第32話

割と多くの職業がAIやロボットに置き換わってきたが、理容師・美容師は今でも人間のみだ。

曰く、「頭の近くに刃物を持った機械が近付いて来るのが怖い。」

曰く、「人ならばまだしも、機械が近付いてくると避けてしまう。」

曰く、「剃刀怖い…」


養成学校は今でも盛況らしい。

とは言え、昔と違ってヘアカタログは置いていない。鏡型端末に投影された映像を見ながら、髪型や髪色を決められるからだ。


「『投影した髪色に染めるのが1番難しい』ってのは、なんとも言えないなぁ。」

担当の美容師曰く、髪質の個人差で狙った髪色を出すのが、大変らしい。余りに奇抜な色だと別料金になっている所もあるくらいだ。


「まぁ、白髪を染めるくらいなんだけどねぇ…」

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