第13話 放たれた弾丸
なおは結婚することについて、なおが開発した幸せなSNSで発表した。自らの喜びを共有し、自身の開発したSNSの宣伝効果も期待していた。なおのその思惑は的中し、SNSは祝福の声が溢れ、なおのSNSが提唱する幸せなコンセプトに見事にマッチし、好意的な反応を得た。
しかし、幸せな時間もつかの間、朝起きるとなおのスマホは着信が鳴り止まず、通知も終わることがなかった。上司からの電話に出ると、今すぐSNSを確認して出社しろと言われる。なおはSNSを確認すると、自分のアカウントから驚くべき投稿がされていることを知る。
なおは以前結婚していたこと。結婚した状態での複数の相手との不倫、結婚相手との離婚、密会などの写真が次々に投稿されていく。そしてつい最近まで女性と遊んでいる写真も投稿され、その相手が今回の結婚相手とは異なる人物だったことも明らかにされた。
この投稿は、通常であればAIによって弾かれるべきなのに、次々と投稿されたばかりか、それが開発リーダーであるなおのアカウントからの投稿ということで、SNSの信頼性も揺らぐ事態となり、その問題はより大きくなっていくことになる。
出社したなおは、全ての投稿がなおのスマホからの投稿に間違いないことを確認されていることを知り、そんなはずはないとどんなに弁明しても誰からも信用されなくなってしまっていた。
なおは一夜にして全ての信用を失った。
そしてその当日の夜、週刊誌からも記事が出されることで、なおの投稿が全て真実だったことが明るみになる。実を言うとなおの動向はすでに週刊誌からも抑えられていた。なおが世間に出始めて、調子に乗っていることをよく思っていなかった、同僚や不倫相手達からのリークによるもので、基本的には一般人だったためなおの記事は抑えられていたのだが、今回の問題が起こったことで、週刊誌も後追い記事として出しやすくなったのだった。なおが今までしてきた行動の全てがブーメランになって自分に返ってきたことになる。
身動きが取れなくなったなおはホテルに逃げ込んだ。そして一人に電話をかける。
「もしもし」
「わかってる」
「結婚は中止しよう」
「やっぱり天罰が降ったのかもね」
なおは何も答えない。
「親友を裏切るんじゃなかった」
みくは電話を切って天を見上げた。
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