EP08.5「メトロストリート(その2)」

  10:45 月川市メトロストリート

  "街の歴史"コーナー


月川市の前身は 貴族"晴伊"氏が治める川原と呼ばれる地域であった。霜峠の更に奥、神緋田と呼ばれる盆地には、高品質な鈴銘炭と呼ばれる石炭が算出され、石炭の産地として有名であった。しかしながら、1923年5月21日、三日月の夜に発生した"三日月流星群"が神緋田の地に落下、地下水脈を丁度貫く形でクレーターを形成、神緋田湖を形成する天災が発生した。これにより鈴銘炭が産出出来なくなった川原は一気に経済力が低下、これと前後して強豪地主月科氏と、石炭運搬船を運行していた幸川氏が合弁で設立した、"株式会社月川"が台頭、地元事業者の半数近くを買収。月川経済圏を設立、1933年委任統治領として"月川"が発足、その後月川ホールディンクスに経済主体が移行し、1999年の、企業統治領月川地峡が発足、グループ内での企業体制変更が存在しつつ今に至ると、何枚もの写真と共に展示されている、がその中に一枚違和感を感じるものがある。

「これ三日月流星群の写真だけ浮き上がっている?」

写真のに手を合わせる。しかし。中に何かある?手で触れてたものをそのまま掴んで引き寄せる。


[システム:"三日月の記憶"を獲得しました]


「ユイノ何だそれ?」

一部始終を見ていたミナセが疑問の声を上げる。だが、アイテムの説明は"三日月の記憶。"としか書かれておらず、使い方や効果も何も書かれていない。ただ分かるのは入手方法とアイテム分類が貴重品として扱われていると言う事だけである。このイベントで使うものじゃ無いのか?

「何も情報がない。ただ貴重品として扱われているだけ」

他に何か情報はないかとレリーフをくまなく調べるが特段に変わったことがなく、次に何をすればいいのかヒントもない。だが、これでイベントが終わるとは思えない。つまり、このレリーフが正解じゃないのか?


それじゃRFSのプロローグ通りでいいのか?

「これが正解じゃないのであれば地球儀が正解か?でも地球儀何てあったか?」

地球儀がありそうな所、文房具屋か家具屋か、


「「これ銀の時計の広場じゃないのか?」」

クロポンとグッタが同時に声を上げる。銀の時計の広場といえば、天井から銀の時計(月川時間)と地面に書かれた地球儀を取り囲む形で、国際主要都市の時計がある待ち合わせ場所の定番。確かに地球儀と言えばそっちの方が思い浮かぶか・・・。普段ここで待ち合わせしないから思い浮かばなかったし、深く考えすぎたのかもしれいな。




   ──2──

  11:00 月川市メトロストリート

  銀の時計の広場



銀の時計の広場に到着するとアイテムインベントリの枠から赤い通知マークが出てくる。通知を開くと三日月の記憶が赤く強調されている。選択すると地球儀の月川の場所に落ちていく。その直後白い膜が月川を中心に地球儀全体を覆う。

[システム:"流星の鍵"を入手しました]


「なんだ今のイベントは?」

周りにいたプレイヤーがざわつき始める。だが、今の光景には何処かに見覚えがあるような気がする。

「ユイノ、ちょっと場所を移動しようか。次のお題も手に入った」

そうクロポンに言われると手を引かれて脚早に広場を後にする。

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