第13話

「台風ねぇ。」

過去の記録映像を見ながら呟く。

気象が制御され、台風は発生するものの経済活動に影響がないコースを通るようになって久しい。


その昔行われていたと言う「台風中継」はアーカイブ上のものとなった。

「何故、こんな状況で屋外中継を行っていたのか…」

大雨の中、強風に飛ばされないように体を固定して中継を進めるリポーターの根性に若干引く。


「今回は何周周回するのだろうか?」

殆どの場合、台風は太平洋上を周回し周辺の大気を大きくかき回した上で消滅する。


「さて、仕事に向いますか。」

実に100年ぶりと言う台風中継の為に太平洋上を航行する船へ向かう。過去の偉人達の偉業を越える伝説を作るために。

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