第9話 二度目のプロジェクト
なぎとなおの所属する会社では、全社員が企画書を出せるイベントが開催される。ループ前の一度目の経験では、なぎがなおと相談しながら考えた企画がグランプリをとり、なぎがリーダーとしてプロジェクトを進めることになった。なぎはそのプロジェクトの成功がなおとの関係に影響を与えたと勘違いしていたのだが、プロジェクトの成功となおとのすれ違いは大きな問題ではなかったことをなぎもう知っている。このプロジェクトが始まる前からなおは不倫を開始していて、不仲の理由をなぎに押し付けようとしていただけだったのだ。
なぎは復讐の計画を進める中、このイベントも計画の一部として組み込もうとしていた。今回はなぎではなく、なおに企画書を提出してもらおうと画策していた。
「なお、この企画案どうかな?」
なぎは微笑みながらなおに質問した。なおはプロジェクトの詳細を熱心に聞きながら、興奮気味に、
「なかなか面白いじゃん!これならうちのチームでも実現できそうだし、いい感じで進められるかも」
とコメントした。
なぎは微笑みを崩さず、
「そう思ってくれて嬉しい」
と言いながら、なぎはなおの意見を大きく取り入れているように見せかけながら、ループ前の仕様に近づけていき、なおがこの企画の主要部分を考えたと思い込ませていった。
「なお、これでこの企画案をまとめておいたから」
「なぎ本当にいいの?これはなぎと二人で考えたみたいなもんじゃない?」
実際はなぎがほとんど考え企画書もなぎが書いていたのだが、
「実際なおの考えがほとんどだし、私がリーダーになるよりもなおの方が向いてると思うから、出してみてよ」
「そこまで言われちゃしょうがないなあ。じゃあ僕が提出しておくからね」
「プレゼンちゃんとよろしくね」
「それは得意だから」
なぎはうまくなおを丸め込んで企画を提出させた。
ループ前と同じように企画は決勝まで残った。最後のプレゼンが心配ではあったが、なおは本当にこういう時のプレゼンがうまく、人身掌握術に長けていた。
結果もちろんなおはグランプリをとってプロジェクトリーダーとなった。そして今回はなおの推薦で、なぎもプロジェクトに参加することになった。しかしアドバイザー的な立場に止まることをなぎは提案し、深く関わることはないようにした。
なおはなぎに忙しい時のメールの提出などを頼むようになり、結果的になおのパソコンにログインできるようになっていた。これによってなぎはなおの公私に渡った状況の把握ができるようになっていた。
そしてなおも忙しいプロジェクトの最中、夜遅い時間の言い訳がつくようになり、自由に羽を伸ばす回数も増えていった。
なぎはそのなおの行動の全てを把握しながら、計画を着々と進めていたが、なおは全くそのことに気が付いていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます