第62話 決戦はロボで決める

 敵の首領、デスクラウンがいるはずの塔の中に突入した俺達。


 入って見たらだだっ広い、ローマの闘技場もどきの空間だった。


 「クックック♪ ようこそお越しくださいました、マカイジャーの皆様♪」

 「ヒャッハ~♪ 甦ったよ~ん♪」


 場所の中央の地面に魔法陣が描かれ、中から出て来たのは二人の人物。


 紫ローブに金仮面の怪人デスクラウン。


 もう一人は、やはりホムンクルスとかで蘇ったか。


金髪ツインテールにバトルスーツを纏った美少女、マカイキラー。


 敵のボスが揃って俺達のお出迎えだ。


 「ああ、フルメンバーでお前達を退治しに来てやったぜ!」

 「あんた達の手下は、他のヒーロー達も倒してる! 子供達を攫って邪神復活の生贄になんて、絶対にさせないわ!」


 こっちもビシッと言い返す。


 「ええ、してやられましたよ♪ ですが、ゴーバン様は私を核に甦ります♪」

 「イェ~イ、ザ~ンねっ!」


 俺達の目の前で、デスクラウンがマカイキラーの胸を抜き手で貫く。


 「あいつ、手前の女を殺しやがった!」

 「悪党にしても外道の極みですな}

 「ドン引きなのだ、許せないのだ」


 イエロー、ブルー、グリーンが憤る。


 「皆様、危険です!」

 「あいつ、マカイキラーを生贄にしたであります!」

 「え、と言う事は復活阻止ならずですか?」


 シルバーとホワイトが警戒し、ピンクが驚く。


 「皆さん、塔から出てロボを呼びましょう!」

 「いえ、今すぐ呼ぶべきです!」


 ゴールドとオレンジがロボを呼べと叫ぶ。


 「察しが良いですねえ、マカイキラーの心臓をコストに復活です!」


 マカイキラーの骸が大口を開けたデスクラウンに吸い込まれる。


 「よし、王権魔法発動!」

 「全ロボット集合!」


 俺とレッドが手を握り、金色の光を発しながら召喚魔法を発動させる。


 俺とレッドの頭上に金色の魔法陣が現れると、魔法陣が俺達全員を吸い込む。


 その後、空間をぶち破り全部合体した俺達の巨大ロボが現れる。


 俺達の切り札、ロイヤルパンプキンオーが最初から合体モードでお出ましだ。


 「「ロイヤルパンプキンオー、参上!」」


 コックピットの中、俺達マカイジャー全員が叫ぶ。


 俺達がロボを出したのと同時に、デスクラウンも自分の体を風船の如く膨らませて紫色の巨大な一つ目の巨人へと変化した。


 伝説の邪神ゴーバン。


 その姿は角や蝙蝠の翼などが追加され、オリジナルから大分かけ離れていた。


 『これぞ新たなゴーバン様のお姿、デスゴーバンです♪』

 『私達ずっと一緒だね、ダーリン♪』


 デスゴーバンの胸には、デスクラウンとマカイキラーの顔が浮かんでいた。


 「皆、ビビってないわね? タイマンの時間よ♪」

 「流石レッド、我が最愛のヒロインだ♪」


 正気の度合いが減りそうな時でも、彼女の心の火は消えない。


 マスクの下が満面の笑顔なのも素晴らしい。


 「おっし、俺も負けてられないぜ皆で勝つぞ♪」

 「「マカイジャー、ゴー!」」


 全員で叫び、巨大戦が始まった。


 さっきまで闘技場だったのがいきなり、戦場が荒野に変わる。


 デスゴーバンがあんこ型の力士体型の腹から触手を生やして襲い来る。


 よく見たら、敵のタッパが三百メートルと同じサイズになってる。


 「汚いわね! パンプキンクナイ!」

 「いや、あっちの方が早い!」


 デスゴーバンの触手を苦無で切る前に、こっちの手足が絡め取られる。


 『遅いですよ♪ ここでは私達の性能は十倍です♪』

 『ここなら負けないもんね~♪』


 邪神のしもべ共が嘲笑う、だが俺達は負けない。


 「十倍だ? ハンデにもならねえよ!」

 『殿下、我が青の宝玉の力をお使い下さい!』


 ブルーが俺達に通信を入れて来た。


 「よっしゃ、ブルーの力を借りるぜダークドレイン!」


 ロイヤルパンプキンオーの全体が青く輝き、機体をに絡みつく触手が干からびて朽ちて行く。


 『うぎゃ~~っ! 何よこれ~ッ!』

 『まさか、こちらの生命力を吸ったですと?』


 敵さんが驚きの叫びを上げる。


 「青の宝玉って、ロボに吸血鬼の力を与えるのね」

 『お次は、あっしの黄色の力を使って下せえ♪』

 『緑の力も使って欲しいのだ♪』


 俺の隣でレッドが、宝玉の力に感心するとイエローとグリーンからも通信で意見具申が来たので承認する。


 「レッド、左半身の操作を頼む♪」

 「オッケー♪ スイッチオン♪」


 ロイヤルパンプキンオーの機体が緑と黄色ツートンに変化。


 右腕がドリルの牙を生やした狼の頭、左腕が巨大ハンマーに変形して突撃。


 「「ロイヤルバイト&クラッシュ!」」


 狼頭で敵の腹を噛み、ハンマーで頭を殴る。


 肉は削られ、殴り飛ばされたデスゴーバン。


 普通なら致命傷のはずだが、再生して立ち上がって来た。


 『やりますねえ、だがまだまだですよ』

 『うっき~~~っ! 喰らえ~~ッ!』


 デスゴーバンが目から破壊光線を発射して来た。


 「甘いぜ、白の宝玉の力!」

 「銀の宝玉の力も使うわ!」


 こっちは次はシルバーとホワイトの力を借りて氷の盾を作り、光線を防ぐ。


 『この野郎~~っ』


 マカイキラーの人格がデスゴーバンを操り、こちらを殴る。


 だが、殴られたこっちはピンク色の煙を上げて姿を消して別の場所に転移した。


 「ピンクの宝玉は忍法ね♪」

 「分身と変わり身の合わせ技だな♪」

 『ニンニン、伊賀の忍法の力です♪』


 ピンクの通信はあざとかった。


 『馬鹿な、何故こちらが翻弄される?』

 『インチキよ!』


 敵が不満を垂れ流しながら、蝙蝠の翼を巨大化させて飛び上がる。


 「知るか、こちとらあらゆる悪党に立ち向かう為に備えて来たんだ!」

 「私達からすれば、あんた達なんか悪党のワゴンセセールの売れ残りよ!」


 我が最愛のレッドが敵を煽る。


 レッドの煽りに敵はブチ切れて、空から黒い雷を降らせてきた。


 こっちも魔族だよ? そんな攻撃が当たるか!


 『緊急回避、ドリフトトルネードでさあ♪』


 イエローが危険運転で、スケートの演技みたいにすいすい避けられたよ。


 『金の宝玉の力も使て下さい♪』

 「おっし、ゴールドの力を借りるぜ♪」

 「なんか、デカいギターが出て来たわよ?」

 『魂を込めて弾けばいいんです♪』

 「「ゴールデンシンフォニー!」」


 ロイヤルパンパンプキンオーが、巨大な金のエレキギターを掻き鳴らした!


 家のロボがギターを鳴らすごと、音符型の光の弾丸が放たれる。


 光の弾丸と雷が音ゲーのようにぶつかり合い相殺された。


 『ええい、埒があきません!』

 『ダーリン、何であいつらしぶといの?』


 敵は今度は、虚空から骨と肉で出来た弓矢を取り出して矢をつがえて来た。


 『弓ですか、ならばこちらも弓で参りましょう♪』

 「任せて、決めて見せるわ♪」


 オレンジの宝玉の力を借りれば、こちらのロボも巨大なオレンジ色の和弓を手にして矢を番えて構える。


 『死になさい、ゴーバンアロー!』

 『行け~~~っ♪』


 悪のバカップルが叫び、鏃が頭蓋骨の矢を放つ。


 「甘いわ! サンセットシュート!」


 レッドが叫び、ロイヤルパンプキンオーかが夕焼けの如き炎の矢を射る。


 こちらが射た矢は、敵の矢とぶつかり霧散化して対消滅した。


 「よし、じゃあ一気に決めようか♪」

 「待て、あいつらなんかおかしい?」


 ロイヤルスラッシュで止めと思ったが、レッドが敵の異変に気付く。


 『マカイキラー、あなたの命をいただきます』

 『え、ダーリン? 嘘でしょ!』


 敵からマカイキラーの反応が消えた。


 『ファッハッハ♪ デスゴーバンを制御するのは私だけで良かったのです♪』


 デスゴーバンの姿が、紫色の道化服を纏い黄金の仮面を被ったピエロに変化する。


 「ここで第二形態か、来いよド外道!」


 自分のパートナーを害するって、本当にド外道だな。


 「あんた、あらゆる面で最低ね? 叩き切ってやる!」

 「同感だ、ロイヤルパンプキンブレード!」


 許せぬ悪をぶった切るべく、必殺剣を取り出して八相に構えた。


 『そう簡単には行きませんよ、私は弟の首狩りピエロとは違うんです♪』


 デスゴーバンが巨大な処刑鎌を手にして振りかぶり、こっちに襲い来る。


 大太刀対大鎌による打ち合い、敵のスピードが上がり確かに手強くはなった。


 「舐めるなよ、山羊原流八方返し!」


 俺は冷静に機体を操作し、相手の打ち込みを全て大太刀で受けては弾き返した。


 「流石ナイト、私の稽古相手が務まるだけはあるわね♪」


 レッドが俺を褒めてくれる、嬉しい。


 『ば、馬鹿な! 何故私の攻撃がいとも簡単に!』


 飛び退いて焦るデスゴーバン。


 そりゃあ、お前みたいな悪党を叩き潰すべく準備してきたからだよ。


 「当たり前でしょ、私達は一人じゃない!」

 「魔族と人間と神様が手を合わせて作った、最強チームだからな♪」


 他のヒーローともコネを作って協力体制も築いて来た。


 『……く、見逃しませんか? 金銀財宝はお望みのままに差し上げます♪』


 デスゴーバンが虚空から、金貨や宝石の詰まった巨大な宝箱を出して見せた。


 「「ふざけるな、レインボーバースト!」」


 俺達全員で叫び、機体の胸から虹色の光線をぶっ放す!


 敵は、大爆発に包まれる。


 だが、爆発の中からゲホゲホと咳きをしながら奴は現れた。


 『ちいっ、騙されませんでしたか!』


 今度は、無数の分身体を作り出して遅い掛かるデスゴーバン。


 「分身ならこっちもできるんだよ!」

 「忍者が仲間にいてよかったわ♪」


 ロイヤルパンプキンオーも、相手と同じ数だけ分身して攻撃を受け止める。


 この手の手合いには、徹底的に相手の技を無効化して絶望させてやる。


 鎌を回して回転攻撃を仕掛けてくれば、こちらも回転して弾き返す。


 「ナイト、そろそろ止めを刺しましょう?」

 「ああ、ここで決めるぜ! デーモンガーデン展開!」


 今度は敵をこっちの土俵に引きずり込む、場所は宇宙空間だ。


 『ば、馬鹿なっ! 何でこんな事が出来るんだ!』


 自分が作った特殊空間を上書きされ、愕然とするデスゴーバン。


 それはこっちが、お前以上のチート能力持ってるからだよとは言わない。


 「それじゃあ、成敗の時ね♪ 行きましょう!」

 「ああ、全力全開で断罪してやる!」


 燃え盛る太陽を背負い、刃が虹色に輝く大太刀を大上段に構える。


 「「天下御免の大成敗、ロイヤルスラ~~~~シュ!」」


 振り下ろされる断罪の刃は、デスゴーバンを逃さず一刀両断。


 ロイヤルパンプキンオーが残心を決めれば、相手は骸も魂も残さず霧散化した。


 「これにて一件落着ね♪」

 「ああ、帰ろうか♪」


 俺達は特殊空間を解除し現実空間に戻ると、塔を破壊して敵の島から脱出した。

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