第53話 お正月だよ、マカイジャー♪

 「新年、明けましておめでとうございます♪」

 「「おめでとうございま~す♪」」


 ザーマスが司会をする中、道場に声が響く。


 俺達の衣装も全員、自分のカラーの紋付き袴や晴れ着と正月仕様だ。


 山羊原家と赤星家、マカイジャーチーム全員揃って新年のお祝いだ。


 「おば様とおじ様、魔界じゃなくてこっちにいて良いのかしら?」

 「城の式典は昼からだから、俺らも昼からは魔界に行くよ♪」


 俺と勇子ちゃんは、お互いの両親と祖父母を見る。


 「秀太郎は久しぶりだな、お前の所も二人目はまだか?」

 「れっ君は相変わらずだねえ、息子も育ったしメリッサと相談だよ」


 細めな体躯の我が父と、酒を酌み交わすのは赤髪の美形マッチョ。


 勇子ちゃんのお父さんの烈日さん。


ファイヤーガーディアンの素顔だ。


 「メリッサ、筋肉鍛えてる♪」

 「アンは二人目産んだのに、腹筋割れてるのね?」

 「イエス♪ 私の筋肉は、大事な命を守るシールドよ♪」


 小さい男の子の赤ちゃんを抱いた、金髪でマッチョなアメリカンな美女。


 勇子ちゃんの母であるアンさんだ。


ヒーローネームはシールドレディ。


 小さい赤ちゃんは、俺にとっては未来の義弟になるラー君。


名前が太陽に関係するからか、笑顔が明るく可愛い子だ。


 昨年、悪の組織であるパピルスが狙っていたアメンの御子ってのは彼ではなかろうか?


 彼の未来にも力になりたい。


 「この子からは、私と近い太陽の尊い神気を感じます」

 

 朝子さんは、ラー君を見て告げる。


赤星家の守り神でもある彼女は、大人席とこっちを行き来してる。


 両家の祖父ちゃん達も、楽しく酒を酌み交わしている。


 正直、ここで俺と勇子ちゃんが結婚式を挙げても良いのではと錯覚した。


 「グー子さんと藤林さんは、お家の人は良かったの?」


 勇子ちゃんが、若者席と言う名のマカイジャー組の席に来ていた藤林さん達に尋ねた。


 「はい、仕事の上での大事な付き合いだからと許可をいただきました♪」


 魔界産の鯛や肉で出来たお節を食べる手を止めて、俺達に答える藤林さん。


 「私も、お二人はドグー星の恩人だからとこちらに参加です」


 グー子さんもお節を食べる手を止めて答えた、彼女も藤林さんに影響されて魔界メシに嵌った口らしい。


 「ガンスの料理は美味いのだ、流石なのだ♪」

 「当たり前でさあ♪ ささ、皆さんも召し上がって下せえ♪」

 「平和な元日、素晴らしいですね♪」

 「ギョリン殿も自分も日本のお正月は初めてであります♪」

 「いやあ、今日くらいは何も起きて欲しくないですねえ♪」


 ガンス達もう宴を楽しんでいる中、ザーマスがフラグになりそうな事を言う。


 「ザーマス、それはフラグになるからな?」

 「良いじゃない、皆で楽しく事件を解決すれば良いのよ♪」

 「勇子ちゃん、その器の大きさが素敵だよ♪」

 「私、天下の総大将の器って言われてたからね♪」


 勇子ちゃん、任侠の大親分とかに慣れそうな器だな。


 「……勇子、今年はもう少しおしとやかになろうな?」

 「そうね、ラーが生まれてお姉さんになったんだし」

 「何よ、私は最高のレディよね進太郎?」

 「ああ、勇子ちゃんは世界一です♪」


 俺達の言葉に、道場は明るい笑いに包まれた。


 去年は色々あったけど、今年も皆で乗り越えて行きたい。


 干支も辰だし、伸び上がって行こうと心に誓う。


 朝の宴で、料理も空になるとお開きとなり皆で片付けを始める。


 「ほら、ラーはお姉ちゃんが抱っこするからね?」


 アンさんから、弟のラー君を預かろうとする勇子ちゃん。


 だが、ラー君はふわりと宙に浮き上がった。


 驚く間もなく、俺の頭の上にラー君が乗り角をハンドル代わりに握る。


 「何だろう、俺は乗り物かな♪」

 「もう、男同士でイチャイチャしないの? 進太郎はお姉ちゃんのだからね?」


 勇子ちゃんの言葉に、ラー君は笑うだけだった。


 片付けが終わり、ラー君は母親に回収されて赤星家へと帰宅した。


 ご両親がアメリカで名の知れたヒーローだから、ラー君は大丈夫だろう。


 勇子ちゃんを除き、お向かいの家へと帰宅する赤星家の人達を見送る。


 魔界に行って、城下の民に挨拶する行事をこなさねば。


 女王である母上がスピーチすれば終わるとはいえ、大事なイベントだ。


 魔界の王城にて集った俺達は、国民からの歓声を浴びた。


 「「女王陛下万歳♪ 王子殿下にプリンセス勇子万歳♪ 王国に栄えあれ!」」


 城の前に集った民の声に手を振り答える俺達。


 「民達よ、新年を迎えられたことを感謝する! 今年も皆と人間界を王家は湯者であるマカイジャーと共に守る事を誓います!」


 カボチャの目の部分にあるバルコニーから母上が叫べば、民達から万雷の拍手でレスポンスが巻き起こる。


 スピーチが終われば、お祭りだ。


 俺達がバルコニーから梱包された餅や菓子を蒔いて国民へと振舞う。


 これで俺達の公務は終わり。


 後は軍が他の街や村へ、餅や酒や菓子を振舞いに行き国を挙げての宴会だ。


 何も起こらなければ、俺達は地球に戻って正月休みになる。


 城内に引っ込んだ俺達に母上が語る。


 「お疲れ様、王家の冬休みは七日までね♪」

 「まあ、本国の方はメリッサと俺が守るから地球は進太郎達に任せた♪」

 「巨大な敵が来ても、ママがパパをおっきな魔獣に変身させて倒すから♪」


 母上と父上から許可を貰ったので地球へと戻って来た。


 「それじゃあ、初詣に行きましょう♪」


 勇子ちゃんが家の門の前で俺とグー子さんと藤林さんと朝子さんに提案する。


 レッド、オレンジ、ゴールド、ピンク、デーモンナイトの五人編成で初詣に行く。


 由緒正しい神社の門前は、大惨事になっていた。


 「おいおい、参拝客達が顔に落書きされて倒れてるよ!」

 「中の参道の上で、スケート選手みたいに回されてる方もいます!」

 「正月早々事件ね、行くわよ皆♪」

 「神社を荒らすとは許せません!」

 「退治しましょう!」

 「「マカイチェンジ!」」

 「デーモンシフト!」


 正月早々事件だと変身して突入すれば、二体の怪人が事件を起こしていた。


 「ハゴ~♪ 羽根突きをするハゴ~♪」


 羽子板の頭を持つ怪人が神職の方達に、羽をぶつけて墨まみれにしている。


 「コマ~♪ ドンドン回すコマ~♪」


 もう一人は、巫女さんを独楽代わりにして回す独楽の怪人。


 「あんた達、何処の怪人だか知らないけれど勝負よ!」


 レッドがブチ切れて叫ぶ。


 「マカイジャー、ゴー!」

 「「応っ!」」

 「出たなヒーロー共、覚悟~♪」


 俺達が突っ込めば怪人達が戦闘員を出して来る。


 「デーモンガーデン発動、異空間で勝負だ!」


 俺が特殊空間を生み出して、仲間と敵を引きずり込む。


 広大な草原フィールドでの勝負が始まった。


 「ナイトと私は羽子板を倒すわよ!」

 「合点だ、君のペアは俺しかいない♪」


 俺とレッドは羽子板怪人に向かう。


 「では、ピンクとゴールドと私で独楽怪人を倒しますよ!」

 「「了解♪」」


 オレンジ達は独楽怪人へと突撃する。


 「羽根突き勝負ハゴ~♪」


 羽子板怪人が、羽を突いて来た。


 「私、天才バッターだから♪」


 レッドがマカイカリバーで打ち返す。


 「羽子板二刀流、爆弾羽根突きハゴ~♪」

 「俺にも来たか、やってやる!」


 俺もレッドとラリーに参加する。


 オレンジ達と独楽怪人は、四つ竜巻がぶつかり合っていた。


 敵が自分の体を回転させて攻撃して来たので、仲間達も同じ土俵でぶつかり合う。


 どんなにトンチキな相手との勝負だろうが、これまでの戦いを経験して鍛えて来た俺達は負けはしない。


 「行くわよナイト♪」

 「オッケー、レッド♪」


 俺とレッドは、羽子板代わりの剣にエネルギーを集める。


 「「ダブルスマッシュ!」」

 「ハゴ~~~ッ!」


 相手の爆弾付きの羽を打ち返すのと同時に、剣からエネルギーの斬撃を飛ばして相手に叩きつけて撃破した。


 「止めは私が、オレンジスパイク!」


 オレンジがバレーボールのように、火の玉を怪人へと叩きつけて爆破して撃破。


 年の初めの勝負を見事に勝利で飾り、一年の景気づけをしたのであった。

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