第61話 決戦の開始

 マカイキラーとの巨大戦もどうにか制した俺達。


 お陰様でバレンタインを無事に過ごす事が出来た。


 英気を養ったし、気合いを入れて頑張るぞ。


 「あの女、結局何がしたかったのかしら?」

 「おそらく、時間稼ぎと俺達のデータ取りじゃないかな?」

 「悪党の実験動物に使われてた事だけは哀れね、所業は言語道断だけど」

 「お約束なら、ホムンクルスか何かで再生怪人になる展開だよな」

 「悪の組織のテンプレね、出てこられた方はた迷惑極まりない所だけど」


 勇子ちゃんと俺は二人で、茶道的なお茶をしながら語り合う。


 俺は着物姿の勇子ちゃんを堪能しつつ、赤星家の茶室で寛ぐ。


 「着物姿の勇子ちゃんも綺麗だね♪」

 「……あ、ありがとう♪」


 いやあ、最高のひと時ですなあ。


 何か、仲間達や両家の家族が気を回してくれて俺達二人きりだよ。


 「で、どうなの?」

 「結構なお点前で♪」


 名目上は、勇子ちゃんの茶道の稽古に付き合うと言う事なので。


 実際、勇子ちゃんが手際よくお茶を立てる姿を見て感心していた。


 抹茶はそこらのコンビニで売ってる奴だけど、問題にはならない。


 何を飲むかよりは、こう言う時は誰と過ごすかだよなと俺は思う。


 「デスクラウンって、あの金仮面ピエロがボスでマカイキラーが幹部なのよね?」

 「そうそう、他にも戦力がいるとかは現在も調査中」

 「敵の基地が分かれば、後は討ち入りして倒すだけなんだけどね?」

 「他のヒーロー達の力も借りて探し出そう、協会に案件は投げてる」

 「そうなの?」

 「マカイキラーの指名手配も即日だったのは、ヒーロー協会が本腰入れたからだよ」

 「子供は未来だもんね、今の時代は猶更」

 「昔もそうだけど、富に目がくらんだ奴らが馬鹿な事して来たからな」

 「お金に弱いのは進太郎、あんたもそうよ?」

 「肝に銘じてる、勇子ちゃんに顔向けできない事はしないよ」


 勇子ちゃんは俺の外付けの良心回路でもある、心の支えだよ。


 「あんたの面倒は私が見るわ、私の目の黒い内は悪さ何てさせないからね♪」

 「うん、そこはお願いします」


 喜んで俺は彼女の尻に敷かれよう。


 「んじゃ、辛気臭い話は終わりにして普通にお菓子食べましょう♪」

 「勇子ちゃん、その笑顔が可愛いよ♪」


 俺の目の前で、笑顔で粔籹おこしをバリバリ食う姿は可愛かった。


 そんな癒しの一時を終えて帰宅した俺、足がしびれた。


 「お帰りなさいませ、如何でしたか♪」


 ザーマスが出迎えてくれた。


 「ああ、勇子ちゃんの笑顔は最高だったよ守りたい♪」

 「思春期全開ですね♪」


 うん、一生思春期で良いよ俺。


 「進太郎、来たわよ~♪」

 「ほわっ! 天使が舞い降りた!」

 「殿下は舞い上がっておられますな」


 さっき別れた勇子ちゃんが我が家にやって来た。


 いや、ここも彼女の家になるのだから問題はないがどきどきである。


 「進太郎の家でご飯食べて来なさいって? あんた、大丈夫?」


 勇子ちゃんが俺に近づき身を案じてくれる、ヤバイ。


 「で、殿下っ! 鼻血がっ!」

 「ちょ、あんたまた鼻血出して~~~っ!」


 うん、気持ち良く鼻血が出たよ。


 気絶しかけた俺は、勇子ちゃんの回復魔法で助られた。


 「レバニラに鰻にと精が付く物にしておいて正解でやしたね」


 ガンスに呆れられた。


 「進太郎、あんたもっとガッツリ食べなさいよ!」

 「はい、いただきます」


 俺は情けないが勇子ちゃんが隣に来て、ほうれん草や鰻やらを食わせてくれる。


 「あんたの面倒は私が見るから、戦いの時はシャキッとしなさいよね?」

 「ありがとう、そうするよ」


 デカい戦いも近くなりそうなのに、早く調子を戻さないと。


 翌日、東京湾沖に空間が揺らぎ一つの奇怪な塔が立つ黒い大地の島が出現した。


 『地球の者共よ、我が名はデスクラウン♪ ゴーバン教団の教祖である♪』


 巨大な幻影を生み出して高らかに謳い上げるデスクラウン。


 『我らはこの地にゴーバン様を降臨させる、手始めにこのちんけな島国の子供達を生贄にいただこう♪ 出でよ我が下僕達よい♪』


 デスクラウンの幻影が加害宣言と同時に魔法陣を生み出し、手勢を召喚する。


 「「そうはさせるかっ!」」


 悪の言葉に抗うのは正義の雄叫び!


 地球を、人々の笑顔を、平和を愛する様々なヒーロー達が現れる。


 緑の装甲の戦士、ワールウィンドも空へと飛び上がり竜巻を起こして悪魔達を切り裂いて行く。


 当然、俺達マカイジャーも地球を守るヒーロー達の戦列に加わっていた。


 まさか、満月寺さんが占いで敵の出現場所と時間を割り出してヒーロー達に緊急招集掛けて来るとは思わなかったぜ。


 「デーモンナイト、マカイジャー! お前達は先に行け!」


 アメリカから加勢に来てくれた未来の義父。


 ファイヤーガーディアンが背中を押してくれた。


 「おっす、決めて来ます!」

 「背中はお願い、パパ!」

 「ああ、行って来なさい♪」


 ヒーロー軍団とゴーバン教団の先端が開かれ、来激しい攻防が飛び交う。


 「マッスルファイヤー!」


 真紅の巨人バーンマッスルが空を飛び、全身から高熱の火炎を放出して空を覆い始めた無数のガーゴイルの群れを焼き払う。


 「切り裂くぜ、ウィンドスピン!」


 緑の装甲の戦士、ワールウィンドは海の上を走り海上で体を回転させて竜巻を起こして敵の動きを止める。


 「今の内に、敵陣へ突っ込むぞ!」

 「鬼が島ならぬ悪魔の島へいざ行かん!」


 レッドが桃太郎みたいな凍を言い出す。


 「お供いたしますよ!」

 「あっしは、犬より優秀ですぜ♪」

 「全速力で行くのだ!」


 ブルーとイエローが射撃で空からこちらに来る敵を迎撃。


 グリーンが漁船を改造したボートの操縦。


 シルバーが潮流を操りスピードを速める。


 ホワイト、ピンク、ゴールド、オレンジは氷の筏を漕いで俺達に続く。


 島に近づけば、オーガやトロールにゴブリンなどファンタジーで見た敵の地上戦力が魔力を弾丸にして飛ばす攻撃で迎撃して来た。


 「させるかよ、デーモンホール!」


 俺はブラックホールを開けて敵の攻撃を吸い込み、仲間達を守る。


 「ゴールド殿、ピンク殿、オレンジ殿は殿下達のボートへ!」

 「はい、そうします~~~っ!」

 「ホワイトさん、がんばって♪」

 「お任せしますよ♪」

 「任されたでありま~~~すっ!」


 ホワイトは海に飛び込むと、乗って来た氷の筏を島にいる敵群へとぶん投げた。


 ド派手な爆発が起こり、俺達は爆風に乗じて上陸を果たした。


 「皆、戦いながら名乗るぞ! ゴートランド王国王子、デーモンナイト!」


 漆黒の鍬を振るい、敵をなぎ倒しながら俺から名乗る。


 「赤い勇者、マカイレッド♪」


 レッドも炎を纏った両手剣で敵を切り捨てて名乗る。


 「青い勇者、マカイブルーでございます♪」


 ブルーもサーベルで踊るように敵を切り裂きながら名乗る。


 「黄色い勇者、マカイイエローでさあ♪」


 イエローは二連装ショットガンと拳銃で射撃を行いながら名乗る。


 「緑の勇者、マカイグリーンなのだ~~っ!」


 グリーンは自分と同じくらいの身の丈のトロールを、バックブリーカーで粉砕しつつ名乗りを上げる。


 「銀の勇者、マカイシルバー! 公務を執行いたします!」


 シルバーは水流を纏った三叉槍を振るい、敵を薙ぎ払いながら名乗る。


 「ニンニン♪ 桃色の勇者、マカイピンクでござる♪」


 ピンクはあざとく忍者アピールをしながら名乗り、手裏剣で敵の首を切り落とす。


 「黄金の勇者、マカイゴールド! オンステージです♪」


 ゴールドはギターを爪弾き、衝撃波で迫り来る敵兵を爆散させながら名乗った。


 「オレンジの勇者、マカイオレンジ! レッドとナイトの恋路は守ります!」


 オレンジは、和弓から炎の矢を放ち、敵を火だるまにしながら名乗りを上げた。


 「周囲に敵影は無し、塔に乗り込むぞ!」

 「「応っ!!」」


 俺達は、ラスボスが待ち構えているはずの黒い塔へと突き進んだ。

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