第14話

「台風中継って前世紀の遺物だとおもってたよ。」

「俺も。まぁ、台風が上陸しないようになって随分経つからねぇ。今回は船上中継だし。」


バラエティー番組が企画として、太平洋上で台風中継を敢行した。


「すげー雨と風だなぁ。これが上陸してたと考えるとゾッとするな。」

「屋根が飛んだり、建設中の木造住宅がぺしゃんこになったりしたらしいぜ。」

「それは凄いな…」

台風が上陸しないので、我々の世代は台風の力は過去の記録映像か数値でしか知らない。


「なんでも、林檎の生産地が台風の直撃を受けて、林檎が落下。その年の林檎は不作になったとか。」

「収穫目前だと、辛いものがあるな。」

「但し、落下せずに残った林檎は、受験生に売れまくったらしいよ。」

「何でまた?」

「落ちないからさ。」

「…」

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