第8話

 ゾゾゾっと背筋を震わせるアステラの反応を見て楽しむエイリーン。

 しかしその余裕は長くは続かなかった。

 くるりと振り返ったアステラがエイリーンに反応させない速さで両腕を押さえると、そのまま口を口で塞いだのだ。所謂ところのキス。しかも状況としては無理矢理奪った形だ。

 エイリーンとてキスの一つや二つ初めてではないし、何なら百や二百では利かないほどこなして来た。勿論初心なネンネであろうはずもない。だが、いきなり力づくで奪われるとなると心の準備が出来ておらず、少々慌てていた。

 目を白黒させ、先ほどの余裕などかなぐり捨てて藻掻いていたが、両腕は壁に押し付ける形でアステラの左手一つで押さえられ、足もアステラの尻が乗っていて動かせない。腕力では当然勝ち目もなく、無駄な抵抗でしかなかった。そしてアステラにはまだ右手が空いている。その手が伸びる先は──胸でも秘所でもなく、ヘソの少し下辺り。丹田と呼ばれる位置だ。

 暫く服の上から触っていたアステラの手は、服が邪魔だとばかりに捲り上げ強引に中に入って来る。

「ううー!」

 エイリーンは抗議の声を上げるが、相変わらず口は塞がれたままなので言葉にならない。

 直接肌に触れたアステラの手に、ビクリと反応してしまう。

 さする様に動くアステラの手に、エイリーンはもどかしさを感じてしまっていた。

 こんな事ならいっそ直接触ってくれた方が……。

 何で男共はこう、変な事をしたがるんだ!

 等々、心の中で悪態を吐いていられたのも束の間だった。

 アステラの手を中心にして、体の芯に痺れの様な、火照りの様なものを感じ始めていた。そしてその疼きは瞬く間に燃え上がり、灼熱の様にエイリーンの体を駆け巡った。

 全身を焼き尽くす焦熱感とは裏腹に、不思議と思考はクリアになり体調も悪くない。むしろ且つてない程にすごぶる快調だ。全能感の様なものすらあるなと、エイリーンの僅かに残る冷静な部分が現状を分析していた。

 エイリーンの体に十分に熱が行渡るのを待ってから、アステラはエイリーンを解放した。

 時間にして十分ほど。

 解放されたエイリーンの表情は上気し、僅かに緩みと艶やかさを帯び、女性としての色香を放っている。力が抜け、くたりと投げ出された手足は無防備さの表れだった。

 ベッドの上に無抵抗、無防備な美女が一人、密室で男と二人きり、である。

 のぼせた様な思考の中で、エイリーンは「あーこれはヤられちゃうなー」と諦めにも似た感情でアステラを見つめていた。まあでも、相手が勇者様なら悪くないか、何てそんな風にも思っていた。

 しかしそんな風に思っているのはエイリーンだけで、アステラには全くその気はないようだった。別に女嫌いであるとか、男色であるとか、大人の女性は守備範囲外であるとか、そういう理由からではない。

 初めからそういうつもりで施術していないからである。あくまでも『手当』を教える一環としてやっている事で、今のエイリーンの状態も正確に把握していた。何故なら自分も一度通った道だからだ。

 その時の事を思い出したアステラは思わず「ぉぇ……」とえずいていた。

 おぞましい記憶を振り払う様に首を一度振って気を取り直すと、未だ力の抜けたままのエイリーンに語り掛ける。

「そのままで聞いてくれ。今のでお前に俺の気を流し込んで気脈を開き、更に気を活性化させた。今感じている熱こそが、気によるものだ。それを上手く操る事が出来るようになれば身体能力の向上や自己治癒や疲労の回復を高めてくれる。更に熟達してくれば俺みたいに他人の気を操って『手当』をしたりも出来るって訳だ」

「何かめっちゃ溢れ出てるみたいだけど、ほっといて死んだりしないのか?」

「溢れ出てる様に感じてるだけだ。実際に体外に放出されてるわけじゃない。体を血の様に巡っているだけだから、放っておいて問題ない。精々後で少し腹が減るくらいだ」

「それならいいけどさ……他にやり様はなかったのかねえ」

 これは長々と行われたキスの事を言っていた。

 勿論それはアステラも理解していた。なのでこう返した。

「上より下の方が良かったか? 粘膜同士の接触が一番気を送り込むのに適してるんだ。と、俺に気を教えてくれたおっさんは言ってた」

 それを聞いたエイリーンは顔を青褪めさせた。それは貞操の危機だった事に対する反応ではなかった。

「お、お前、まさか……」

「…………ああ。やったさ……。むちゅ~っと、おっさんとな!」

 アステラの初めてのキスの相手はそのおっさんだった。

 当時のアステラはまだ十代半ば。成人と少年の間の多感なお年頃。そこまでロマンチックなシチュエーションに憧れていた訳ではなかったが、やはりそこはそれ。当時は強さへの貪欲なまでの渇望で乗り越えたが、やはり思う所はあったのである。

 一生の黒歴史おもいでになった事は言うまでもない。

「……騙されてる可能性は?」

「ないんだよ。後々になって俺もそう思ってな、全く別の人にも聞いてみたんだが、同じ事を言っていた。それに自分でもやってみれば一発で分かる」

「……それはご愁傷様。で、これであたしも気を使える様になったのか?」

「そんなお手軽な訳がないだろ。手っ取り早く気を感じ取れる様にしただけだ。後は自分で気をコントロール出来る様に訓練する必要がある」

「訓練ねぇ……。何をどう訓練すりゃあいいのやら」

「後で幾らでも教えてやる。その代わり──」

 アステラはエイリーンの目を真正面から見据えながら言った。

「今度はお前の話を聞かせてもらおうか」



 エイリーンの故郷は宇宙だった。

 宇宙を飛び交う船の中で生まれ、船の中で育った。

 エイリーンが生まれ育った船は少し変わった環境で、滅多に居住惑星に寄る事はなかった。補給はこっそりと。小惑星の陰での闇取引や、違法に建造され外法者たちの住処すみかとなっている自立移動が可能な人工小天体──通称キャラバン──で行われていた。真面な星の港に寄港する事など、銀河標準歴で一年に一度あるかないかであった。そんな時の船員たちは皆一週間ほど船を離れ、一年の稼ぎを女や賭博につぎ込んでいた。しかしエイリーンはそういった宇宙港で、ついぞ船を降りる許可を得る事はなかった。ただ、船に用意された自室で船員かぞくの帰りを待っていた。

 エイリーンが生まれ育ち、暮らしていた居た船は、海賊船だった。

 父親は誰だか分からない。海賊の中の誰かではあるはずだったが、そんな事を調べようとする奇特な人間など居る筈もなかったし、エイリーンも気にした事はなかった。

 母親は物心付く前に死んだと聞かされた。海賊に囚われた女奴隷であった。使い潰され、病気になり、そのまま死んだのだろう。何処の誰だったのか、覚えている者など居なかった。エイリーンも特に気にしなかった。

 エイリーンには多くの家族が居たから、そんな些細な事は気にならなかった。

 如何なる思惑か気紛れか、海賊たちは女奴隷が産んだエイリーンをとても可愛がっていた。エイリーンの見目が良かったからばかりではないだろう。

 物心が付くようになると、海賊たちの後を付いて回り、その所作や技術を見て、聞いて、真似て、学んでいった。そして上手く出来ると海賊たちも大いに喜んだ。それがまた嬉しくて、エイリーンはどんどんと海賊の知恵と技術を習得し、大人顔負けの女海賊として成長していった。そこには確かに、家族としての温かい繋がりの様な物が存在していた。

 転機が訪れたのはエイリーンが十二歳──海賊たちが毎年祝ってくれていた──を迎えた年だった。

 母親からの遺伝だったのだろうか、発育の良かったエイリーンは同世代の少女に比べて一足早く大人への階段を昇っていた。その事が、少女のあどけなさと大人の色香が混じり合い、海賊たちの背徳感を煽り立てる結果となった。

 しかし仮にも十二年。娘の様に可愛がってきた少女である。ついつい無防備なエイリーンの肢体に目を奪われる者は後を絶たなかったが、一線を越える者は現れなかった。

 エイリーンも性に無頓着だった訳ではない。

 海賊船には『仕事』の成果として金品だけでなく女を奴隷として捕まえて来る事は珍しくなかった。捉えられた女奴隷は海賊たちの共有財産として扱われ、徹底的に使われる事になる。

 大抵の女奴隷はキャラバンに向かう航海中に死ぬか、奴隷市で売られる。

 幸か不幸か、海賊たちに気に入られると売られずに、死ぬまで使い潰される事もあった。エイリーンの母親はこちらのタイプであった。

 そしてそんな女奴隷たちの世話をするのが、エイリーンの船内での仕事の一つだった。

 エイリーンは幼いながらも自分はこんな奴隷女たちとは違う、と見下していた。自分は仲間で、家族で、そして立派な海賊なのだと、そう信じていたからだ。そして事実、エイリーンの扱いはずっとそれに相応しいものだった。

 初めて『海賊』の仕事をこなしたのもこの年だった。ここでも海賊たちを真似、海賊たち以上に上手く殺し、奪い、かどわかした。しかし初めての殺しはエイリーンの心に大きな傷を作った。

 上々の仕事振りに海賊たちはエイリーンを持て囃し、エイリーンも嬉しそうに笑っていた。しかし心の澱は消えなかった。そしてその夜、当時一番仲が良く、年も一番近かった──と言っても倍ほど離れていたが──兄の様な存在に胸の内を明かし、エイリーンにしては珍しく涙を見せた。

 その時、人に見られるのを恥ずかしがったエイリーンは、彼の部屋で二人きりだった。

 それがまずかったのだろうか。

 その夜。エイリーンは強引に初めてを奪われた。

 そしてその日からエイリーンの日常は変わった。

 彼がエイリーンを犯した話を誰かにしたのだろう。毎晩必ず誰かがエイリーンの部屋を訪れ、エイリーンを抱くようになった。そしてそれを、エイリーンも強くは拒めなかった。

 海賊たちに抱かれるようになってからも、エイリーンの普段の扱いに大きな差はなかった。奴隷女たちとは違い、船内を自由に行き来出来るし個室もある。一緒に海賊仕事だってこなす。一緒に飲み食いし、馬鹿話をしては大いに笑い、大いにはしゃぐ。そこにただ一つ、海賊たちに抱かれるという仕事が加わったに過ぎなかった。

 海賊仕事とは違い、エイリーンにとって楽しい仕事ではなかったが、皆が悦んでくれる、皆に必要とされていると感じられる事が、エイリーンに行為を受け入れさせていた。

 そんな生活が三年続いた。

 海賊仕事をこなす様になってからはキャラバンに行く許可も出る様になり、そこで密かに避妊薬を手に入れていた。妊娠してしまうとその間、彼らの相手をしてあげられなくなる。そう考えての事だった。

 エイリーンが海賊として働き始めてから海賊団はメキメキと成長し、巡洋艦級三隻と駆逐艦級七隻の計十隻を要する艦隊を組むまでになっていた。団員も三桁を超え、尚も増加中だった。そんな団員たちを食わせるため、そして船の維持費を稼ぐため、海賊団は派手な仕事ばかりをこなすようになっていった。

 必然、エイリーンの二度目の転機が訪れる事になった。

 切っ掛けは団員が増えすぎた事だった。

 海賊団に入ればあの娘が抱けると、その界隈で有名になっていた。エイリーンはますます美しく育ち、道を歩けば誰もがその尻を、胸を触ろうとする。それを素気無くあしらうのに意識する必要もないほど日常になっていた。

 エイリーンに触れて良いのは、抱いて、好きに犯して良いのは、海賊団の仲間かぞくだけ。それも、一日に一人だけ。それがルールとなっていた。

 増えた団員は皆、エイリーンを抱きたがった。エイリーンも拒まなかった。そうなると当然、順番待ちが長くなる。初めの頃は一週間程度だったものが、一か月になり三か月になり、今では半年以上待っても順番は回って来ない。

 この状況に我慢できなくなった男が居た。エイリーンの初めてを奪った男である。

 彼は密かに治安維持組織である星系軍と取引を行った。自分とエイリーンの身柄の補償と引換えに、仲間である海賊を売ったのである。全てはエイリーンを独占するために。

 まんまと誘い出された海賊たちは星系軍に必死の抵抗を試みるも、単純な軍事力で軍に敵うはずもなかった。次々と撃沈されていく海賊船を後目に、裏切者はエイリーンの手を取った。さあ二人で逃げよう、と。

 エイリーンは首を横に振ると、銃を構え引鉄を一度だけ引いた。驚愕を浮かべる裏切者の顔は、涙で滲んでいた。

 海賊艦隊が制圧されるまでそう多くの時間は要さなかった。十隻の海賊船の内、駆逐艦級五隻が大破、二隻が中破。巡洋艦級一隻が大破、二隻が小破。船員に生き残りが居たのは小破した巡洋艦級二隻だけだった。それも間もなく全員が拘束され、その中にはエイリーンも含まれていた。

 他の海賊たちが裁判に掛けられていく中、軍は男との取引を守りエイリーンの身柄を保護。未成年かつ保護者が存在しない事から、児童養護施設に預けられる事となった。

 エリーンが預けられた養護施設には、この時代には珍しく人間の管理者が存在していた。黒の修道服を身に纏った彼女は、自身の事は「シスター」と呼ぶように言い、名前は決して名乗らなかった。

 少し後に知る事だが、彼女の事を「シスター」と呼ぶのは養護施設の子供たちだけで、街の──いや、星系くにの大人たちは彼女の事を「シスター・クイーン」、もしくはシスターを省き単に「クイーン」とだけ呼んでいた。エイリーンには分かる裏の人間などは「ブラッディ・クイーン」と呼び、彼女の視界に入る事すら畏れていた。

 エイリーンがシスターのもとで暮らしたのは僅かに三年間の事だった。

 しかし、この三年間が今の自分を形作ったとエイリーンは確信している。

 シスターは優しく、厳しく、強く、激しい人だった。

 エイリーンが養護施設に入居して教えられたのは、想像していたものとは全く違ったものだった。エイリーンについての情報は先に伝えられていたのだろう、シスターは自己紹介とエイリーンの部屋、後は他の施設の子供たちとの顔合わせを済ませると、エイリーンをある場所へと連れて行った。

 エイリーンが連れていかれた場所は軍艦の整備工場だった。顔パスどころかシスターの訪問を知るや、工場長が飛んで来た。エイリーンを工場長に預けると、「全部叩き込め」とだけ告げてさっさと帰って行った。

 それから二年、宇宙船の事についてありとあらゆる事を叩き込まれた。逃げ出した事も数知れずあったが、そんな時は直ぐにシスターに見つかり身の毛もよだつ仕置きが待っていた。死に物狂いで学んだ。その吸収の早さには工場長も舌を巻いていた。海賊船で得た知識と技術も役には立ったが、ここで得た物に比べれば些細な誤差の様な物だ。

 その間に『女』の使い方や戦闘技術、部下の使い方、身の回りの事。そして徹底的に仕込まれたのが料理だった。

 今のご時世料理は食べたい物を言えばありとあらゆる料理が自動かつ無料で用意される時代。わざわざお金を出してまで材料を自分で用意して調理する物好きな人間は少ない。趣味の中でも割と変人扱いを受ける趣味で、プロの料理人と言えば最早技術職というよりは、芸術家として認識されていた。

 シスターはそんな数少ない料理人の一人だった。それも芸術家ではなく、在る物で食える物を美味しく作る。それを最も大切にしていた。養護施設の食事は三度三度、全てがシスターの手作りで、エイリーンは良くその手伝いをさせられていた。

 養護施設に入って三年目、エイリーンが必要な知識と技術を得たのを確認すると、それからは各銀河法を詰め込まれ、情報の集め方や金の稼ぎ方などを実地で叩き込まれた。

 最後までシスターはエイリーンに、「普通」の暮らし方というものを一切教えなかった。

 その事を一度だけ尋ねた事がある。

 シスターは何故そんな事を聞くのか不思議そうな顔をしながら即答した。

「あんたは海賊だろう? だったらこんな中途半端じゃあいけないだろ。私はあんたが宇宙一の海賊になる為の手助けをしてるだけさ」

 どうかしてる、とエイリーンは思った。

 しかしシスターは本気だった。そしてそれだけの物をエイリーンに注ぎ込んだ。

 時に反発しながらもそれを受け止め、飲み込み、僅か三年の月日でシスターから「合格だ」と言わしめたエイリーンは、施設でも異例の速さでの卒業となった。

 施設を去る事が決まると、エイリーンの中に済々する気持ちと甘えと寂しさが同居していた。悶々とする日々を過ごしながら最終日を迎え、盛大に見送られながら施設を後にしたが、正直これからの事は何も決まっていなかった。

 さてどうしたものかと思案しながらも、足は自然と宇宙港へと向かっていた。特に何かがあったわけではない。気付けばそうなっていたと言うしかない。

 透明の板を一枚隔てただけの空間で、無数の宇宙船が忙しなく発着し、人や荷物が行き交っている。それをぼーっとエイリーンが暫く眺めていると、不意に肩を叩かれ、ビックリして振り返ると呆れた顔のシスターが居た。

「どうせこんなこったろうと思って来てみて正解だったね」

「あんたはもっと我儘になりな。折角卒業祝いも用意したのに、おねだり一つせずに出て行くんだからね。可愛げがない子だね」

 ニッと笑ったシスターの顔はまるで、施設に居た悪戯盛りの小僧たちの様だった。

 こっち来なとシスターがエイリーンを引っ張って行った先には、一隻の宇宙船が停泊していた。大きさは見た感じ一万トン級。宇宙船としては然程大きくはない。問題はそれが、軍の工場で学んだエイリーンも実物を初めて見る船だという事だ。知らない船ではない。知識としては知っている。知っているからこそ問題だった。

「餞別だ。受け取りな」

 そう言ってシスターは電子証明書を表示し、摘まんでエイリーンへと投げ渡す。シスターの動作に合わせて電子証明書は宙を滑り、エイリーンの面前で停止する。その画面には船主ふなぬしがエイリーンで登録されていた。

「宇宙一の海賊には、宇宙一の宇宙船ふねが必要だろう?」

 シスターが用意した船は、外宇宙船。カタログスペックを流し読みすると、外宇宙探査船と明記されていた。理論上、単独で宇宙を走破できる船だという事だ。

 何処からどうやって手に入れて来たのか知らないが、こんな高価な物は受け取れないとエイリーンが拒否すると、ならスクラップにするしかないね。とシスターは平然と言う。これが幾らする物か分かっている筈なのに。この小さな船一隻で銀河連邦の戦艦一隻よりお高く、まさに国家予算のうん%という代物なのだ。

「それにホレ。それは最初からあんたの所有物だ。私はそれを報せに来ただけさ。これからどうするかはあんたが自分自身で決めな」

 そう言って無理矢理押し付けられた外宇宙探査船が、今のペネトレイト号だ。

 そしてエイリーンが初めてペネトレイト号に乗り込んだ時に、今のP助の基になる妖精と出会い、そして遥か過去の記憶を取り戻す事になった。

 ペネトレイト号で一人宇宙へと旅だったエイリーンが始めたのは、宇宙一の海賊ではなく『なんでも屋』であった。

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