第56話 布教する者

 「忌々しい、日本の悪の組織にゴーバン信仰が広まってやがる!」


 前回の鬼首党の一件以来、各地で子供や未成年者を対象にした誘拐が発生。


 魔界でも邪悪な者達が動き出し、俺達も地球と魔界の双方で動いていた。


 対応に当たったヒーロー達から敵の基地全てに一つ目の巨人、邪神ゴーバンの像が祀られていたと報告が上がる。


 俺達の母体であるゴートランド王国にも、ヒーロー協会から情報提供が求められたのでそちらの対応も行った。


 修理が終わったゴールドパンプキン城の円卓の間、全員が揃い情報をすり合わせる。


 「悪の組織を渡り歩き布教する宣教師がいるようです、その名はデスクラウン」


 ギョリンが告げると同時に円卓中央の水晶が輝き、映像が浮かぶ。


 「魔法使いみたいな黒ずくめの格好した、金仮面のピエロね?」


 勇子ちゃんの感想には同意だ。


 紫のクラウンキャップ、ピエロが被る角みたいな飾りの帽子だ。


 上着も紫のローブ、ピエロと魔法使いを混ぜた怪人だ。


 「敵の見た目、ピエロ率が多いですな?」

 「こいつも、去年倒したピエロどもの同類でやしょうね」

 「あっちはサーカスで、こいつは何か城とかにいる宮廷道化師って感じなのだ」


 ザーマス、ガンス、フンガーがデスクラウンの感想を述べる。


 「まあ、魔界では未だに王侯貴族が宮廷道化師を雇う習慣がありますしね」


 ギョリンの豆知識に感心する、他の王家とか知らないからな俺。


 「ともかく、退治一択でありますね!」


 エティが鼻息を荒くする、まあそうだな。


 「この情報、伊賀の里と共有してもよろしいでしょうか?」

 「藤林さん、それはこちらこそよろしくお願いするよ」


 藤林さん達、伊賀忍者にも力を借りよう。


 「私も、宇宙人達のネットワークに情報を流しますね」

 「ありがとう、敵は宇宙にも手を出すかもしれないからね」


 大使館で広報の仕事もしてくれるグー子さん、宇宙関連は彼女が適任だ。


 「では、私は天界に情報を持ち帰り神々の助力を扇ぎましょう」


 朝子さんが告げる、神仏の助力も得られるなら欲しい。


 「総力を持ってゴーバン教団をぶっちめましょう!」

 「ああ、バレンタインも楽しみたいしな」

 「バレンタインだけじゃないわ、三月三日は私の誕生日よ♪」


 そうだ、勇子ちゃんの誕生日が三月にはあるんだ。


 「確かに、慶事を前に災いの眼は絶たねば!」

 「バレンタインにはチョコケーキ、雛祭りには散らし寿司。 料理人としての腕を振るう為にも勝たねえといけやせんね♪」

 「マカイジャー全員で楽しく、雛祭りするのだ♪」


 ザーマス達がテンションを上げる。


 「雛祭りですか、興味深いですね♪」

 「楽しみであります♪」


 ギョリンとエティも気分を上げる。


 「じゃあ、お雛様が赤星さんでお内裏様が山羊原君ですね♪」


 藤林さんが良い事を言ってくれた。


 「ああ、勇子ちゃんの隣は渡さないぜ♪」

 「その言葉、しっかり守りなさいよ?」

 「オフコース♪」


 俺と勇子ちゃんは、会議の場だと言うのに夫婦漫才をする。


 「私は、五人囃子に行きますね♪」


 グー子さんがギターを召喚して爪弾く。


 「良いですねえ、私も喜んで官女となりましょう♪」


 朝子さんも乗って来た。


 脱線はしたものの、モチベーションを上げる効果は得らえた。


 デスクラウンの捜索と討伐、ゴーバン教団の野望の粉砕について諸々を決めた。


 「バレンタインに雛祭りか、楽しいイベントが控えてる以上世界は守らなきゃ」

 「そうよ、私達が日常を楽しむ為にも世界は守らないと♪」

 「春のアニメの映画も見に行きたいしね♪」


 会議を終えた翌日、商店街のカフェでパンケーキ食いながら語り合う。


 俺達がイチャイチャする事が、互いの魔力を高め合うと言う名目でのデートだ。


 俺達のマカイチェンジャーを通じて、生み出された魔力がエネルギーに変換されてゴールドパンプキン城へと送られてるので大事な仕事でもある。


 全部のロボット合体させるのに、魔力を溜めないといけないんだ。


 フンガーがこのシステムを、イチャラブ発電とか名付けてたけど仕方ない。


 仲間達も業務をしつつ情報集めに勤しんでいる。


 魔界だろうがどこだろうが、奴らを探し出して倒して見せる。


 俺達がカフェを出た所で、スマホが鳴りヒーロー協会の事件情報アプリが起動。


 「G案件発生、出やがった!」

 「現場は所沢の遊園地ね、行きましょう!」


 俺達は変身すると同時に、仲間達に連絡してから飛び立った。


 「ヒャッハ~♪ 子供狩りだ~~っ!」

 「我らに富を~~~っ!」

 「リーパーに栄光を!」

 「悪の組織の皆さん、この石像に子供の魂を奉げれば金貨が出て来ますよ~♪」


 鬼首党、パピルスのミイラ怪人、リーパーの蜘蛛怪人。


 三つの悪の組織が怪人と戦闘員を引き連れて円愛でヒーロー達と交戦していた。


 悪の祖息を煽るのは紫ローブの怪人デスクラウン、見つけたぜ。


 「そうはさせるかゴーバンの下僕め!」

 「マカイジャー、参上よ♪」

 「皆は散開して、地元ヒーローの援護だ!」


 俺は仲間達に号令をかける。


 「ヒーローの皆さん、私達も加勢いたします!」

 「ヒーローは助け合いでさあ♪」

 「お前達の好きにはさせないのだ!」


 ブルー、イエロー、グリーンは、パピルスの方へ。


 「欲に溺れた悪は闇に沈んでいただきます!」」

 「退治するであります!」

 「ニンニンで行きますよ♪」


 シルバー、ホワイト、ピンクは鬼首党に抗うヒーローの加勢に。


 遊園地側も複数ヒーローを雇用しているので、戦力はあるのがありがたかった。


 「私のギターは打楽器にもなりますよ!」

 「太陽の炎で浄化します!」


 ゴールドとオレンジは、リーパーへ。


 「く~っくっく、噂の混血王子と赤き戦士が私の相手ですかあ♪」

 「どんな噂よ、この腐れ外道!」

 「お前のそのレッドへの態度、万死に値する!」


 俺の恋人にいやらしい笑い声を浴びせた、絶対に許せない。


 「頭クールに戦いなさいよ、私の恋人でしょ?」

 「レッドに免じて、冷静に相手してやるっ!」


 俺とレッドは、キングゴートとクイーンゴートを纏い、重武装化で挑む。


 「ちょっと! 何ですかその禍々しい魔力はッ!」


 デスクラウンが俺達にビビる、井の中の蛙め!


 「俺のレッドへの愛の重さを喰らえ! スーパーデーモンパンチ!」

 「クイーンゴート、力を貸して! バーニングストンプ!」


 俺は拳から暗黒のエネルギー弾、レッドは足から蹄型の火炎弾を発射同時発射。


 デスクラウンは、俺達の技を受けて消滅したが再度顕現した。


 「恐ろしい、アバターでなければ終わりでした」

 「ち、やっぱりか!」

 「本拠地探してぶっ潰すわ!」

 「恐い、恐い。 では置き土産に巨大モンスターを出して失礼♪」


 デスクラウンは俺達を嘲ると、所持していたゴーバン象を放り投げる。


 邪悪な小型の石像は空中で砕けると、巨大な大猿に似た怪物が現れた。


 「よし、ロイヤルゴートで行こう!」

 「ええ、特殊空間の展開宜しく!」

 「任せて、重大な被害は出させない! デーモンガーデン!」


 俺とレッドもジャンプして漆黒の巨大ロボット、ロイヤルゴートに変形合体する。


 同時に空にブラックホールを開けて俺達ごと大猿の怪物を吸い込み。現実空間から切り取った。


 だだっ広い平原ステージで対峙する、ロイヤルゴートと大猿。


 大猿が筋肉を肥大化させ、全身を燃やして襲いかかってきた。


 「生意気のも火属性、上等よ!」

 「燃えて行くぜ!、バーニング!」


 ロイヤルゴートも全身から炎を出して突撃、ぶつかり合いで大爆発。


 大猿は弾き飛ばされて転倒するも素早く起き上がり、殴りかかってきた。


 敵ながら根性はある奴だ。


 「殴り合い、上等! ロイヤルパンチ!」

 「一発じゃ終わらねえぞ!」


 レッドの操作でまずは相手の拳を殴り、続いて俺の操作で追撃のパンチ。


 再び大猿の怪物を殴り飛ばす。


 「みんなが心配ね、止めと行きましょう!」

 「ああ、ロイヤルスタンプ!」


 俺達はロイヤルゴートを空へと飛ばし、足裏にエネルギーを集めてキンジ期の光のの紋章を描く。


 そのまま敵の真上に落下し、紋章とキックのダブルアタックで敵を押しつぶして爆散させた。


 「よっし、ヴィクトリー♪」

 「決まったわね、帰りましょう♪」


 俺達はロボット形態を解除して、現実空間へと帰還した。


 「お疲れ様でした、あの紫の曲者は一体?」

 「あれは、アバターらしい本体は別の場所だ」

 「ここに来て、絡め手を使う敵ね。 面倒だけどキッチリ倒しましょう」


 ブルー達戦いを終えた仲間と合流し語り合う。


 デスクラウン、厄介な敵組織の幹部を今度は本体ごと倒そうと決意した。

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