EP09.「喫茶店の片隅で」

  11:10 月川市メトロストリート

  喫茶 幻想の縁側


表通路から見えづらい奥のテーブル席に座り店員さんに各々注文を伝えてから、人行く着くかのようにみんなで端末を外す。

「それで、さっきのやつただのイベントじゃないだろ?何か効果はあったのか?」

クロポンがイベントログを確認する。メトロストリート内にある定点カメラでも、RPFのプレイ状況がモニタリングできるので、何があったのかの確認は容易にできた。


タブレットを操作して"三日月の記憶"を月川の場所を示す赤い点に吸い込まれると、そこを中心とした白い膜が地球儀全体を覆い隠すように広がっていく。映像では僕たちが離れた後の様子も確認でき、白い膜が消えた後の地球儀はすべての地点が夜の状態のように暗く表示されて、少し経った後に元通りの日照標示に戻っていった。


「三日月の記憶が消えて代わりにこれが手に入った」

タブレットから流星の鍵を選択してそのアイテム説明をクロポンに見せる。

「約束の扉を開くための鍵・・・ねぇ、それってまさかそんな事があるのか?」

RFSを表エンド(世界平和の解決にあたり新月教会を解散)と裏エンド(世界平和のために一度世界を再起動して新月教会と和解)をどちらともクリアしたことのあるクロポンには、このアイテムが存在すると言う事が、どういう意味を持つのかすぐにわかったようである。

「でも、同じ名前のアイテムがあるなんて別に珍しい話じゃないし蘇生のレリーフでって、あくまでもHP切れのプレイヤーの復帰時間を早めるだけだし、死んだNPCサポーターの蘇生ができるわけじゃない。それに本当にアイテムであれば人に作られた天使の役は誰が・・・」

クロポンがタブレット返してくれるのと同時に店員さんが注文したモノを持ってきてくれる。

それぞれ一口ずつ口にしたところで、クロポンがタブレットに表示された次のお題を見せてくる。


「とりあえず、今はイベント攻略の話をしようかさっきのイベントで次のお題が表示された。これで最後らしい。"月夜に浮かぶ河を渡る者"?なんじゃそりゃ」

河は地面の上にあるもの、言うのであれば月夜に山中にある河を渡る者、のはず、月夜に浮かぶじゃあ、まるで星空に河があるような言い方じゃないか。


「いや、待てよ月夜に浮かぶ河?天の川じゃないのか?」

グッタがスマホで何かを調べ始めるのとと同時に銃声が店内に響き渡る。

対人戦PvP⁉、何でこのタイミングで!」

急いでタブレットからサンダーバレットを装備する。襲撃しているのは、先制打を撃ってきた狙撃手含めて三人、うち一人は近接戦しかできないのか、店内に入ってくるのが分かる。

「ミナセ、中に入ってきたやつを頼む。ユイノは僕と一緒に外にいる人間を、グッタはサポートを頼む」

クロポンが遅れて対戦指示を出すが、それぞれが役割を分かっているがの如く、支持と同時に装備の展開を完了させる。


『ライジングブラスター』

無詠唱で範囲攻撃を打つクロポン。それに対してスキルを使わなければ引き金を引くだけのボクとでは、どっちの方が戦い方が派手でなおかつ、目立つかと言われると、当然ながら、クロポンの方に攻撃が集中するわけであり、飛んできた攻撃をグッタが展開したバリアで吸収しつつ、無効の姿が見えるタイミングをひたすら待つ。


お互いに弾切れのタイミングで一瞬弾幕が止む。その瞬間敵プレイヤーの目標矢印が目に入る。

「そこだ『サンダーバレット シャワー』」

散弾の効果を付与した弾丸をスキルで一斉射出する。敵プレイヤーに命中標示が出るのと同時にカウンターバズーカが飛んでくる。


「面白い。『雷砲 サンダースパーク』」

顔を出してきたところに命中させて撃破判定を確認する。


「まずは一人!すべてを焼き尽くす業火となれ『ブラストバーンング』

もう一人の撃破判定が出るのと同時にミナセが剣を鞘にしまう。


「かたづけ おわり」

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