下車・歩行・乗車

鮎崎浪人

下車・歩行・乗車

 一


 午後五時を少し過ぎたJR大井町駅のプラットフォームには、夕暮れ前の陽春の西日が穏やかにさしこんでいた。

 そこに佇む人々の前に、シルバーの車体の上部にブルーのラインのはいった京浜東北線の上り大宮行きが勢いよく滑り込んできて、やがて徐々に速度を落としてその動きを止めた。

 最後尾の車両のドアがぷしゅーという音を立てて開くと、はやる気持ちを抑えるように、野呂はあえてゆっくりと落ち着いた足取りで車内へと歩を進めた。

 平日で通勤ラッシュの時間にはまだ早いせいか、座席はすべて埋まっているものの、立っている人の数は少なかった。

 時間調整のために、一分ほど停車することを車内アナウンスが告げている。

 野呂も立ち組の一人に加わり、プラットフォームとは反対側のドア付近に陣取り、あたりを素早く油断のない眼で見回した。

 野呂の斜め左、三メートルほど離れた位置に、つり革を持ったスキンヘッドの男が立っている。

 野呂と同じく、この駅で電車に乗り込んできた男だ。

 その男は、二〇代後半の長身の小太りで、派手な色彩のスカジャンを着こんでいる。

 野呂は横目で男をちらりと見やると、今度は前方に視線を移した。

 開いたドアの手前、向かって左手の手すりをつかんで立つ男が一人。

 ドアの前には、この男以外の乗客はいない。

 この男も当駅から乗車したことを野呂は知っている。

 五十代という年配の小柄な男で、色の褪せたベージュの薄手のジャンパーに、これも着古したようなジーパンといういでたちだ。

 その男にじっと視線を固定させている野呂は、警視庁で麻薬捜査にあたる薬物銃器対策課の刑事だ。

 電車内もしくは駅構内で麻薬取引が行われる可能性があるとの情報が入り、容疑者を尾行している最中であった。

 そんな野呂は、四十八歳のバツイチ。

 勤続三十年に及ぶが、現在の仕事には満足していない。

 殺人や強盗などの凶悪犯罪を扱う捜査一課への異動を熱望しているが、このままでは実現しそうにないことはわかっていた。

 なにか大きな手柄を上げなければと焦りは募るばかり。

 そんな気持ちを反映してか野呂の表情はいつも暗く沈んでいるが、瞳だけはギラギラとした輝きを放っていた。

 そんな飢えた野獣のような視線を前方に向けていると、野呂はふいに男性の老人に大きな声をかけられた。

「『思ひ出座』に行くには、この駅で降りるんですかな?」

 瞬間、野呂の頭は空白になった。

「思ひ出座」? 

 どこかで見聞きした記憶があるが・・・

 視線を前方に据えたまま、記憶を探っていく。

 野呂の視界で、さきほどから手すりをつかんで立っていたベージュのジャンパーの男が斜め左に動いて、すぐそばの座席の前に移動した。

 男の周囲で他に動いた乗客はなく、遮るものがなくなったドアを出入りする人もない。

 ややあって、野呂は答えた。

「ああ、この駅だよ」

 尋ねた老人は頭を丁寧に下げて、ドアから出て行った。

 野呂がすぐに返答できなかったのも無理はない。

「思ひ出座」とは、いわゆる名画座で、二本立てなどで主に旧作映画を上映する映画館だが、十年前にその名を「シネマ・クラシコ」と変えていたからだ。

 野呂が記憶を手繰り寄せることができたのは、たまたま彼の地元が東大井であり、現在も住み続けているからで、その意味で老人は運が良いといえた。

 その老人が去ったところで、発車を告げるメロディーが軽やかに鳴り響き、鳴り終わるとドアはゆっくりと閉まって、電車が動き出した。


 二


 約三分の走行後、電車は品川駅へ到着した。

 一日の乗降客数では全国でも指折りの駅だけあって、たくさんの人々がひしめき合うように乗車を待ち構えて並んでいる。

 すると、ドアのそばに立っていた例のベージュのジャンパーの男が動いた。

 ドアが開くと同時に、車内から外に出て行ったのである。

 このとき野呂は、ある重大な決断を迫られた。

 だが、迷ったのはほんのわずかの間だった。

 野呂もジャンパーの男を追って、ドアから出た。

 男は小走りで数歩直進し、右に曲がると、しばらくまっすぐに早足で歩いた。

 電車の進行方向と同じで、その先には、改札口へつながる階段が見える。

 だが、男はそこには到達しなかった。

 階段の手前で再び右に曲がると、閉まる寸前のドアから中へと入っていった。

 さきほど乗車していた車両の、隣の隣の車両だった。

 慌てて野呂も、男が入ったドアのひとつ後ろのドアから乗車した。

 ドアが閉まり、電車が発車する。

 男は、またもドアの前にうつむき加減に立っていた。

 なにか心配事でもあるように、その横顔が不安の陰りを帯びているような印象を野呂は受けた。

 野呂がそうしたさりげない観察を二分ほど続けていると、電車はその速度を緩め始める。

 五年前に新設されたばかりの高輪ゲートウェイ駅が近づいているのである。

 プラットフォームの端に到達した電車がさらに速度を緩めるころ、ふと例の男は顔を上げて、プラットフォームにかかげられた駅名表示板がドアの外をゆっくりと後方に流れ去っていくのを不思議そうにじっと見つめている。

 次には、さらに顔を上向け、ドアの上に貼られた路線図を見上げていた。

 そのうちに、電車は停止し、ドアが開く。

 男は再びドアから出ると、さきほどと同じくうつむき加減の早足で、右折し進行方向に直進し、さらに右折して車内に戻る。

 乗り込んだのは、さきほどの隣の隣の車両。

 品川駅と同様の行動を男は繰り返した。

 ドアが閉まって、電車が走り出す。

 野呂はこの男の行動を解しかねた。

 男はオレの尾行に気づいて、かく乱するつもりなのだろうか。

 そう考えたが、乗降客が多い駅のことで、野呂は雑踏に巧みにまぎれながら、相手に気づかれずに追っている自信があったし、また、その男はなにか心ここにあらずといった様子でそわそわとしている。

 尾行に気づいたはずはない。

 では、誰かとすれ違いざまに接触するために、あんな行動を起こしたのか。

 しかし、そんな素振りは見せなかった。

 そんなことをすれば百戦錬磨の野呂の眼をごまかせるはずはないのだ。

 では、なぜ?

 そんなことをあれこれと考えているうちに、電車は田町駅へ。

 プラットフォームを隔てた向かいには、シルバーの車体の上部にグリーンのラインのはいった山手線の姿も見えた。

 品川駅・田端駅間は、京浜東北線と山手線は同一の路線を走るが、田町駅から田端駅までの区間は、進行方向の同じ両線がプラットフォームを挟んで向かい合って停車する。

 そして、まさに今、両線が同時に停車した。

 野呂は、男が山手線に乗り換えるかもしれないと身構えた。

 男は、またもやドアを出る。

 だが、向かいには進まずに、右折。

 直進し、再び右折し、車内へ。

 三度目の下車・歩行・乗車だった。

 そして、次の浜松町駅でも同様の行動を繰り返したベージュのジャンパーの男は、浜松町を後にしてからも、乗車しているときは相変わらずドアの近くでうつむいていた。

 そんな男と野呂を乗せた京浜東北線は軽快に速度を上げ、新橋駅を通過していく。

 十年前のダイヤ改正により、平日の浜松町・田端間は、京浜東北線の快速区間となっているのである。

 それまでうつむいていた男はふと顔をあげると、ぎょっとしたような表情で正面のプラットフォームを凝視していた。

 両手をドアにそえて視線を投げかけるその先では、一人の中年女性が電車を指さしながら駅員になにやらわめいている。

 男は、あっという間に通り過ぎたその光景を茫然と見送っているようだった。

 が、やがて気を取り直したように、ジャンパーのポケットから一枚の紙片を取り出して、小刻みに震えた両手でつかみながら食い入るようにそれを見つめている。

 しばらくして、ポケットに戻そうとした手元が狂って、男は紙片を取り落とした。

 すると、男の手が床に届く前に、別の人物の左手が素早く伸びて、カルタ取りよろしく奪い取るようにそれを拾い上げた。

 そんな俊敏な動きをみせたのは、十代後半とおぼしき少女であった。

 その少女は、男にすぐに紙片を返すのかと思いきや、そうはせず、紙片の書かれた内容を読んでいる風である。

 だが、それも数秒のことで、男はひったくるように無言で取り返すと、またうつむき加減の姿勢に戻るのだった。

 おや?と、そのときようやく野呂は気づいた。

 この少女、さっきは大井町駅でオレのそばに立っていたぞ。

 間違いない、オレの観察眼は確かだ。

 ヤツに気を取られてばかりいたが、この少女もヤツの後をつけていた?

 だとすると、車内の仕切り扉を抜けて、ここまで移動してきたんだろうが・・・

 この少女とヤツにはどんな関係が?

 後で、この少女に事情を聴く必要があるかもしれん。

 そんなことを考えているうちに、電車は有楽町駅も通過し、東京駅に到着した。

 品川駅をも上回る規模の駅ではあったが、雑踏に紛れて他の人間と接触するような動きも見せず、ここでも他の駅と同じく男は下車・歩行・乗車を行っただけだった。

 さらには続く神田駅・秋葉原駅でも同様の行動を繰り返した。

 そして、大井町駅を発車してからおよそ二十二分後、京浜東北線は上野駅に到着。

 すると、いかにももどかしいといったせかせかした様子で、ドアが半分ほどしか開いていないにもかかわらず、男は車外に飛び出した。

 これまでの駅とは明らかに様子が異なっていた。

 プラットフォームの階段の方へ、小走りに一目散に向かっていく。

 だが、あくまでもうつむき加減であるのは変わらない。

 そのことがこの男に災いした。

 プラットフォームの二階部分を支える太い円柱にまともに激突。

 反動でひっくり返り、仰向けにぶっ倒れた。

 ぴくりとも動かない。

 額から血が垂れ、白目を剥き、顔面は血の気が失せている。

 急いで駆け寄った野呂はかがみこんで、男の頬を数回叩いてみたが、まるで反応がない。

 どうやら失神しているようだった。

 とにかく、どこかに運び込まなければ。

 周囲を見回すと、いつのまにか野次馬で人だかりができていた。

 騒ぎを聞きつけたのか、その群衆をかき分けるようにして、二人の駅員が駆け寄ってきた。

 二人は迅速に担架を用意し、男を医務室へと運び入れた。

 当然のごとく、野呂も同行する。

 警察手帳を提示して駅員の許可を得てから、男のジャンパーのポケットを探り、紙片を取り出した。

 それは、ありふれたメモ用紙で、以下のことが黒いボールペンで殴り書きされていた。


 ①福岡県の地震と予言

 ②隕石発見

 ③基準地価上昇

 ④飲み屋街で火事

 ⑤上野動物園(プレーリードッグ、ツチブタ)

 ◎時忘れじ


 三


 最後の「時忘れじ」を除けば、五つの言葉が指し示す内容に野呂はすぐに思い当たった。


 福岡県一帯で震度四強の地震が発生したのは、わずか二週間ほど前のこと。

 この地震には予言が絡んでいて、最近メディアでの露出が急増しているある占い師が、地震発生の日付を的中させていた。

 もっとも言い当てたのは日付だけで、発生地は東京であると指摘していた。

 その占い師は、今度はその三週間後、つまり今から一週間後にあたる特定の日を挙げ、九州地方のどこかで大規模な地震が発生すると予言し、一部世間の注目を集めている。


 東京都世田谷区で隕石が発見されたのは三か月ほど前のことで、真夜中にたまたま上空を流れる大火球を観測した当区の住民が、朝になって居住するマンションの中庭でおよそ五〇グラムの隕石の破片を発見したのだった。


 いわゆるコロナ禍の影響で下降の一途をたどっていた基準地価が、コロナ禍前の基準まで回復したことが約二か月前に発表された。

 東京都の上昇率が全国的に最も高かったという。


 東京都江戸川区の店舗が密集する飲み屋街で火災が発生したのは今から一カ月ほど前のこと。

 この事件を機に、店舗の強硬な反対にもかかわらず駅前の再開発が加速するであろうことが報じられていた。


 上野動物園とは、東京都台東区の上野恩賜公園内にある日本で最も古い動物園。

 かっこ書きで記されているのは、いずれも巣穴を掘る習性の動物である。

 前の四件とは異なり、ここでは世間をにぎわすような事件は最近特に起きていない。


 メモ用紙に書かれたこれらの内容を野呂は素早く頭の中に叩き込むと、それを元どおり男のポケットに戻した。

 それからスマートフォンを取り出して知り合いの新聞記者に連絡し、しばらく男の処置に時間がかかりそうなのを見きわめてから医務室を出る。

 と、そのドアのすぐそばに、一人の少女が立っていた。

 さきほど車内で、男が落とした紙片を拾ったあの少女である。

 ネイビーのバケットハットを目深にかぶり、ダークレッドのスウェットにブルーのデニムパンツを合わせた装いで、足元にはブラックのブーツ。

 ハットからのぞくショートボブのアッシュブラウンが鮮やかだ。

 茶色味を帯びた瞳はきらきらと輝いていて、その虹彩が咲いた向日葵の形に見えるのが印象的である。

 十分に人目をひく容姿であったが、今の野呂にはなんらの感興もそそられない。

 機械的にこの少女にも警察手帳を見せてから、

「お前も、あの男をずっとつけていたみたいだな。

 知り合いか?」

「いいえ、ぜんぜん」と首を強く左右に振る少女。

「じゃあ、なんのために尾行してたんだ? 

 おい、正直に言えよ」

 野呂は持ち前の鋭いまなざしで睨みつつ、低いがよく通る声で迫った。

 だが、その少女は、そんな野呂の脅しもどこ吹く風といった感じで、「ちょっと気になったもので」と軽く受け流す。

「理由になってないだろっ」と思わず叫んだ野呂は、次に右手を前後にひらひらと振った。

「しっ、しっ、関係ない野次馬は帰った、帰った」

「いいんですか、そんなこと言って。

 大事なことを教えてあげようかなあと思ったのにい」

 完全に見下したような相手の声音に、瞬時に野呂の胸の奥から怒りが込み上げてきた。

「うるさいっ! お前のようなガキに教えてもらうことなんてないっ! 

 さっさと失せろっ!」

「は~い」と左手をだらんと上げてから、芝居がかったお辞儀を披露して、少女は軽やかなスキップで去っていった。

 ったく、近頃のガキは・・・

 イライラが収まらず、野呂はプラットフォームに唾を吐きかける。

 だが、しばらくすると気を取りなおし、ニヤニヤと自然と頬が緩んでくる。

 これからの自分の人生が劇的に好転するであろうことを想像したからだ。

 しばしの間、将来に対する甘美な妄想にふけっていると、やがて尿意を催してきた。

 当分は、あの男も回復すまいと高をくくった野呂は、用足しに場を外した。

 数分後、トイレから戻った野呂を待っていたのは、蒼白な顔の駅員だった。

「す、すいません、すいません」とペコペコと何度も頭を下げる。

 嫌な予感にとらわれて、野呂は性急にたずねた。

「どうした? ヤツに何かあったのか?え、おいっ!」

 駅員はますます恐縮の体で、

「そ、それが・・・ 

 さきほどあの男が目を覚ましまして・・・ 

 しばらくあたりを見回していましたが、状況を理解するや否や、急に暴れだすと、私たちの制止を振り切って逃走してしまったんです・・・ 

 なにしろ体に似合わず、すごい力で・・・ 

 二人ともしばらく転倒してしまい・・・」

「それで、ヤツはどっちへ行ったんだ?」と、かみつかんばかりに野呂。

「ドアを出て、右へ行ったと思います…」

 それを聞いた野呂は全速力で走り出した。

 すぐに目の前に現れた階段を二段飛ばしで駆け上る。

 上りきると迷うことなく左折し、公園口の改札を一目散に目指す。

 あの男の書いたメモから推測するに、上野公園に向かった公算が高いという判断だ。

 改札を出たところで、折よく新聞記者仲間二人と合流、三人はせかせかとした足取りで上野恩賜公園に踏み入った。

 午後六時をとうに過ぎた公園はとっぷりと日が暮れて、散策する人々の姿は夕闇に溶けてぼやけている。

 直進すれば動物園、右へ行けば寛永寺、左折すれば上野の森美術館へと向かうことになる。

 ほんのわずかの間は躊躇した野呂だったが、自らの直感を信じて、東京文化会館の手前を左に曲がった。

 そして、駆け足で、だが油断なく周囲を警戒しながら道なりに進む。

 上野の森美術館を左手に見ながら通り過ぎ、彰義隊墓所を抜け、西郷隆盛像まで到達すると、ぐるりと時計回りに走って清水観音堂へと向かう。

 このあたりは、人出が少なく、公園内でうら寂しい区域だ。

 本堂前の「月の松」を左に見る地点に差しかかったとき、奥の方からなにやらざわめきが野呂らの耳に届いた。

 本堂を迂回して三人は裏手に回る。

 そこには、花びらは散ってしまったが大ぶりの桜の木があり、物音はさらにその奥から聞こえてくる。

 足跡を忍ばせながら、だが速足で進む三人の男たち。

 その先には、人間の銅像らしき影が見える。

 その傍らに立って腰をかがめている一つの小柄な影。

 すると、奥の木立の後ろから二つの影が飛び出した。

 突然、あたりの静寂を破って、「ほら、やっぱり! つ~かま~えたっ!」と、かん高い少女の声が響き渡る。

 少女の少し前に立つ警察官の懐中電灯が、あの男の姿をくっきりと照らし出した。

 男の足元の土は直径・深さともに一メートルほど掘られており、その穴のそばには小型のスコップが転がっている。

 男はその穴に屈んだ姿勢のまま、真後ろに立つ少女と警察官に首を捻じ曲げていた。

 その横顔には、驚愕と怒りと諦めが入り混じったような複雑な表情が浮かんでいる。

 少女はさらに追い打ちをかけるように高らかに宣言した。

「西尾康彦さん、もう逃げ道はありませんよ。

 さあ、刑事さん、このわたし、神希成魅かみき しげみが刑事さんより早く犯人を捕まえてあげましたっ!」


 四


 西尾と名指しされた男はさしたる抵抗のそぶりを見せなかった。

 深さ三メートルの穴から掘りだした中くらいの大きさの布製の袋を右わきに大事そうに抱えた警察官に公園内の交番へと連行されていった。

 その場に残ったのは、野呂と二人の新聞記者、それに神希と名乗る少女。

 四人ともがスマートフォンのライト機能を使用しているため、そのまわりだけは明るい。

 少女に先を越されたのは確かだが、野呂はこの場に至る状況がよく理解できずに困惑し、同時に怒りもこみあげてきたので、恫喝するように問いかけた。

「おい、お前、お前も西尾のことを最初から知っていたのか?」

 神希はゆっくりと細い首を左右に振って、

「いいえ、あの男性が西尾康彦であることを知ったのは、さっきです。

 あの男性が、下車・歩行・乗車という奇妙な行動を繰り返す意味を考えているうちに、そんな結論にたどり着いたんです」

「どういうことだ? 最初から説明するんだ」

 野呂の高圧的な口調にも神希は我関せずといった様子で、ただわずかに軽蔑的な視線を相手に注ぎつつ穏やかに話を続ける。

「わたし、子どもの頃から人間観察が大好きなんです。

 初めて見た人のことを、この人はどんな職業の人なんだろうとか、どんな性格の人なんだろうとか、そんなことを推理する。というか、想像してみるのが楽しくて。

 今日、電車で初めて見たあの男性の下車・歩行・乗車という行動は最もわたしの目を引いたんですけど、実はそれ以前に大井町駅で、あの男性に関して気になる行動というか動作があったんです。

 それで、あの男性に興味をもって、後を追ってみることにしたわけなんです」

「気になる動作? 大井町駅で? そんなものなかったぞ」

「いいえ、ありましたよ。

 時間調整のために、しばらく大井町駅で停車しているとき、野呂さんはおじいさんに尋ねられたじゃないですか。

『『思ひ出座』に行くには、この駅で降りるのか』と。

 そのときのことです。

 ドアのそばの手すりをつかんでいたあの男性が斜め横に動いて、座席の方に移動したのです。

 このとき、ドアの前にはあの男性しかいませんでした。

 ドアのまわりには他の乗客はいなかったんです。

 だったら、場所を移る必要なんてないじゃないですか。

 それがわたしには奇妙に思えたのです」

「そうか? 単なる気まぐれなんじゃないか?」

 疑わしそうに、野呂がそう口をはさむ。

 素直にうなずく神希。

「ええ、もちろんその可能性もありました。

 ですが、人は乗車したとき、一度場所を決めたら、ふつうは移動しないものでしょう? 

 一度は立つことに決めていたが、空いた座席をみつけて移動するとか、ドアのまわりに乗客が固まっているので、座席にはさまれた通路側に移動するとか、そういった場合以外は。

 実際、あの男性のおかれた状況は、そのどちらにも当てはまらなかったんですよ」

「じゃあ、誰かが、乗るか、降りるかしたんだろう。

 そのために、隙間を作ったんだろうよ」

「さっきも言ったように、ドアの前にはあの男性しかいませんでしたから、スペースは十分あったわけで、わざわざ移動する必要なんてなかったんですよ。

 そもそも、あの男性が移動したすぐ後で、ドアを出入りした人はいませんでした」

「う~ん。あ、移動したすぐ後はいなかったかもしれんが、しばらくの後、その質問したじいさんはドアから出ていったじゃないか。

 つまりだ、オレがこの駅で降りればいいと答えたのをヤツは聞いた。

 それで、じいさんのために場所を開けてやったのさ」

 すると神希は憐れむように、野呂を見やった。

「野呂さん、混乱してますね。

 もっとも、おじいさんのために場所を開けたというのは良い着眼点ですが・・・

 いいですか、だったんですよ。

 これらのことから、わたしはこのように考えたんです。

 あの男性は、「シネマ・クラシコ」と改名する前の名称を知っていた。

 だから、野呂さんが答える前に、おじいさんが下車することを知り、ドアの前から斜め横に移動したのだと。

 この考えが正しければ、十年も前に名称が変わった映画館のことを瞬時に思い出せることから、このわたしと同様、あと野呂さんもそうですかね、この男性は大井町駅周辺に住んでいるのではないかという推論が成り立つわけです。

 さらに、十分なスペースがあるにもかかわらず、あえてドアの前を移動したことから、極端に他人との接触を避けているのではないかという推論も。

 まあ、もっとも、あの男性が大の映画好きという可能性もなくはないですが、その後の行動からすると、そうは思えなかったんですけど」

「その後の行動って?」

「次にわたしの注目を引いたのは、電車が高輪ゲートウェイ駅に着くときでした。

 プラットフォームの駅名表示板をじっと見つめた後、顔をあげてドアの上に貼られた路線図を見ていました。

 その様子はどうみても、電車が高輪ゲートウェイ駅に停車するのは意外だといった感じでした。

 そのことから考えて、あの男性は品川駅の次は田町駅だと思い込んでいた。

 さらに言えば、高輪ゲートウェイ駅が五年前に新設されたことを知らなかったのでないか。

 わたしはこう推論したのです。

 そして、新橋駅でも同様のことが推察されました。

 新橋駅を通過するとき、あの男性はとてもびっくりしたような表情で、両手をドアにそえて茫然と立ち尽くしている様子でした。

 ちょうど新橋駅のプラットフォームでは、一人の中年女性がわたしたちのいる車内を指さしながら傍らに立つ駅員になにかをわめいている場面だったわけですが、その女性は京浜東北線に乗り込むつもりでいたのに通過してしまったので当てが外れて文句を言っている、そんな様子でした。

 その光景を見たわたしは、二つのことを考えました。

 一つは、ひょっとするとあの男性はこの中年女性と接触する予定だったのが、新橋駅で停車しなかったために待ち合わせに失敗してしまったのではないか。

 そして、もう一つは、男性と女性は無関係で、あの男性は単純に電車が新橋駅を通過したことに驚いたのではないか。

 この時点ではどちらとも決めかねましたが、ただ共通して言えることは、あの男性が高輪ゲートウエイ駅の新設を知らなかったのと同様に、十年前から京浜東北線の一部区間が快速運転を行っていることもまた知らなかったのではないか、ということなのです」

 いつのまにか三人の男たちは神希の語りに強く引きつけられていた。

 まさしく神希の独壇場であった。

「以上のことから、あの男性は、十年前に映画館が改名したことを知っているほど大井町駅周辺に詳しいにもかかわらず、十年前に京浜東北線の快速運転が開始されたことや、五年前に高輪ゲートウェイ駅が新設されたことを知らなかったと推察できるわけです。

 このことはなにを意味するのか。

 ひとつの解釈としては、あの男性は十年前までは大井町駅周辺に住んでいたが、その直後に離れたため、快速運転や駅の新設を知らなかった。

 そして、最近になって大井町駅周辺に舞い戻り、今日、久しぶりに京浜東北線に乗り、これらのことを初めて知ったというもの。

 しかし、わたしは、もう一つの解釈に魅力を感じたのです。

 それは、

 だって、そうじゃありませんか。

 過去から現在まで継続して住んでいる。

 同じ土地に住み続けたからこそ、大井町駅周辺に関する自分の一連の記憶の一環として、瞬時に映画館の改名という出来事が脳裏に浮かびあがったのでしょう。

 もし、この解釈が正しければ、よほどの富裕層でない限りは都心の交通の要である京浜東北線を利用するに違いないにもかかわらずそうしなかったということから、あの男性は世間から身を隠すようにして生活しているのではないかと考えられるわけです。

 また、この解釈は、大井町駅でのドアの前からの移動から導かれた推論、すなわち、あの男性は他人との接触を極端に避けているという点とも合致するわけなのです」

 よどみない神希の語りはさらに続く。

「このように考えていくと、下車・歩行・乗車の意味もおのずと解かってくるわけなんです。

 あの男性は、できる限り、他人に自分の印象を残したくはなかった。

 ならば、一駅ごとに車両を移れば良いと考えたのでしょう。

 ただし、仕切り扉を通って移動したのでは、他人の眼につきやすい。

 だって、扉を開けるときには必ずガラガラという音が発生し、注目を引いてしまいますからね。

 だから、いったん車内を出て、別の車両に乗り込むという方法をとったんです。

 わたしや野呂さんは、あの男性の後を追っていたので、下車・歩行・乗車という奇妙な行動を見ることになったわけですが、雑踏に紛れて移動すれば、下車と乗車をつなぐ歩行という痕跡は目立たなくなる。

 すなわち、他の乗客からすれば、単に目的の駅で下車した客であり、また、単に目的の電車に乗者した客であり、したがって、他人の印象には残らないというわけなんです。

 ただし、隣の車両に移動しただけでは、移動する前の車両の乗客に万が一気づかれるかもと恐れて、二両先の車両に移動したんでしょうね」

 これまでの神希の推論になるほどと感心しながらも、なにか癪に障る気持ちを抑えられない野呂は、とっさに思いついた反論を口にする。

「しかし、そんな面倒な行動をとるくらいなら、電車じゃない方法もあっただろうに」

「ところがそうもいかないのです。

 今までの推論とメモの内容から、あの男性は人目を避けているにもかかわらず、急いで上野公園に向かわなければならなかったことがわかります。

 切迫していたのは、もっとも目立たない徒歩で向かわなかったことから明らかです。

 そうした場合、ではタクシーではどうか。

 タクシーは狭く密閉された空間です。

 その中で運転手と二人きりというのでは、とても都合が悪い。顔を覚えられてしまう可能性が高いからです。

 では、バスは? 

 バスもタクシーほど狭くはないが、そこそこ密閉性は高い。

 それに加え、バスで大井町周辺から上野公園に行くためには、何度も乗り継がねばならず、急ぎという条件をクリアできないんです。

 では、自家用車はどうか?

 自家用車なら電車ほどではないにせよバスよりは早くたどり着くことができるだろうし、なにより他人に顔を覚えられる危険性は格段に少ない。

 と考えると、好都合のようではありますけど、そもそもあの男性は自家用車を所有していなかったと思うんです。

 車を持つということは、免許証の更新や検問など、自分の顔や名前を晒す機会が多くありますからね。

 こうしたことを考慮すると、あの男性は次善の策として、下車・歩行・乗車を繰り返しつつ電車を利用したのでしょうね。

 ちなみに、ここまで推論したとき、あの男性は単独行動を取っており、新橋駅のプラットフォームに立っていた中年女性とは無関係だということを確信したわけなんです」

「うむむ、そういうことか。

 まあ、よしとしよう。

 じゃあ、ヤツが持っていたあのメモ。あのわけのわからん内容の意味はどうなんだよ?」

 喧嘩腰でつっかかる野呂。

 だが、神希はなんら臆する風もなく、自信に満ちた声で続ける。

「世間から身を隠すように暮らしていたあの男性。

 にもかかわらず、危険を冒して上野公園に行かなければならなかったとすれば、よほどの事情があったに違いありません。

 その原因は、あの男性が食い入るように見つめていたメモの内容にあったのではないか。

 わたしはそう考えたんです。

 人間は過剰なまでに神経質になると、身のまわりで起こる出来事が、自分になにか災いをもたらすのではないかと不安に陥ってしまうもの。

 あの男性はそうした心理状態にあったのではと考えてみました。

 だとすれば、一見無関係なあの五つの事柄が、あの男性にとっての致命的な結末につながるように思えたのではないかと推測してみたのです。

 わたしは、あの男性の立場になって想像力を膨らましてみることにしました。

 いいですか、これからお話することは、あの男性が考えたであろうことですので、そのつもりで聞いてください」

 そう前置きしてから、神希はメモに書かれた五つの事柄について説明し、さらに続けた。

「これらの出来事は、『上野動物園』を除けば、普段は起こることが予測できないような重大な出来事、すなわち椿事と分類することができるでしょう。

 このような椿事が短期間に続けば、次にはどんな重大事が起きるのかと、過度に神経質になったあの男性が不安に悩まされるのは容易に想像できます。

 ましてや、今まで起こった出来事に、法則性があると思い込んだとしたら・・・」

「法則性?」とおうむ返しに野呂。

「ええ、そうなんですよ。

 あのメモを起こった順に並べてみれば、一目瞭然なんです。

 隕石の発見。

 基準地価の上昇。

 飲み屋街での火事。

 これらをキーワードだけ取り出してみると、隕石・基準地価・火事、となります。

 これでもうお分かりでしょう?」

「隕石と基準地価と火事?

 さっきあんたが言ったように、椿事という共通点しか思いつかんぞ」

 イライラと語気を強める野呂をからかうように目を細めた神希は、一呼吸おいてじらしてから、おもむろに口を開いた。

「ひらがなに変換するんですよ」

「なに? ひらがなに?

 いんせき、きじゅんちか、かじ・・・

 あっ!」

 呆けたような表情の野呂を愉快そうに神希は眺めながら、

「そう、ある法則性、それは、なんです。

 あの男性は、まるでドミノ倒しのように、しりとりという法則に従って、椿事が続発するような妄想にとらわれていったんです。

 そして、その妄想の行きつく先は?

 かじ、のあとに続く言葉は?

 その言葉も、あのメモに書かれていました。

 もうお分かりですよね?

 そう、それは、、です。

 あの男性の妄想が導き出した答えとは、近い未来に地震が起きる、というものでした」

「し、しかし、いくら妄想とはいえ、それは飛躍しすぎだろ・・・」

 どう受け止めたらいいのかと当惑するしかない野呂。

 そんな野呂を神希は穏やかにさとすように、

「その妄想を後押しするような出来事があったんですよ。

 ほら、メモの一番目に書かれていた『福岡県の地震と予言』ですよ。

 ある占い師が東京で地震が起きると予言し、発生の日付は的中したけれど、実際に起こったのは九州の福岡県でした。

 それが二週間ほど前のこと。

 そして、今度は、今から一週間後に九州地方のどこかで大規模な地震が発生すると予言している。

 そこで、あの男性は、このように妄想したのでしょう。

 東京と予言したときは、九州で地震が発生した。

 ならば、九州と予言したなら、東京で地震が発生するに違いない、と」

 神希の言うとおりだとすれば、それは狂人の発想としか言いようがない。

 だが、妄想なりに筋道は通っているように野呂には思えるのだった。

「あの男は、近々地震が東京で起きるという妄想に憑りつかれた。

 そこまでは分かったよ。

 だが、そのこととあの男の行動はどう関係してくるんだ?」

「それが、メモの最後の項目、『上野動物園(プレーリードッグやツチブタ)』なんですね。

 東京で大規模な地震が起きれば、上野動物園はどうなるのか。

 あの男性はこう考えた。

 もちろん、人も動物も大混乱をきたすだろう。

 恐慌状態に陥った動物たちの中には動物園をするものまで出てくるに違いない。

 プレーリードッグやツチブタも、そうかもしれない。

 これらの動物たちには、習性があるではないか。

 地震の後で、動物園の飼育員たちはこれらの動物を保護するために、に違いないのだ、と。

 そして、あの男性の書いたメモの最後の一行、『時忘れじ』を考慮してみれば、おのずとあの男性が最も恐れていた事は明白でした。

 わたしは幼いころ、浅草に住んでいたので、この公園にもよく遊びに来たものでした。

 そう、あの男性が最も恐れていた事、妄想の果てに行きついた結論とは、だったのです」

 神希が指さす先には、幼い二人の子を抱く母親の銅像。

 その背後には、大きな丸時計がはめ込まれた塔。

 昭和二十年三月十日に起きた「東京大空襲」の犠牲者を悼む慰霊碑であった。

「世間から身を隠していた人間が、上野公園の一部を掘り返されることを極端に恐れ、危険を顧みずに、ここまでやってくる。

 これには明らかに犯罪のにおいがしました。

 そこで、わたしは全国の指名手配犯について、スマホで検索してみると・・・

 簡単に該当者にヒットしました。

 それが、あの男性、西尾康彦だったんです」

 そう、そうなのだ、と野呂は胸の内でつぶやく。

 十年前、西尾を含めた三人の男たちが、田端駅付近の路上で現金輸送車を襲い、二億八千万円を強奪した。

 その後、三人は仲間割れ、西尾は他の二人を殺害し逃走した。

 盗まれた紙幣の行方は分かっていない。そういう事件だった。

 野呂は、大井町駅で見かけたときから、あの男性が西尾であると気づいていた。

 彼は日頃から全国各地の指名手配犯の顔を頭に叩き込み、捜査にあたっていた。

 仕事が休みの日でも、あてもなく街々をさまよい歩いては、そういった犯罪者の影を追っていた。

 野呂の念願である捜査一課に栄転するためには、なにか大きな手柄を立てる必要があったからである。

 いつなんどき、僥倖に出くわすかもわからないではないか。

 そんな狂おしいまでに切ない気持ちだった。

 そして、今日、十年前とはいささか容貌に変化があったものの、大井町駅のプラットフォームで偶然目にした男性があの西尾康彦ではないかと気づいたのである。

 そこで彼はほとんど迷いもせず、大きな決断をした。

 野呂の本来の尾行対象は、スキンヘッドにスカジャンの男性だったが、麻薬取引の疑いのあるその男性の尾行を放棄して、西尾を追うことにしたのだ。

 職務放棄と非難されようと、千載一遇の大きな獲物を前にして、野呂は黙って見過ごすことができなかったのである。

 野呂にしてみれば、男性の正体に気づいていたので、下車・歩行・乗車やメモの意味などを深く考えようとは思わなかった。

 ただ西尾の尾行に成功すれば、おのずとすべてが明るみにでると楽観していた。

 だが、せっかくのチャンスも、ひとりの少女に先を越されたことによって、水泡に帰してしまったのであった。

「わたしは、上野駅で刑事さんから解放されると、すぐに上野公園内にある交番に駆けつけてお巡りさんに事情を話し、西尾が強奪金を回収するために現れるのを、ここで待ち伏せしていたというわけでした」

 終始黙って、神希の語りを感嘆の表情を浮かべて聞いていた新聞記者二人は、この少女をビデオカメラで撮影し始めた。

 恥ずかしがるどころか、ニコニコと微笑みながら、慣れた仕草で様々なポーズを試みる神希。

「実は、わたし、『ネヴァーランド ガールズ』というグループで、アイドルやってま~す!

『ネヴァーランド ガールズ』で一番かわいくて面白い神希成魅ですっ!」と猛アピールする。

「これから、この公園でミニライブをやるので、ぜひぜひ観に来てください!」

 というわけで、野呂ら三人は公園内の噴水池に向かい、その前に仮設されたステージで披露された「ネヴァーランド ガールズ」のパフォーマンスを観覧した。

 新聞記者二人は客席の最前列で、神希が歌って踊る姿も撮影した。

 翌日のテレビや新聞、インターネットでは、女性アイドルが全国指名手配犯を捕まえたという内容が動画付きで大々的に報じられた。

 神希成魅は一躍、時の人となり、テレビ番組の出演に大忙し。

 神希成魅の快進撃はとどまることを知らず、たちまち全国区のタレントとなるのだが・・・。

 それはまた、別のお話。

(了)

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下車・歩行・乗車 鮎崎浪人 @ayusaki_namihito

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