第12話 僕、何か間違えましたか?

「あ〜、ワンちゃんもネコちゃんも、小型種の雑種で生後3週間位ね。」


先程受け付けてくれた白衣の女性から、改めて口頭で問診を受けながら法川さんと二人で説明を受けていた。


「二匹とも栄養状態も発育も問題なさそうだから、直前まで母親と一緒に居たようだわね。」


「そんな………………………………………」


僕も、法川さんと同じく絶句してしまう。


親と引き離して捨てられてたなんて。


「じゃ、診察始めます。隣の診察室へ入って頂戴。」


「「はいっ!」」


二人で声を揃えて返事をしてから、はっと気が付いて目を合わせてから赤面してしまう。


「あらあら、仲がよろしくて、羨ましいわね。若いって、良いわね!」


「………………………………………………」

「………………………………………………」


気不味くなって、少しだけ嬉しくて、法川さんから視線をそらされたのがチョットだけ悲しくて。


ワンコから診察台に乗せられて、彼女自身が診察を始めたのを見て、彼女が獣医さんだったんだと驚いてしまった。

法川さんも驚いた様子だったので同じように思ったみたい。


頭の先からお尻の中まで診察を受けてから、次ににゃんこが同じように診察を受けて。


「はい、おしまい。問題ないわね。秤はお持ちですか?体重を毎日記録して2週間後にもう一度連れてきてね。」


「「ありがとうございますっ!」」


また、声が揃ってしまった。

今度は、法川さんから目を逸らされるようなことは無かった。


「二匹とも、もう離乳食で大丈夫。ペット用のミルクと併用してね。育て方は、私のホームページに動画を載せてるから参考にして。アドレスは診察券にQRコードがあります。

ところで、あなた達高校生よね。診察代、無理なく支払い、大丈夫かな?」


「あ〜、バイト始めます。」


「私はバイトしてるので、ある程度は。」


「そうか〜、じゃ、今日は二人分で税別五千円ね!」


「「えっ!」」


「後払いでも、いいわよ?」


「………………………………………お安くないですか?」


「サービスね。次回からは普通料金よ。基本料金は控室に掲示してあるから見てね。サービス代わりに教えてほしいんだけど?」


「………………………………………なんでしょうか?」


「さっきの『プレアデス君』の飼い主さんと、お知り合いかしら?」


『………………………………………あの猟犬ですよね。僕とクラスメイトです。』


「………………………………………私は、隣のクラスです。」


何を聞かれるかと思ったら、とんでもない話になりそうだぞ?


「あら、そうなのね。あの『プレアデス君』に好かれるなんて、ここではあなたが、東山君が初めてだったから。彼は猟犬種だから、飼い主があなたを好いてないとあんな風にはならないから気になったのよね。」


「………………………………………あり得ませんよ。西河には、入学以来ずぅ〜っと嫌われまくってますから。」


「そっか〜、彼女、良い娘だから気に掛けてあげてほしかったんだけど、難しいか〜?」


………………………………………難しいというよりは、無理だと思ったけど、口には出せずに曖昧に済ませてしまった。


それよりも、途中から法川さんに睨まれてたような気がしたのは何故だろうか?

僕、何か間違えましたか?

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