第9話 ラブコメor現実ファンタジー

第9話


「疲れた………」

『あれが今時代の学び舎か………』


どうだ、昔と違って凄いだろう?


まぁ、俺はそういうのとは違う案件で疲れたんだけどな!!


『自業自得であろう?』


そうかぁ?


2人分のお昼ご飯を食べる猶予を与えて貰った後、昼休憩が終わるまでグチグチ言われたんだぞ?


『でも、聞き流していたであろう?』


それは、そうなんだけどさ………


後半はもう何を言ってるか理解わからなかったのもあるんだぞ?


『我に言い訳してどうするのだ?』


くっ、正論トーカーめ………


お前の名前を正論剣矯正とでも喚んでやろうか?


『餓龍藍月だ。そこからなら、どう喚んでと構わないから、止めてくれ。』


………了解。


「しかし、狐の奴は何処に行ったんだ?」


結局、狐はあの昼休憩の時しか目の前に現れなかった。


帰る家は一緒だし、一緒に下校する物だと思っていたから、少しビックリした。


朝と同じ様にするつもりなのか?


帰ったら聞いてみないとな………


「おまたせ、藍青。」

「そこまで待ってない。」


本当に今日も来る気なんだな、コイツ………


別に良いんだけどさ………


「────そう言えばさ、竜崎。」

「何?」

「狐って、有名人なのか?」


コイツがわざわざ『』という単語を付けていたのだ。


何かしら、有名な奴なのだろう………


俺、そういうのに疎いからなぁ………


「むぅ………」

「河豚の真似か?」

「違います!!………はぁ、コイツにそういうのを期待する事自体、間違いだったわね。」

「何の事かよく理解わからないんだが?」

「いつか理解わかる様にしてあげるわよ。」


えぇ、難しい物じゃないよな?


────特に数学とか。


「────あの娘はね、この学校の2年生で一番可愛いとか言われてる娘なのよ。」

「そんな事を言ってる奴等が居るんだな。知らなかったわ………」

「まぁ、に友達が居ない藍青はそうでしょうね………」


わざわざ声に出して事実を陳列しないでくれるか?


今の時代、事実陳列罪でも捕まるんだぞ?


「………話を戻すわよ?それで、あの娘は男子に対してかなり塩対応する事でも有名だったのよ。」

「ラブコメのヒロインに有りそうな奴だな、そりゃ………」

「ラブコメの読み過ぎよ、貴方。で、男嫌いとか噂されてたんだけど………」

「────昼の俺へのアレか。」

「そうね、皆度肝を抜かれてたわよ?」


マジかぁ、だからあんなに強い念を感じたのか………


面倒な事にならなきゃ良いが………


「────本当に葛葉さんと、そういう仲じゃないのよね?」

「当たり前だろ。そもそも、俺は誰ともそういう関係になるつもりはねぇよ。」

「そうね、そう言ってたわね………」


二度と、そういう関係は嫌だ。


そういう感情に振り回されると思うと、心底死にたくなってくる。


ちっ、嫌な気分になってきたな………


「────俺から聞いていて悪いが、これ以上はやめていいか?」

「別に良いわよ。私だって聞きたい事は沢山あるけど、我慢してあげる。」

「────サンキューな、竜崎。」


それはそれとして、まだ聞きたい事が有るのかよ、竜崎!?


昼休憩に散々聞いてきたんだから、勘弁してくれよぉ………


☆☆☆☆☆


「ただいま………」

「お邪魔します。」

「はい、お帰りなさい、お兄さん!お客様も一緒ですか?」


────狐が出迎えてくれた。


それ自体は別に良い、俺自身は予想できていた未来なのだから。


────しかし、竜崎の奴は違う。


見ろ、狐を見た竜崎を………


「えっ?えっ??えっ???」


混乱し過ぎて、「えっ?」しか言えない状態になってやがる………


脳内のキャパが限界を迎えると、いつもああなるのだ、コイツは………


「お〜い、大丈夫か?」

「えっ、えっ、えっ─────」

「あっ、落ちた。」


────そして、それを早く解決しないと気絶する。


全く、難儀な奴だ………


「だ、大丈夫なのですか、このお客様?」

「安心しろ、大丈夫だ。」


まぁ、俺の部屋にでも寝かしとくとしますかね………


『────藍青、朗報だ。』

「うおっ、ビックリした!!」


黙ってたと思ったら、急に喋りだすなよ、藍月。


思わず叫んじまったじゃねぇか………


しかも、朗報?


何か嫌な予感しかしねぇぞ?


『ちゃんと良い報と書いて朗報と読む物だぞ、藍青。』

「マジ?一体、何なんだ?」

『近くに怪異が居るぞ!!』


…………それが朗報?


マジかぁ………


「はい解散解散。狐、今日の晩ご飯はどうする?俺も何か手伝える事あるか?」

「えっ、あの、その………」

『話を最後まで聞け、痴れ者が!!』


ぎゃあああ!?


頭の中で叫ぶなよ、馬鹿!!


めっちゃ響いて、頭がミキサー状態だよ!!


で、何が言いたかったんだ、お前?


『今からソイツを我等で倒しに行くぞ!』


成る程、それが言いたかった事か………


「はい解散解散。」

『天丼をするな、痴れ者が!!』


続く


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