第5話
周囲の安全をしっかりと確認した後、当然のように椅子に縛り付けられた。
観念して大人しく後ろ手に縛り上げられる脱走者を足蹴にしつつ、少女は凄んだ。
「それで?アンタ本当になんなんだよ。なんでトイの銃使えたんだ。」
当然の疑問だ。本人が一番気になっている。
「いやあの時は夢中で本当に何も知らなくて・・・。」
「とぼけたって無駄だ。あの銃は先の時代の技術で作り出されたもんだ。何も知らないやつがホイホイ使えるもんじゃねーんだよ。トイはどう思う?」
先ほど蹴り飛ばされた少女がお腹を押さえながらよろよろと近づいてきた。まだダメージは残っているようだ。自分で歩けるまで持ち直した回復力に驚きを隠せず、
「k「もう大丈夫なんですか!?」
言葉を遮ってしまった。負い目もあるせいで聞かずにはいられなかった。
「・・・痛みはありますがそのうち回復します。お気遣いどうも。あなたの話に戻りますが、表情や仕草からは噓をついているようには見えませんでした。とはいえ信じがたいのも事実です。アイはどうしたいですか?」
随分とお互いを尊重しあうようだ。アイと呼ばれた少女は、傷ついた相方を支えるようにそっと寄り添う。
「私は・・・別に殺そうとまでは思わない。だが解放するのもナシだ。さっきみたいに銃を奪われたら反撃されるかもしれない。・・・いっそこのまま引き摺っていくか?」
ぞっとしない提案だ。
「せめて自分で歩く方向でお願いします・・・。」
「まぁ私たちもお前を引っ張っていくだけの余裕はないしな・・・。上に報告すべきかもわからないしとりあえずネストまで連れて行こう。」
「ネスト?」
「私たちの拠点です。そこならひとまずあなたの今後についてゆっくり話せます。」
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