EP05「見慣れた天井」

side:ユイノ


システム履歴:三時間前

[システム: ボス ノームコアスライム を討伐しました。(タイム 1:20)

     討伐報酬 アイテム ミラースライム ×4

          スキル モノマネカウンター

 ※ラストアタックボーナス パラメーターコンバーター

                        を 入手しました▽]

[システム:ノームコアスライム1 に狙撃された。765ダメージを負った。

     ユイノは力尽きた。

     ペナルティ 再ログインまで60分

           アイテムロスト 失せモノ保険 x1個▽]

     

「見慣れた天井だ・・・」

鏡を破壊したと同時に僕の分身に背後から狙撃された。所までは覚えている。がそのシステムメッセージを見た後の記憶がない。



「目が覚めたかね?」

安塚先生が病室の奥の方から声を掛けてくる。病院のベットの上で寝ていると言う事は、中継器の電池切れか?いや前の定期健診から半月しかたってないし、そんなに早く電池が切れるとは思えない。自分の身体が目に入る範囲で確認する。目立ったケガも見当たらない。病院でいる理由がすぐに思い浮かばない。

「キミ、胸の所の傷跡、何でなのか思い出せないのかね?まぁ、ミナセ君の話だとキミの悲鳴が聞こえて様子を見に行ったら君の服が血で濡れていたって話だったけど、どうなっているのかね?」


安塚先生の話を聞いて少し思い返す。確かに狙撃されて背中から胸のあたりまで何かが当たった感じがする。だが、背後から狙撃されたのであれば背中に傷跡ができるはず。まさか貫通したのか・・・?


「とりあえず、検査はした結果はその謎の傷跡があるだけでそれ以外は何も異常はなかったから、それは安心するといいよ。でも念のために、今晩は検査入院してもらうよ。一応中継器も充電はしておいてあるけど、何かあったら困るからね。親御さんには病院の方から連絡を入れておくから」

そう言うと安塚先生はノートパソコンを畳んで病室の扉を開けて出ていく、のと入れ替わりにミナセが入ってくる。


「うーん、一応先生にはわかる範囲での状況説明をしたが、本当にその傷跡、心当たりはないのか?」

ミナセは付添人用の椅子ではなく、ベットに腰を掛けて聞いてくる。

「・・・。ボスを撃破したのと同時に背後がから僕の分身に狙撃された。それだけしか」

ありのままの事を正直に話す。先生の話が正しければ、服が血に濡れて倒れているところをミナセに見つけられて、運び込まれたって話であるが。

僕の話を聞いて、ミナセは少し考えてこんでから、周りの様子を確認してから小さい声で話し始めた。


「ユイノが嘘をついているようには思えないし、ボクも正直なことを話す。昼間サンダーバードを攻略していた時に、ちょっちミスって被弾をしたんだが、その時被弾箇所を実際にケガをしたのかのように血が出て、直後HPポーションの効果を受けると、傷も引いていた。ボクとしては実際に何かぶつかってケガをすることは有るかもしれないが、それをゲーム内でのHP回復アイテムで治せるとは思えない」

確かに、サンダーバードを攻略中にミナセのHPバーが少し赤くなったからHPポーションを支援利用したことは覚えている。


「そこでボクは考えたんだ。ありえないかもしれないけど、ゲームの中での出来事、少なくとも第三街区公園での一件と、今回のミズホモールでは現実と連動していると考えざるを得ないと思う」

言われ見れば、第三街区公園での一件で、誰も聞いたことのないスキルを求めてミズホモールを再攻略しているわけんだから、その仮説に行きついてしまうの納得がいく。だが、実際にそんな事がありえるのであろうか?所詮はARゲーム、"仮想表現されている出来事"それが現実に起きるとは到底思えない。


「で、ここからが本題。アイツが使っていたスキルが本当はRPFのモノではなく、実在する魔法じゃないのかって話」

「何が言いたい?魔法使いは実在するとでも言いたいのか?」

僕はそれを聞いて思ったことをすぐに聞いてみる。もし本当にそんなことがあり得るのであれば、世界のルールが変わってしまう。


「もちろん、魔法使いは実在するとはっきりとした確証はない。だけどそうでもしないとゲームの中での出来事を現実に反映させる方法が思い浮かばないし・・・」

その仮説には確かに一理ある。だが、仮にそうだとしたとき、その魔法によって発生した火を消したミナセも魔法使いになると言う事だろうか?


「ミナセ、言いたい事はわかる。だけども仮にそうだとした場合、その魔法によって発生した火を消したミナセ自身も魔法使いになるのか?」

ミナセは丸でハトが豆鉄砲を喰らいでもしたのような顔をして黙ってしまった。でも、仮にそうだとしても、ミナセもそのマントの人物がいなかったノームコアスライム戦で僕が、ケガのようなモノを受けた原因が全くもってわからない。

もっと他の角度から見る必要がある。




まさか、ね?ノームコアスライムで錬成した分身は現実に鑑賞できる特殊能力、いやARによる仮想再現ではなく、実際にAIロボットによる実態があるとでも言うのだろうか?だとしてもあのマントの人物が直ぐに消えた事に関する説明ができないな。

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