第47話

「地底人は強い酒を好むらしい。」

地上世界のファンタジーでのドワーフのイメージに触発された人間が、地底世界に度数の高い酒を持ち込んだ所、売れに売れたらしい。


「地下世界は蒸留酒でもそこまで度数が高い酒は作れなかったらしい。」

聞くところによると安定した燃料の供給が難しかったらしく、酒造りに燃料を回すより他に重要な案件に燃料を回すべきだという、真っ当な主張が通っていたらしい。


「さすがにスピリタスは行き過ぎだったようだけど。」

地上世界で96度を誇る蒸留酒は、地下世界でも常飲する人間が少ないらしい。


地上世界との交易で強い酒が流入したこと、燃料の安定供給の目途が立ったことで地下世界でも蒸留量を増やす酒造会社が増えているらしい。今後、地下世界初の蒸留酒が地上を席捲する日もくるかもしれない。


「次は醸造酒を持ち込んでみるか…」

向こうでは、ビールぐらいしかまともな醸造酒は存在しないらしい。

日本酒やワインを持ち込めばもう一儲けできるはずと、算盤をはじく。

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