EP.14.33「Re:ニュー神成ビル」(中編)

12月3日 17:35 月川市

ニュー神成ビルダンジョン


「後は三ブロックか」

フロアギミックを一つ解除して、残りの部屋へと向かう。後は、モンスターハウスと特殊地形マット縛りの部屋、このどっちとも接近戦を不得意とする僕としては非常に苦手となる条件下であり、ミナセに頼りっきりで攻略したブロックでもあった。

左右の見通しの効く通路の壁際で一息つきながら持ち込んだペットボトルを開けて、中身を飲み込もうとした瞬間、視界に攻撃予告線が広がる。

反射的にしゃがみながら前に避けると同時にレーザー光線がペットボトルを溶かすようにして通過していく。

「なるほど、再攻略だから当然ながら難易度調整も有るってか、初見殺しのビーム攻撃、面白くなってきた。」

飛んできた方向に対してサンダーバレットを右手に構えながら前へと進む。



以前は特殊地形マット(踏むと火傷判定の入る溶岩模様のマット)縛りの部屋、ここに以前は存在しなかったボス級モンスター、"グランドゴーレム“が鎮座していた。

「ご丁寧に、フロアギミックのトラップドアの真上にお座りしなくても・・・。」


再び視界いっぱいに赤い攻撃予告線が広がる。左右に避けようにも溶岩模様のマットが広がっており足場がない。ミナセは確か流水演舞で受け流していたんだっけな。でもスキル効果が実際に使えるのであれば。


『クリックワイヤー』


天井にあるあたかも、何かを引っかけるように用意されていたフックに向けてサンダーバレットの引き金を引く。次の瞬間、リモートレイドバトルと同じ用に銃口からワイヤーが飛び出して続いて自分の身体が引っ張られて天井の方向へと移動する。


天井に足を付けるのと同時に天井の内部にある鉄筋に靴裏に電磁力を伝わせ天井に張り付くイメージをする。

「仮説が一つ証明されたな、イメージできることは実行できる。物理エネルギー的には不可能かもしれないが、理論的に可能ならできるのか。であれば一気に攻めるのみ!」


武器を短剣"白鷺剣"に持ち替えて一気にゴーレム頭上まで天井を走る様に移動してそこで靴裏の電磁力を外して重力に従って落ちながらスキルを発動する。


『ライジングアタック』


頭から重力に従って足下まで切り裂く。空想表示のゴーレムを貫通して地面に落ちる瞬間身体はふわりと一瞬浮かび上がり足下から地面に着地する。


「?」


[システム:フロアEXボス グランドゴーレム を討伐しました。(タイム 0:11)

     討伐報酬 アイテム MPポーションLE ×1 入手しました▽]


システムポップアップメッセージが表示されるが、落下速度を軽減させたであろうモノが見当たらない。それに特段落下速度軽減さえるためのイメージもしていない。だが結果として有るだけ、考えても何も思い浮かばないのでとりあえずは寝かせることにして、トラップドアを開けてフロアギミックを解除する。


「後は二つ」


トラップドアを元に戻して先へと進む。




──1──


先ほど討伐報酬で手にいれたMPポーションLEを服用してから装備品を長剣"白雪剣"に持ち替えてモンスターハウスの扉を開ける。

「さてと一暴れしますかね『スノーブレード』


部屋に入ると同時に冷気を纏わせた剣を思いっきり振り回し不意打ちのごとく出てきたモンスターを一気に打ち返して中へと進み。



『ライジングアタック』

正面から頭上から突っ込んでくるスケルトンに対して斜め45°からの一撃を与えてさらにフロアギミックのボタンをめがけて部屋の奥へと進む。


ボタンが目に入った瞬間、左足に冷たい手の感触するのと同時に引っ張られる。

「アンデットか、孤弱な真似を」

左手に白雪剣を持ち替えて突き放すのと流れるようにして左腰のインベントリーからサンダーバレットを取り出し引き金を引きボタンを弾丸で押し込む。


「外した、違う威力不足で押し込めてない」


ギミック解除の通知が流れないから失敗と判断してさらに近づく。その瞬間、視界が左方向に流れながら沈み込み、送れて右頭部に痛みが走る。


「ッチ油断したか」


張り倒してきた牛の骨が頭から生えたモンスターめがけて引き金を引く。があまり効果が無いようである。

再び頭突きをしてくるのでそのタイミングを狙って再び引き金を引きようやく倒す。


「おやおや、ちょっとじゃれていたらすっかり囲まれちまったな」


次のモンスターの攻撃の前にインベントリーからアイテム“煙炎弾”を取り出し地面にたたきつける。

次の瞬間、煙と火の粉が辺り一帯に広がりモンスターへ延焼して火炎状態にして倒す。



「今度こそ!」



ボタンまであと数メートルといったところで再び引き金を引き、弾丸でボタンを押し込む。


[システム:フロアギミック解除 残り2]



システムメッセージが表示されると同時に部屋中にいたモンスターの姿が消えて部屋が床がよく見えるようになる。



「あと一つ」


モンスターハウスを後にしてフロアマップを表示する。だが右上のフロアステータスに書かれた一文に目がとまる。


[7F]残りフロアギミック:2


「残り二つ・・・。」

何を外し損ねた?フロアマップを確認するが前回クリアした時に存在していたフロアギミックの解除ボタンは全て押していたはず。探索していないのは、前回中身があんまりおいしくなかった宝箱のあった小部屋だけ・・・。


「まさか、宝箱部屋も攻略対象なのか・・・」

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