第8話 コスプレ嬢ちゃんは有名人

第8話


「はぁ、行きたくねぇ………」


学校、面倒だなぁ………


またサボっても良いんじゃねぇかな?


────駄目、なんだろうなぁ。


流石に竜崎の奴に怒られるよな………


「しかし、狐の奴も学校に通ってるとはな。ビックリしたわ………」


お化けには試験も学校も無いんじゃないのかよ………


いや、人間としての性質も持ってるらしいから、当て嵌まらないんだろうけどさ………


「はぁ、嫌だ…………」

「コラ、其処!!朝から溜息なんか吐かない!!幸せが逃げちゃうわよ!!」

「残念ながら、俺はそんな迷信を信じちゃいない派なんだよ、竜崎。」


朝から狐とは別ベクトルで元気だね、お前さんも………


「竜崎、ここら辺はお前さんの通学路じゃねぇだろ。何で居るんだよ………」

「しょ、しょうがないでしょ!私が急に帰ったから、ちゃんとご飯を食べてたのか心配になって、学校で聞くよりも前に聞きたくなったのよ!!文句あるかしら!!!」

「い、いや、な、無いです………」


し、心配し過ぎだろ………


お前さんは過保護な俺の母ちゃんか………


いや、俺の死んだ母さんも、そこまで過保護じゃなかったな………


「で、ちゃんとしたの?」

「お、おう(大嘘)、ちゃんと食べたぜ(朝ご飯は)!!」

「ふ〜ん、本当?」

「おう、本当だぜ(何度も言うが大嘘)。」

「………まぁ、そういう事にしてあげる。」


ほっ、助かった………


前に身体に悪い食事をしてた事がバレたら、2時間以上も正座&説教だったからな………


いやぁ、アレは効いたな………


人って、あんなに正座してると彼処まで脚が麻痺する物なんだな………


「それに、今日はちゃんと作ってあげられるからね。ちゃんと待っててね♪」

「えっ、お、おう………」


そんな良い笑顔で言われても、ちょっと反応に困る………


そんなに晩飯作るのが楽しいのだろうか、コイツ?


まぁ、作ってくれるのなら作ってれるに越した事はないんだけども………


────あれ?


「何か忘れている様な…………」

「もしかして、宿題とか忘れてる?」

「あっ、それだ!!よし、やる為に家に帰らないと行けないな!!」

「駄目よ、帰らせないわ!!」

「ちっ、駄目か………」

「駄目に決まってるでしょ。………手伝ってあげるから、早く行きましょう?」

「め、女神だ、女神様が居る────」

「巫山戯てないで、早く行く!!」

「了解、女神様!!」

「藍青!!」


☆☆☆☆☆


「やっと、昼休憩かぁ………」


いやぁ、面倒な授業が半分終わるだけで、此処まで解放感に包まれるんだな………


友達が竜崎しか居ないから、間休憩は暇で暇でしょうがないしな………


さて、何時もの様に購買に昼飯でも買いに行くとしようかね………


「あっ、藍青!ちょっとお弁当を作りす「このクラスに居たんですね、お兄さん!!」ぎたから………え?」


────あれれぇ?


気の所為かな、気の所為だよね?


何で此処で最近聞いた事がある狐みたいな声が聞こえてくるんだぁ?


────よし、幻聴だな!!


「まさか、同級生で同じ学校とは!!合縁奇縁とはこの事ですね!あっ、お昼ご飯を作ってきたので、食べてくださいね♪じゃあ、私はコレで!!」


と、狐は嵐の様に去っていく………


────狐、お前同級生だったのかよ!?


てっきり、年下かと………


────いや、それは良い。


今、問題なのは………


「「「「「ジー……………………」」」」」


く、名前もよく覚えていない有象無象のクラスメイト達から向けられる視線の方だ!!


な、何か色々と感じる!!


主に男子からの嫉妬と怨嗟の念が!!


アイツ、可愛いもんね………


────そりゃ僻まれるよ、うん。


「ね、ねぇ、龍崎 藍青くん?」

「ひっ、は、はい!!な、何でしょうか、竜崎さん!?」

「あの娘、葛葉 狐さんとは何時知り合ったのですか?」

「何で敬語?」

「質問に答えてください。」

「ひゃ、ひゃい!!き、昨日です!!」

「あら。あらあら。あらあらあら。もしかして、私がお使いを頼んだ時に仲良くなったのですか?私をあんなに待たせておいて?」


いや、お前さんは途中で用事できて帰ったじゃん………


「ん?」

「すみません!!」


はっ、思わず謝ってしまった!!


というか、顔が怖いし、圧も怖い!!!


な、何でキレてるんだ、コイツ!!??


「しかし、何で1日でと仲良くなっているんですか?」

?アイツ、有名人なのか?」

「質問を質問で返さないでください。テストで0点を取りたいのですか?」

「い、いえ、ご、ごめんなさい。と、取りたくないです………」


り、理不尽………


本当に怖いよ、助けて藍月………


『自分で何とかしろ、クソボケ三太夫。』


クソボケ三太夫!?


何か酷くない、藍月さん!!??


「………これ以上は此処でマトモに聞けそうにありませんね。場所を変えましょう。」

「えっ?」

「着いてきてくださいね?」

「えっと、その………」

「ね?」

「はい………」


コレが監獄へ送られる虜囚の気持ちか………


────はは、辛いな!!


続く


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