第59話 武闘派幹部マカイキラー登場!

 宇宙での仕事を経て、ひとまずは全合体での必殺剣ロイヤルスラッシュに開眼した俺達マカイジャーは地球へと帰還した。


 大使館の会議室で長机を囲み話し合う。


 「整備の中で判明したのは、リミッターがエネルギーの伝達阻害していたと言う事なのだ。 必殺技の使用時には、解除するように改良したのだ」

 「リミッターの効果か、ありがとう」

 「でも、既存武器を媒介にする方法ならリミッター外した分を威力に回せるわ♪」


 フンガーの報告で安堵した、制御も大事だけどそれで戦えないのは駄目だよな。


 「今後は、全力全開で敵を殴れますな♪」


 ザーマスが微笑みながら俺達に紅茶を注いで回る。


 「後は、戦いながら改造とかでやすね♪」


 ガンスが明るく微笑む。


 「気晴らしに魔物狩りを提案しま~す♪」

 「私も、魔物料理が食べたいです♪」


 藤林さんとグー子さんが提案する。


 「休める時に休むで、何処かで休暇を入れましょう」

 「疲労を溜めていたら、満足な戦いはできないであります!」


 ギョリンとエティは休暇を提案する。


 「福利厚生は大事ですね♪」


 朝子さんも休みたいと言い出した。


 「わかった、調整して休もう」


 仲間達を労わねば、俺も休みたい。


 「ヒーローって、休みが休みじゃない生き方だけど頑張って休みましょう」


 勇子ちゃんがまとめる。


 俺は仲間達に、ローテーションで休暇を取らせる事にした。


 管理の表とかやるのは俺の仕事なので、ギョリンに教わりつつ事務仕事を行った。


 「休みとは言いつつ、私達はパトロールよね♪」

 「まあ、これは大事な事だから地域重視で」

 「ホームの人達を大事にするのは、スポーツチームもヒーローも同じね」


仲間達の休みは決まったが、俺と勇子ちゃんはヒーローや戦隊としての休みは取らず普段通り学業と合わせてパトロールや事務仕事に訓練にと励んでいた。


 「取り敢えず、周辺には敵の気配はまだないかな?」

 「そうね、こっちも異常な熱源は見えないし、引っかからない」


 俺は魔力と近辺に飛ばした使い魔での索敵。


 勇子ちゃんは、熱源探知に加えて空に浮かぶ太陽にアクセスして索敵。


 太陽と月は神々が地上を見る監視衛星の機能があるらしい。


 お天道様が見てるって、比喩じゃなかったんだ。


 俺達の索敵の欠点は、異次元に潜む敵は探れない事。


 「進太郎、カフェ寄ってこ? エネルギーが足りないの」

 「わかった、急いで補給しよう」


 ふらついた勇子ちゃんを抱き止め、商店街にあるカフェに入る。


 店でクリームパフェを頼み、俺がスプーンで勇子ちゃんに食べさせる。


 「勇子ちゃん、エネルギーだよ?」


 人の身で神の権能を行使した勇子ちゃんは、ごっそりMPが減っていた。


 「ありがとう、もう自分で食べられるわ」


 何口か食べさせると、勇子ちゃんも持ち直して自分で食い出した。


 「便利な力だけど、負担かけるのは良くないぜ?」

 「うん、流石にやって見て疲れたわ」

 「朝子さんに診て貰おう、神の方は俺じゃわからん」

 「うん、今日は早めに帰る」

 「しっかり送って行くぜ」

 「召喚して良い?」

 「当たり前だよ、場合によっては俺の方が召喚して魔界で保護する」

 「ありがとう♪」

 「俺達は、互いが互いのヒーローだろ♪」

 「うん、早めに復活するわあんたの事守らないと♪」

 「その間は俺が守るよ♪」

 「流石は私の二号ヒーローね♪」

 「いや、そこは俺が勇子ちゃんのファーストヒーローでしょ?」

 「私があんたのファーストヒーローだから、あんたが二号で合ってるの♪」


 俺は勇子ちゃんの心身の回復を早める為、漫才をしつつ彼女へと魔力を流す。


 守りたい、彼女の明るい笑顔と他愛もない日々を。


 パフェに加えて、真ん中にクリーム山盛りなデニッシュを食って彼女は回復した。


 代わりに、三千円しかなかった俺の財布は重症になった。


 ……うん、愛する彼女の為なら安いね。


 「進太郎、後でお茶代返そうか?」

 「大丈夫、ここはおれが甲斐性見せる所だから」

 「わかった、戦働きで返すわ」

 「勇子ちゃん、男前だね」

 「任侠の心意気よ♪」

 「いや、わけが分からないよ」


 店の外を出ても、俺達の漫才は止まらない。


 翌日、俺達マカイジャーチームは銀行強盗と対決していた。


 当然、ただの強盗ではなく異形の怪人達による強盗事件である。


 「モ~スキ~~ト! 出たなマカイジャー!」

 「ア~~~スワ~~~ム! 返り討ちにしてやるぜ!」


 一人は蚊人間、もう一人はミミズに手足が生えたミミズ人間。


 「いや、どっちも英名叫んでるだけじゃねえですかい!」


 イエローがツッコむ。


 「蚊ですか、吸血鬼の品位を落とす輩は許せません!」


 ブルーがサーベルを構える。


 「逃がさないのだ~!」


 グリーンは、デスクワークのストレスをぶつける気で巨体を揺らす。


 「ぶっちめるわよ、ナイト♪」


 レッドが元気に語りかける。


 「ああ、無理すんなよレッド♪」


 俺はレッドの隣に立ち構える。


 「街の人達の預金を返すであります!」


 ホワイトが吠え猛れば、彼女の周囲に冷気が生まれる。


 この怪人達だけなら、俺達は負ける気はしなかった。


 だが、俺は銀行の屋上に新手の悪の気配を察知する。


 「新手か? デーモンガーデン!」


 敵を逃がさず街に被害を出さない為に、特殊空間を生み出して引きずり込む。


 「あっれ~? 何この殺風景な空間?」


 敵の新手は、青い装甲を纏った少女であった。


 金髪ツインテールに赤い瞳、ゾンビみたいな青白い肌。


 顔の下半分は、黒い牙をむいた鬼のようなメンポ。


 棘の生えた黒い肩アーマー、腰の装甲はスカート状のドレスに似た青い金属製のバトルスーツ。


 悪の美少女戦士と言う風体の敵だった。


 「用心棒殿、お気を付けを!」

 「逃げれないワ~ム!」

 「はいはい、大体わかってるっての!」


 少女は怪人二体を赤いエネルギーを纏った連続蹴りで、爆散させた。


 「ちょ! あいつ何なの?」

 「わからんが、総員警戒態勢に入れ!」

 「「了解!」」


 俺達は敵の新手を警戒し、グリーンとホワイトを前に立たせる陣形を取った。


 「もしかして名乗れって事? 私、マカイキラー♪ じゃ、死んじゃえ~っ♪」


 マカイキラーと名乗る少女が、赤い刀身のナイフの二刀流で突っ込んで来た。


 「「マカイキャノン、発射!」」


 こちらは相手が名乗る間に召喚した大砲から、ビームをぶっ放す。


 「その位なら、受けれるし~♪」


 マカイキラーはビームを胸部装甲で受けながら進んで来る。


 「総員散開、各箍で当たるぞ!」


 大砲を送還し砲撃をキャンセル。各自で挑む流れにシフトする。


 「面白♪ じゃあ行くよ♪」

 「宝玉解放、グリーンハンマーなのだ!」


 まずはグリーンが、巨大ハンマーを天に振り上げ落雷を呼ぶ。


 「ヒャッハっ♪ こわいこわ~い♪」


 マカイキラーは降り注ぐ稲妻を避けながらグリーンに刃を振るう。


 「スケーティングカバーであります!」


 ホワイトが地面を凍りつかせて滑り込み、巨大な氷の盾でグリーンを庇う。


 「ちいっ! こんな物っ!」


 マカイキラーは足を滑らせつつも体を持ち直し、ナイフの突きで氷の盾を砕く。


 「脇が甘えな! マカイショット!」

 

 グリーン達の背後からイエローが回り込み、敵の脇腹を撃つ!


 「がはっ! この、犬野郎!」

 「へ、犬になるならお大家の犬でさあ♪」


 脇腹を撃たれ派手に転がるも起き上がり、突進するマカイキラー。


 「血の気が多い方ですね? 吸い取って差し上げましょう、ドレインバット!」


 ブルーがマカイキラーに向けて、赤い蝙蝠の群れを飛ばして襲わせる。


 「舐めんな、スチームバースト!」


 マカイキラーは、肩から勢いよく蒸気を噴き出して蝙蝠の群れを粉砕する。


 「今ね、ナイト?」

 「ああ、ゴートアーマー装着だ!」


 俺とレッドは、ゴートアーマーを装着してマカイキラーへと突進。


 「「ダブルゴートパンチ!」」

 「がは~~っ!」


 二人でマカイキラーに拳を叩き込み吹き飛ばす。


 派手に飛んで行ったマカイキラー、装甲が凹みメンポが無くなる。


 「ちいっ! これはちょっともらい過ぎたか、帰るっ!」

 「ちょっ! 転移した?」

 「マジか、まだそんな余力があったのかよ!」


 よろよろと立ち上がり、姿を消したマカイキラーに驚く俺とレッド。


 ライバル怪人と言うべき存在の登場に、戦慄したのであった。

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