夏の川

晴田蕗

夏の川

 不思議な癖をもつ男の子がいた。


 制服のズボンの、太ももあたりをぎゅっとつかんで、たくしあげる。ふくらはぎと脛を露出させて歩く。


 きっと、少し大きな制服の裾を汚さないようにしていたのだろう。


 でも、そんな彼を見るたびに、わたしは彼の足元に、黒々とした川が流れているのを見た。彼の足は脛まで水に浸かっていた。彼の制服が、汚れた川の水に濡れてしまいそうだった。


 彼のズボンは、彼が掴んでいるところだけしわくちゃだった。

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夏の川 晴田蕗 @haruhuki

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