第60話 バレンタインの決闘!
謎の怪人、マカイキラーと遭遇した俺達。
「明らかに私達に対抗する為の怪人よね、あいつって?」
「マカイキラー、デスクラウンと同じ組織の輩だろうな?」
明日はバレンタインだと言うのに、強敵との遭遇でブルーな気分になる。
「悪のライバル幹部なんて、もっと早く出て来るもんじゃないの?」
「きっと、俺達と喧嘩できるだけの装備の製作期間とかあったんだよ」
勇子ちゃんと通学路を歩きつつ語り合う。
俺達にも敵にも時間は平等に流れる。
バレンタインの後は三学期末のテストが待ち受ける、こっちの方がきつい。
「明日のバレンタイン、楽しく過ごしたいわね」
「今度こそ完膚なきまでに叩きのめそう」
「うん、次は逃がさないわ!」
俺達の幸せの為にも、あいつは倒す。
しかし、こちらと渡り合える装備は厄介だな。
敵さんにもロボとかあったりして?
まあ、あるだろうなあ。
「敵の本拠地も探してるんでしょ?」
「ついでに、相手の素顔も変身後も画像撮影して情報は流した」
「あんたに私以外の女を撮影されるの、ちょっと複雑」
「ごめん、そこは仕事だから」
「わかってるわよ、あんたと繋がてるんだし」
あの時、マカイチェンジャーでこっそりマカイキラーの素顔も記録していた。
ヒーロー協会に活動報告する為だけど、ついでに指名手配もして貰った。
マカイキラーの首にかかった賞金は、銀行強盗と公務執行妨害で三十万円。
これで、奴が日本のどこに出現してもヒーロー達から狙われる。
俺からの嫌がらせだ、日本のヒーロー社会をなめるな悪党♪
「進太郎、お金に目がくらんでるけど大丈夫?」
「おっとごめん、奴の賞金がそこそこでさあ♪」
「シノギは真っ当に稼ぎましょう、ヒーローも任侠よ♪」
教室で勇子ちゃんに窘められた、任侠精神もシノギもどちらも大事だね。
昼休み、都内各地の幼稚園や小学校にマカイキラーが出現しヒーローに撃退されると言うニュースが話題になった。
「都心に出た三十万円の女、ヤバいらしいな?」
「ゴスロリゾンビメイク? 痛くない?」
「男子って、こういう女が好きなんでしょ?」
「いや、ないわ~!」
スマホでニュースを見ている生徒達からの評判は悪いようだった。
「標的が子供狙いって事は、ゴーバン教団で間違いなさそうね」
「ヴィランネームも俺達に喧嘩売ってるし、間違いはないだろうね」
俺と勇子ちゃんも教室で一緒に弁当を食いつつ、ニュースを見る。
あちこちに同時に出てると言う事は、アバターの可能性もあるな。
俺達相手には、本体が出てるとかか?
「疑問は尽きないけれど、まずは燃料補給よ進太郎♪」
「そうだね、食える時に食うのは戦士の鉄則だ♪」
腹が減っては戦はできぬ、俺達は食事で英気を養った。
敵が都下にも出ると予想し、学校を早退した俺と勇子ちゃんとグー子さん。
ギョリンが操縦するオレンジ色の南瓜の馬車が校門前で止まったので乗り込む。
「ギョリン、他の皆は?」
「殿下の指示通り、藤林殿以外は、フンガー殿とザーマス殿は朝子殿と赤星家の守備でガンス殿とエティ殿は山羊原家に配置しております」
「藤林さんにも連絡を!」
「もう来ておりますよ、ニンニン♪」
俺達の会話中に、突如馬車の中に入って来た藤林さん。
まあ、忍者だし驚く事はない。
「今回もシャッフル編成で行くのね?」
「そういう事、基地の守りも大事だから」
今回の編成は、俺とレッドの他にピンクとゴールドとシルバーの五名。
十人戦隊なので、編成バリエーションが増えたからできる芸当だ。
「むむっ! 皆様、空に異変が!」
「あれはゲートだ! デカいのが来るぞ!」
「仕方ないわね、皆は避難とかお願い!」
「それじゃあ、俺達はロイヤルゴートで迎え撃つぜ!」
馬車の進行方向の空に、黒い穴が開いたのを目撃した俺達。
俺と勇子ちゃんは変身して馬車から飛び出し、ロイヤルゴートになる。
「「完成、ロイヤルゴート!」」
双肩のアーマーが黒山羊の頭な漆黒の巨大ロボット、ロイヤルゴートが空を飛ぶ。
こちらが飛び立ったのと、敵がゲートから出て来るのが同時だった。
「ちょ、何? ゴスロリロボ?」
「巨大なゴスロリ少女ロボ、ニッチだな」
『ヒャッハ~~~♪ キラーちゃん、参上っ♪』
こっちの機内に大声が響く、マイクで外に向けて喋てる奴だ。
相手がこっちの空間に出て来た所を空中体当たりで弾き飛ばす。
『卑怯者~~~っ!』
「そっちに言われたくないわ!」
「市街に被害は出させないわ!」
運良く開けた場所に着地した俺達。
相手も生身のようにくるりと着地しやがった。
周囲に建物や人がいなくて良かった。
『この子はキラーメイデン♪ 愛しのデスクラウン様が、私にくれたお気に入りのお人形なの♪ 可愛いでしょ~♪』
マカイキラーが操るのは、金髪ツインテゴスロリロボ、キラーメイデン。
ボディは白と黒のワンピース風の装甲、両手の拳にはメリケンサック。
「あいつ、ヤバい魔法でも掛かってるんじゃないの?」
「俺達には救えない者だよ、救う気はないけどさ」
『死ねやヒーロー共っ!』
キラーメイデンが虚空から黒いパラソルを召喚して、先端を俺達に向ける。
パラソルはライフルの機能があるのか、ビームを発射して来た。
「避けたら市街地に当たる、魔力フィールド展開!」
「凌いだら反撃開始よ♪」
ビーム系の武器なら、バリヤーで耐える。
『うっそ~! ビームが効かないなら殴っちゃえ~~~♪』
邪悪な美少女ボイスが機内の集音スピーカーから聞こえてくる。
聞いていて気分が悪くなる、呪詛が籠った声だ。
モニターを見れば、キラーメイデンの拳がこちらに迫る。
「舐めるな、ゴートパンチ!」
「すかさずもう一発よ!」
俺とレッドの連続操作で、パンチの連打で相手のパンチを迎え撃つ。
『チクショウ! 何だその固えロボットはっ!』
美少女声の罵声が響く、答えてやる義理はない。
キラーメイデンはスカート状の腰の装甲をたくし上げてミサイルを発射して来た。
『させませんよ! スケイルミサイル!』
こっちの後方からシルバーの声が響き、リュウギョオーのミサイルが敵のミサイルを全て相殺し爆発する。
「よし、増援が来た♪」
「これで遠慮なく攻撃に回れるわね♪」
『殿下、レッド、守りはお任せ下さい』
『私達で街は守ります!』
『あのロボットは食べられませんね』
仲間達から通信が入る。
「よし、攻めて行こう♪」
「ええ、ぶっ飛ばすわよ♪」
街の守備はリュウギョオーに任せ、こちらはキラーメイデンを殴りに行く。
『チクショウ、二対一とかやってられっかよ!』
「逃がさないわ! ここで決めるわ!」
「ぶっ潰すぞ、レッド!」
「「ロイヤルゴートストンプ!」」
俺達はロイヤルゴートを飛ばし、足裏に光の紋章を描きながら敵に向かい空中からドロップキックを叩き込んだ。
『くっそ~~~っ! 覚えてろよ~~~ッ!』
爆散するキラーメイデン、マカイキラーは脱出した様子は見えなかった。
「これであいつは倒れたのかな?」
「どうぜ、クローンとかで再生とかしてまた襲って来るでしょ?」
「あり得るからおっかないな」
「何度でもぶっ飛ばせば良いのよ♪」
レッドが軽く俺の胸を叩いた。
翌日。
今日は、待ちに待ったバレンタインだ。
学校が終わり、赤星家に招かれた俺は居間で座り勇子ちゃんを待つ。
「進太郎、出来たわよ~♪」
熊の刺繍が胸に付いた、ピンクのエプロンを着た勇子ちゃんが台所から出て来る。
「お、チョコケーキワンホール♪」
「ガンスから教わった、私特性のチョコレートケーキよ♪」
ケーキの載った皿を抱えた勇子ちゃんが、ちゃぶ台にケーキの皿を置いて座る。
「人生で最高のバレンタインだぜ♪」
「さあ、ありがたく食べなさい♪ あ~ん♪」
「あ~ん♪」
俺と向き合う形で座った勇子ちゃんがケーキを切り、俺に食べさせてくれる。
「美味いぜ、ありがとう♪」
「私が作ったんだから当然よ♪ じゃあ私にも、食べさせなさい♪」
「おお、喜んで♪ あ~ん♪」
今度は俺から勇子ちゃんにケーキを食べさせる。
戦いの後、二人きりで味わう甘い時間は最高だった。
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