け付けたようです」
司令部:「なっ? Green-4 がたった一人でっ? そんなことありえるはずが……」
Green-4(レネ・ハルター):「あはは。ハハハハハ。たのしい。ほらほら鬼さんこっちだよ~、ちゃんとおいかけてきてね~、ダメだよ見失っちゃ、アハハははは」
CPオペレーター:「Blue-1、Blue-1、応答してください。状況報告できますか?」
Blue-1(一般兵リーダー):「ああ、すまない。気を失っていたようだ。チームBlueは現在、退避中です。チームGreenに助けられました」
Blue-1(一般兵リーダー):「Green-1 一応礼を言っておく。ただし、過去の罪が消える訳ではないからな。殺された仲間の恨みが消えることはない」
Green-1(黒瀬):「承知しております。だた少し、言葉を付け加えることを許していただきたい」
Blue-1(一般兵リーダー):「なんだ、言ってみろ」
Green-1(黒瀬):「我々は一般兵に対して致命傷になるような攻撃はしておりません。もし死者が出たとするならば、適切な応急処置を受けれなかったか。あるいは……あえて見捨てられたかでしょう」
Blue-1(一般兵リーダー):「なにっ? どういう事だ、何を言い……」
CPオフィサー:「オペレーター、Greenチームの通信を遮断しろっ」
CPオペレーター:「それは……作戦行動に支障が……」
CPオフィサー:「かまわん、やれっ」
Blue-1(一般兵リーダー):「将官殿……」
CPオフィサー:「奴らの戯言に惑わされるな、作戦に集中しろ」
Blue-1(一般兵リーダー):「……了解しました」
CPオフィサー:「オペレーター、被害状況をまとめて、報告しろ」
CPオペレーター:「はいっ。被害報告、チームBlue死亡者数6、重傷者3、軽症者2名。負傷者は既に退避済み。戦闘継続中の隊員は15名中4名のみ。残り2名は負傷者の応急手当をしています」
CPオフィサー:「あの一瞬で半数以上がやられたのか、クソっ」
CPオペレーター:「ターゲット位置捕捉、3体ともほとんど動いていません。チームGreenの働きによって足止めは継続出来ています」
CPオペレーター:「あっ、いえ。足止めだけでなく、左側ゴーレムTarget-Blueの脚部破壊に成功したようです」
CPオフィサー:「なにっ!どうやってダメージを与えたんだ?」
CPオペレーター:「音声記録より分析。おそらく……石を割るのと同じ方法を使ったのでしょう。石目にそって複数の杭を打ち込むのと同じように、対物ライフルで精密射撃をしたようです」
CPオフィサー:「Blueチームにも手練れのスナイパーがいたのか?」
CPオペレーター:「いえ、チームGreenの冒険者に対物ライフルを貸与したようです」
CPオフィサー:「奴らに武器を貸しただと、許可した覚えはないぞ」
CPオペレーター:「現場判断かと……。現在、チームBlueとGreenは連携して攻撃をしています。彼らは亀裂を広げて対戦車榴弾をねじ込み、さらにそこに砲撃することで大ダメージを与えることに成功したようです」
CPオフィサー:「気にくわない奴らだが、口先だけではないという事か……。いやしかし、これは絶好のチャンスかもしれない。Green-4は今も一人でゴーレムの足止めをしているのか? それとRedチームの状況も再確認しろ」
CPオペレーター:「はい、現在Green-4のみでTarget-Greenを抑えています。Target-Redは、ほぼ活動停止状態まで追い込んでいます。あと少しで止めを刺せるかと」
CPオフィサー:「ならば、そいつはもう放っておくように伝えろ」
CPオペレーター:「それでは以前に出した命令と矛盾しますが」
CPオフィサー:「構わん、状況は変化しているんだ。Red-1を秘匿回線で呼び出せ。作戦プランを変更。オペレーション・ラストホープを実行するように伝えろ」
CPオペレーター:「了解しました。Red-1を秘匿回線で呼び出し、作戦変更を伝えます」
◆◇◆◇◆
CPオフィサー:「オペレーション・ラストホープの結果はどうなった?」
CPオペレーター:「はいGreen-4のバイタルデータを確認。死亡確定です」
CPオフィサー:「本当に間違いないか?」
CPオペレーター:「はい、Red-1にも再確認しました、間違いありません。Green-4に対してゴーレムごとNLAW(携行式対戦車ミサイル)の集中攻撃を浴びせました。Green-4は確実に爆殺しました。死体も残っていないそうです」
CPオフィサー:「よくやった。あれの始末が一番厄介だったからな。Redチームはそのまま作戦を続行させろ」
CPオペレーター:「本当によろしいのですか? 一般兵も巻き込みますが……」
CPオフィサー:「かまわん。まとめて始末しろ」
CPオペレーター:「報告、Target-Greenの位置情報を確認。Team-BlueとTeam-Greenの生き残りへぶつけることに成功しました」
Blue-1(一般兵リーダー):「コマンドポスト、これはどういう事なんだ? あと少しでTarget-Blueを討伐できるところだったんだぞ。なぜTarget-Greenをこちらに引っ張って来たんだ? まさか……」
CPオペレーター:「Team-BlueとTeam-Greenは混乱しているようです。Target-BlueとTarget-Greenは未だ健在、両チームに攻撃をしています」
CPオフィサー:「お前たちには礼を言わねばならんな。壁役程度の役立たずだと思っていたが予想以上に頑張ってくれた。おまけにクソ冒険者どもを分断するのにも一役かってくれた。実に素晴らしい働きだったよ。ありがとう」
CPオペレーター:「Team-Redは安全位置を確保、攻撃開始します」
Blue-1(一般兵リーダー):「ふざけるなっ! 貴様ら絶対にゆる……」
音声記録に連続する砲撃音と爆発音。
CPオペレーター:「Team-Blue通信途絶しました。バイタルデータを確認。Team-Blue生存者0、Team-Green生存者0、Red-1に再確認。…………、両チーム、全隊員の死亡確定しました」
CPオフィサー:「よしっ、これで邪魔者はすべて排除した!! 残るはダンジョンボスだけだな」
CPオペレーター:「Red-1、Red-1……」
音声記録にノイズ。
CPオペレーター:「Red-1応答してください、繰り返す、Red-1応答してください」
CPオペレーター:「チームRed応答してください。誰か通信可能な人はいませんか?」
CPオフィサー:「どうした? オペレーター。なにがあった?」
CPオペレーター:「わかりません。現在チームRedと通信が……、うぅっ!」
音声記録に激しいノイズ、さらにマイク越しに轟音。
CPオフィサー:「ひぃイっ!!」
DSH副指令兼軍事研究部長と思われる人物の声:
「この地震はなんだ? ダンジョンボスは討伐できたのかね?」
CPオフィサー:「副指令!し、指揮所に勝手に入って貰っては困ります。まだ、作戦中です」
副指令:「貴様、一体何をした? 隠さずに答えたまえ」
オペレーター:「報告、この地震は過去に観測された次元震と同じ波長です」
副指令:「次元震動だと? ぅ、ぐぁあっ!!」
音声記録に激しい轟音。世界が割れる様な甲高い音。
CPオペレーター:「が、外部観測班より報告、ボス部屋の塔が崩壊しつつあります。ここも危険です。今すぐ非難をして……、ひぎぃっっいいいい!」
音声記録にさらに激しい轟音、悲鳴、連続する破壊音。金属と岩石が圧壊する音、やわらかいものが潰される音。
以降は、高音のノイズがしばらく続いて音声記録は途切れた。
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