第58話 必殺、ロイヤルスラッシュ!

 「ロイヤルパンプキンオーの課題は、動力だな」


 夢の全部合体に成功した物の。必殺武器であるロイヤルブレードを顕現させたら五分で合体状態が解除となった。


 「武器出して五分じゃ、勝負どころじゃないわね?」


 勇子ちゃんも頭を悩ませる。


 運転テストを終えて山に戻るとゴールドパンプキンオーを城に戻して、仲間達と円卓の間で話し合う。


 「殿下達の精神的な問題とかですかね?」


 ザーマスが疑問点を述べる。


 「いや、皆の士気は高かったじゃねえですか?」


 ガンスがそこは違うのではと言い出す。


 「城やロボット自体に、問題がないか見てみるのだ」


 博士枠のフンガーに、機械的な事は頼むしかなかった。


 「では、トレーニングのように何度も合体と運用を重ねてはいかがでしょうか?」


 ギョリンが手を上げて発言した。


 「修練あるのみでありますな♪」


 エティが皆に笑顔を向ける。


 「そうですよ、今の内に鍛えておきましょう♪」

 「藤林さんは、ロボで魔物を狩りたいだけでは?」

 「魔物を狩る事は鍛錬にもなりますから♪」


 藤林さん、グー子さん、朝子さんがそれぞれ意見を言い出す。


 「そうだな、やはり何度もやってみてだな」

 「全部合体での運用訓練ね♪」


 勇子ちゃんが気合を入れた。


かくして、通常業務の合間に魔界にて俺達のロボット操縦特訓を行なった。


 「よし、まずはこのロイヤルナックルだな」

 「拳を飛ばすのは定番よね♪」


 魔界の荒野、ゴロゴロとした採石場みたいな場所。


 全員が変身して、ロボットも全部合体させた状態で武装のテストを始める。


 「飛ばすぜ鉄拳!」

 「ロイヤルナックル!」


 俺とレッドの二人で声を合わせてレバーのスイッチを押す。


 ロイヤルパンプキンオーが右腕を突き出し拳を発射する。


 飛んで行った拳は近くの岩山まで行き、爆音を上げて山肌を抉って戻って来た。


 「これは普通に打てたな」

 「エネルギーの消費も少ないし、合体も解除されないわね?」


 サイドボードからチェックリストを取り出して、ペンで印をつける。


 『皆さん、パンチを飛ばした山からワイバーンの群れが来ましたよ♪』


 ピンクが通信を入れて来た。


 「いや、そんな嬉しそうに言われても?」

 「良いじゃない、食材ゲットよ♪」

 「レッドも、生態系とか考えようよ?」

 「後でイエローに、フライドワイバーンを作ってもらいましょ♪」


 いや、食いしん坊だなうちのレッド。


 『お任せ下せえ、良い感じに揚げて食べやしょう♪』

 『レモンは掛けるか掛けないかは確認してからで♪』


 イエローとブルーが通信でボケる。


 いや、そうじゃないだろ?


 『プリンス、次はエネルギーを使う武装で頼むのだ』


 グリーンからは次の武装を試すように頼まれる。


 「じゃあ次は、このロイヤルコレダーで行きましょう♪」

 「おう、それじゃあ行くか♪」


 虚空に浮かんだスクリーンを指でなぞり武装を選択。


 「ロイヤルコレダー! 発射!」


 俺の操作で機体の外ではロボが頭部の山羊の角から、電撃を発射する。


 この電撃により、近くまで来ていたワイバーンはバタバタと墜落した。


 当たらなかったワイバーンは、逃げ出した。


 「ロイヤルコレダーも平気ね、魔力の消費量はすぐに回復できる位」


  レッドがリストにチェックを入れる。

 

  通信で私のワイバーンが~! と、ピンクが叫んでいたが無視。


 『殿下、ロイヤルブレードは既存武器を媒介にしてみるのは如何ですか?』


 シルバーが通信で、意見具申してくれた。


 「なるほど、媒介となる物で安定させる方法か♪」

 「パンプキンオーと、リュウギョオーの武器も使えるからこそのアイデアね♪」

 「よし、じゃあまずはパンプキンブレードを出すか」


 ロイヤルパンプキンオーが、両手に巨大な日本刀を握る。


 「じゃあ行くわよ?」

 「ああ、行こう」

 「「ロイヤルブレード!」」


 俺とレッドが叫びスイッチを入れる、エネルギーが一気に四割減する。


 だが、機体の手には真紅の柄の大太刀が無事に握られていた。


 『エネルギーの出力は安定、合体も解けてません』


 ゴールドが喜びん声を上げる。


 「うん、安定して装備できたけど魔力は減るな」

 「私とナイトで魔力を生み出しても、減って行くわね?」


 やはりコスト消費は中々乗り越えられないな。


 媒介を使う事で、合体解除無しでロイヤルブレードが使用可能になった。


 翌日、家の大使館に満月寺さんがやって来た。


 「今回は皆様に、お仕事をお願いしにまいりましたの♪」

 「それはどうも、どのようなお仕事でしょうか?」

 「デブリ掃除ですわ、コメットスイープも兼ねての♪」

 「デブリは隠語ですよ、侵略宇宙人の排除や怪獣退治の」


 リアル宇宙人のグー子さんが、デブリと言う言葉に震えながら告げる。


 彼女いわく、デブリとは真っ当な手続きで来た宇宙難民を狙うハングレな悪の宇宙人。


 何処にも悪党はいると言うのが胸糞悪い。


 「ようは、シマ荒らしをぶちのめせて試し切りし放題って事でしょ♪」

 「いや、勇子ちゃんぶっちゃけと任侠映画の見過ぎだからね?」

 「勇子さん、一家の親分の様ですわね?」

 「家の親分は、進太郎の母さんよ♪」

 

 いや、間違ってないけど反社じゃないから家は?


 「まあ、概ね間違っておりませんわ。 カルチャーショックですが」


 満月寺さんに呆れられたが、正式なお仕事として手続きがされた。


 「ギャギャ~~ッ! 地球のロボット文化は変態~~~っ!」


 失礼な断末魔を上げて爆散した、デブリこと宇宙犯罪者のロボット。


 「タッパも自力も違うのよ♪」

 「いや、エレガントに行こうぜ?」

 「そこはナイトが、余の顔見忘れたか! でしょ♪」

 「君の方が暴れん坊だよ!」


 王族の俺より、お供の方が暴れん坊過ぎる我等マカイジャー。


 ロイヤルパンプキンオーで宇宙に出て、悪党を成敗祭りしていた。


 宇宙人、あまり自分達でロボに乗らないのかな?


 さっき倒した輩はレアな方だったか。


 「さあ、今度は怪獣よ♪」

 「ちょっと、宇宙に脅威が潜みすぎだよ!」


 宇宙だと怪獣が兵器として多いらしい。


 耳が蝶の羽で象の頭の怪獣とか、トンチキ生物がいっぱいだよ。


 「ロイヤルツインスラッシャー!」


 左右それぞれの手に持った、光のチャクラムを怪獣へと投げつけて倒す。


 『あの怪獣、食べてみたかったです~!』


 ピンクが通信で愚痴る、彼女には食育が必要な気がしてきた。


 『バタファントは美味しくないそうですよ、宇宙寄食ガイドによると』


 ゴールドも妙な豆知識を通信で流すなよ。


 俺はエネルギーの生成と攻撃で、仲間達のボケにツッコむ暇がなかった。


 「ナイト、ちょっとリラックスして?」


 レッドが俺の手を握る、ときめいて余計リラックスできねえ!


 「ごめん、エナドリ飲んだみたいに興奮して来た」

 「何でよ!」


 いや、そりゃ愛する女の子が手を握ってくれたら元気になるでしょ?


 「落ち着け変態!」

 「あざっす!」


 レッドの水平チョップを胸に受け、俺は正気に戻った。


 「そう言う奴ほど、正気じゃないんだけどね?」

 「いや、俺は君に夢中だから」

 「そうボケるって事は、平常運転ね」

 「俺の愛にマンネリはないよ」

 「ヒーロー夫婦漫才大会とかあれば出て見る?」

 「それは俺達が出たら、優勝間違いないな」


 仲良く夫婦漫才をして魔力を生み出し、機体の動力に回す。


 『レーダーに反応あり、太陽系に巨大彗星侵入であります!』


 ホワイトから報告が上がる。


 「現在位置は土星前ね、ロイヤルブレードでぶった切りましょう♪」

 「エネルギー大丈夫?」

 「あんたと私なら、何とかできるわ♪」

 「それを言われちゃあ、やるしかねえ!」


 レッドに言われると、ぐんぐんやる気が沸いて来た。


 『エネルギーが溢れそうです、これなら行けるかも?』

 『さっさとイチャラブスラッシュとかして欲しいのだ! 今度は、エネルギーが溢れて機体が爆発しそうなのだ!』

 

 シルバーとグリーンの声が聞こえた。


 「行くぜ、ロイヤルブレード!」

 「目標、巨大彗星! 突っ込むわよ♪」


 ロイヤルパンプキンオーが両手に真紅の大太刀を持ち八相に構える。


 「「天下御免の必殺剣、ロイヤルスラ~~~シュ!」」


 俺とレッドが同時に叫べば、大太刀の刀身が七色に輝く。


 彗星に向かい突進し、虹色の光刃を振り下ろして一刀両断し切り抜ける。


 爆散する彗星、やり遂げた感じに俺は包まれた。


 「何か、開眼した感じ?」

 「気合いで乗り切れた?」


 俺とレッドは顔を合わせて呟き合う。


 『殿下、切れたのは良いのですが爆発でデブリが大量発生いたしました』


 ブルーが無情な報告を上げる、残業確定だった。

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