第33話

「次は魚かなぁ。メルルーサとかどう?」

教授の呟きにまたしても反応が遅れた俺はカメラを担いで撮影に飛ぶ事となる。


「別にメルルーサだけじゃなく、ここいらにいない他の魚の写真もよろしく。」

研究室の同僚からかけられた言葉がこれだ。


「確かにサンプルを増やすいい機会だけれどさ…」

居住地の近海では取れない種類の魚のサンプルは確かに必要だ。


「だからと言って、餞別が図鑑とは…」

先日の壮行会で渡されたのは、最新の魚類図鑑のデータ。水中眼鏡端末にダウンロードしてあって、魚が視界に入ると自動的に図鑑から名前を表示してくれるらしい。おまけに、撮影済みかの記録もしてくれるように調整してあるようだ。


「さて、現地コーディネーターとおちあって、撮影を始めますかね…」

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