第10話 戦い続ける運命へと…

第10話


『ふむ、ここら辺だな………』

「ちくしょう、押し切られた………」


天丼してまで解散しようとしたのに、結局は連れられてきてしまった。


はぁ、早くノンビリしたい………


心底嫌だけど、今は宿題をしたい。


面倒だなぁ、面倒だなぁ!!


『煩いぞ、藍青。』


騒いでませんが?


変な事を言わないでくれますか?


『思考が煩いと言っているのだ。』


それって貴方の感想ですよね?


『くっ、今の時代のガキは全員こんな奴ばっかりなのか?』


おいおい、一部を見て一括りにするのは悪手だぜ?


そんな事をしたら、人間なんて事になっちまうぞ?


『むぅ、それもそうだな。まさか、お主に諭されるとはな………』


よし、論破!!


なら、帰ろうか………


『それとこれは別だぞ?』


ちぇっ、そう上手くは行かねぇか………


『────そろそろ来るぞ、藍青。』

「なぁ、そういうのどうやって感知してるんだ?妖怪アンテナみたいなのがお前に搭載されてるのか?」

『その妖怪アンテナ?というのはよく理解わからんが、後で色々と方法を教えてやる。』


成る程、了解。


はてさて、どんな奴が現れるんだろうな?


昨日の化け物は不定形で、化け物という事しか理解わからなかったからな………


「────愉しくなってきた。」

『情緒不安定過ぎないか、お主?』


おいおい、何処がだ?


風評被害で訴えるぞ、正論剣矯正め………


『その名前はやめろ。────来るぞ!!』

「────アレか!」


目の前に、黒いモヤの様な奴が現れる。


そして、そのモヤは少しずつ、ちゃんとした形を成していき………


『チュウ、チュウ、チュウチュウチュウ!!』


────鼠?


「何だ、アレ?」

『アレは窮鼠だな。無駄に大きいが、人の骨を折れる程度の強さしか持たない雑魚だ。』

「雑魚かなぁ、それ雑魚かなぁ??」


猛獣レベルじゃねぇか、普通にヤバくないか!?


『いや、昨日お前が殺した奴の方が強いからな。充分雑魚だ。』

「成る程、それなら確かに雑魚だ。」


あの一太刀で死んだ奴より弱いなら、楽勝だな!!


『まぁ、油断していたら普通に死ぬがな。』

「ですよね!!」


上げて落とすなよ、この鬼畜剣悪鬼め………


『だから、そういう変な呼び名はやめろ。』


すまん、つい………


『チュウ!!!』

「うおっ、煩っ!?」

『あの畜生、お主を食う気満々だぞ?骨までしゃぶる気らしい………』

「────おいおい、怖い事を言ってるじゃねぇか、鼠の癖に。お前さんは鼠らしく、チーズでも食ってろや!!」

『チーズ?何だ、それは?美味いのか?』

「後でじっくり教えてやるよ、藍月!!」

『チュウ、チュウチュウチュウ!!!』


☆☆☆☆☆


???side


「ふむ、藍様が目覚めたか………』


やっと、やっと貴方を見つけた。


『まさか、あの女狐の所に居たとは………」


少なくとも、あの阿婆擦れの所に居るよりはマシだったのだろうけど………


「しかし、藍様が使い手を選ぶとは………』


あの少年君の何処が良いのだろうか?


まぁ、私も悪印象は感じなかったし、今時の子にしては珍しいとも思いましたが………


『まぁ、今は見守る事にしましょう。」


────唯、強くなって貰わなければ困りますわね。


どうしたものかしら………


「そうだ、良い案を思い付きましたわ!!』


確か、この地区には………


────居た!!


『うんうん、丁度良い奴等ばかりだ♪」


今の少年君にとって、程よい壁になってくれる駒がこんなにも豊富だなんて………


私の故郷とはいえ、流石としか言い様がない。 


「どれにしようかなぁ〜♪』


初陣を飾る怪異は誰にしようか?


第1話の敵は大事だからね………


ちゃんとした奴を選んであげないと………


『よし、君に決めた♪」


後は無理矢理に少年君の所へ遣わせて………


────あっ、鼠が少年君に斬られた。


「可哀想な窮鼠、ひとえに貴方が弱いせいですが………』


────猫は噛めても、人間は噛めなかったのですね。


『ふふ、あははは♪」


─────何だか愉しくなってきた♪


「さぁ、頑張ってくださいね、輪入道。』


私に面白い光景を魅せてくれる事を期待していますよ………


もし、見せてくれなかったら………


『金剛石にでもしてやりましょうか?」


続く

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