第7話 突きつけられた現実
なぎのはループしたことでこの人生をやり直せないかと、心のどこかで思っていた。覚悟を決めていたはずだったのに、あの幸せだと思っていたなおとの生活が全て嘘だったとは思いたくなかった。運命の歯車がまた二人をしっかりと繋ぎ合わせてくれないかとも思っていた。夢と現実、幸せと絶望が交錯する中で、なぎの心は揺れていた。
なぎは最初、プロジェクトの忙しさによってなおとの関係がぎくしゃくしていると感じていたが、実際には結婚からわずか一ヶ月後からなおは別の女性との関係を築いていた。あの書類に書かれていたことをなぎは俄かには信じられなかった。あの事実を知った瞬間、なぎの心は裏切りと絶望に覆われた。なおはなぜ私と結婚したのか、なおはずっと私を騙していたのか、なおの気持ちは今も全くわからない。もし今回も同じような展開が続くのなら、なぎは自分の未来を切り開くために、そしてなおに復讐するために、覚悟を決めなければならないと思っていた。
運命の日、なおは昔の友人と食事に行くと言って家を出ていった。前回のループでもそうだった。なぎは全く疑っていなかった。しかし今回、なぎは探偵を雇って尾行させ、なおの行動を把握することに決めた。そして探偵からの連絡があった。やはりなおは女性と密会していた。ホテルに入って休憩し、ホテルから出てくる様子がビデオにしっかりと収められていた。なぎは現実を目の当たりにした。ループ前の出来事が夢であって欲しいという彼女の望みは一瞬にして打ち砕かれ、厳しい現実に変わってしまった。
覚悟を決めていたなぎだったが、やはり現実を突きつけられ、ショックを受けた。失望と絶望に包まれていたなぎだったが、やがて彼女は力強く立ち上がり、計画を進めることを決断した。彼女はこのループで、自分の幸せを築くために前に進むことを決心した。そのためには過去の痛みと向き合い、未来を切り開く覚悟が必要だった。
深夜、帰ってきたなおはいい感じに酔って気分が良さそうだった。なぎは吐き気を堪えながら眠ったふりを続けた。寝相が悪いと寝られないからと、二人のベットを別々のものにしておいて良かったとなぎは心の底から思っていた。
上機嫌で帰宅したなおだったが、流石に寝ているなぎを起こすのは悪いかと思ったようで、自分のベッドに横になった。何も知らないなおはすぐにいびきをかいて寝初めてしまった。能天気なおの行動に苛立ちを隠せなかったが、なぎは大きく深呼吸して気を落ち着かせると、「始めるよ」とラインを入れた。「OK」という返事が帰ってきた。
なぎは計画を進めるスイッチを押した。
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