第48話 力の制御と黄金の南瓜

 「力の使い方と使い時を見極めないとな」

 「うん、力に溺れたらダメ!」


 宝玉の力を解放して見た結果、ヤバイ奴だと実感した俺達。


 「黒の玉で空間作ってから、城のロボットモードも使う感じかな?」

 「お城がロボットになった時、デーモンガーデンが使えるかどうかよ」


 力と責任について改めて俺は実感した。


 「私達皆が、力を理解して制御できるようにしないとね」


 勇子ちゃんの呟きに俺は頷いた。


 静かな感じのカフェを見つけた俺達は、ボックス席で一休みしながら語り合う。


 「宝玉とかフルパワーで戦わないとヤバい相手がいる、って事でもあるんだよな」

 「魔界も地球も守るには、あれ位パワーが必要なんだろうけど私達や守るべき物をも滅ぼしかねない力はヤバいわ」

 「俺達は世界を滅ぼしたいんじゃない、守りながら楽しく暮らしたい」

 「その為には、私達自身が力を知り制御しないと駄目」

 「精神面も鍛えないとな」

 「進太郎のビビりが役に立つわ♪」

 「俺らは、お互いがお互いのアクセルとブレーキ」

 「一蓮托生、敵だけじゃなく自分達のやらかしからも世界を守るわよ」

 「ああ、やり遂げよう」


 俺達は指切りをする、新たな契約だ。


 どうも、宝玉は俺と勇子ちゃんがキーになってる気がした。


 そりゃ健国王の末裔が俺だし、勇子ちゃんも十勇士の末裔だからわかるが。


 大いなる力には大いなる責任がある、王権も武力もそうだよな。


 リキュールシロップが燃えるパンケーキとカフェラテを味わいつつ誓う俺達。


 支払いを済ませてカフェを出て帰宅する。


 「俺と勇子ちゃんで、宝玉の力を解放した必殺技を使ってみたらヤバかった」


 大使館の居間で仲間達に告げてから、マカイチェンジャーを壁に向けてオコゼポイズンとの戦闘の様子を上映する。


 「確かに、使い所が重要ですね」


 ザーマスが冷や汗を流す。


 「力の理解と制御は大事でやすね」


 ガンスも、顔をこわばらせながら納得した。


 「安全対策は万全に行いましょう」


 ギョリンも新d魚の目になりながら呟いた。


 「よっぽどヤバい相手でないと使えないのだ、これは力を抑えるリミッターの開発もしないといけないのだ」


 フンガーは博士として答えた。


 自分達が世界平和を脅かしてはならないと言う事は、仲間達と共有した。


 「当時は、強大な邪神などが数多くおりましたので力が必要でした」


 翌日。


 大使館に全員揃った俺達は、当時を知る朝子さんに尋ねる。


 「伝説の怪物とかゴロゴロいたって事なら、そうよね」

 「生き延びる為には、強大な力が必要だったのか」


 俺と勇子ちゃんは納得した、当時を知る人から話を聞くと現代に残っている絵本の中身がオブラートに包まれていたのだと知れた。


 「混沌とした時代だったんですね、古代の地球並に」

 「過去を越えられたから今があるんですよね」


 藤林さんとグー子さんは、何処かしんみりした口調で呟いた。


 神も魔族も人も宇宙人も力を合わせた混沌の時代。


 壮大なスケールだが、それは存在して今がある。


 「ご先祖も悩んだだろうな?」

 「力が必要な時は必ず来る、遺産を残してくれた事には感謝しなきゃダメよ?」

 「そうだね、ご先祖様のおかげで俺達がいるんだし」


 勇子ちゃん、ご先祖様とか神様は律儀に敬う性格だった。


 朝子さんも、安全対策に全面的に力を貸して貰い、事を進める事になった。


 グー子さんからも、ドグ―星人の技術者や考古学者を紹介してもらった。


 かくして、魔界に地球や宇宙から人を招いてゴールドパンプキン城の改造も進む。


 時は十二月に入り冬が来ていた。


 「思い返すとあっという間ね、早いわ♪」

 「だからこそ、大事に生きないとね♪」


 学校帰り、俺と勇子ちゃんは二人並んで下校する。


 春に再会し、戦隊を立ち上げて夏と秋に戦力増強と忙しかった。


 冬は冬で、クリスマスやらイベントが盛りだくさんなわけである。


 師走は師も走るが、ヒーローも悪も走る月だ。


 「お城もロボになる日が来るわね、基地がロボになるのはお約束よ♪」

 「わかる、既存ロボのグッズ化も進めてるし売って活動資金にするぞ♪」

 「何か昔、そう言う秘密基地を経営するゲームあったわね♪」


 城もロボになれる、今日は魔界でゴールドパンプキン城の起動のテストだ。


 お互いの家の前に着くと、荷物を置いたり着替えの為に帰宅する。


 魔界にあるゴールドパンプキン城に集った俺達十人。


 皆変身して玉座の間に集い、城をロボットに変形させる準備はできていた。


 「いよいよ、伝説の城が巨人になる時が来やしたね♪」


 イエローが喜ぶ。


 「起動に成功したら、有給使って休むのだ」


 グリーンは博士枠として仕事をして来たからか、疲れていた。


 「そう言えば、機体名はどうなるのでしょうか?」


 シルバーが尋ねて来た。


 「ああ、ゴールドパンプキンオーだ♪」

 「シンプルな名前ね、わかりやすいわ♪」


 俺の答えにレッドが乗っかる。


 「それでは、宝玉を召喚いたしましょう」


 ブルーがそろそろ始めようと促す。


 「了解であります、宝玉召喚!」


 ホワイトが宝玉を召喚する。


 「宝玉召喚です、ニンニン♪」


 ピンクがニンジャらしさを出しながら宝玉を召喚する。


 「ご先祖様の後を継ぐ時が来ました、宝玉召喚です♪」


 英雄の末裔であるゴールドが叫ぶ。


 「久方ぶりで楽しみです、宝玉召喚♪」


 伝説の英雄グループの一員であるオレンジも宝玉を召喚。


 十個の宝玉が集い、天井に浮かび回り出す。


 同時に、玉座の間自体も回転し変形を始める。


 天井や壁からマニピュレーターが出てきて俺達を掴み移動させる。


 俺とレッドは玉座に並んで座らされ、シートベルトで固定された。


 玉座の前に、ゲームセンターで見るロボット操縦ゲームのようなスティック付きのコンソロールが床からせり上がる。


 「皆大丈夫かな? 何処かへと運ばれて行ったけど?」 

 「大丈夫よ、皆ヤワじゃないから♪」


 俺とレッドはコンソロールのスティックを握る。


 すると天井から巨大な青い水晶玉が現れ。仲間達の様子や外の様子を映し出す。


 『こちらブルー、イエロー。グリーン、配置に着きました』


 ブルーが代表して俺達に報告する。


 『シルバー、ホワイト二名も配置に着いたであります♪』


 シルバーとホワイトはコンビか。


 『こちらピンク、ゴールド、オレンジの三名も配置に着いたでござる♪』


 ピンク達三名も配置に着いたと連絡が上がる。


 「それじゃあナイト、行きましょう♪」

 「オッケーレッド♪ ゴールドパンプキンオー、スタンドア~~~ップ♪」


 俺が叫ぶと同時に、全員が各自のコンソロールのスティックを前倒しにする。


 俺とレッドの操縦席の巨大水晶玉が、モニター代わりになり外の様子を映し出す。


 唸りを上げて空に浮かび上がる、超巨大な金色のハロウィン南瓜。


 上下左右にカボチャが割れ、中から下半身のない人型のロボットが現れる。


 リュウギョオーとパンプキンオーも同時に現れて、リュウギョオーが右足。


 パンプキンオーが左足となり、黄金の南瓜ロボットと合体。


 「「完成、ゴールドパンプキンオー!」」


 合体成功と同時に、十人全員で叫ぶ。


 遥かな時を越えて、黄金の南瓜の王が魔界の大地に降臨したのであった。


 「やったわナイト、合体成功よ♪」

 「おっしゃ、何か感動するね♪」


 色んな人達のお陰でここまで来られた、感無量だよ。


 『イチャイチャしてる所悪いけれど、システムオールグリーンなのだ』

 『センサー類、異常なしでございます♪』

 『燃料も弾薬も満タンでさあ♪』


 グリーン、ブルー、イエローが状況を報告して来る。


 『殿下達の思春期はいつもの事なので、兵装のチェックも異常なしです』

 『リミッターも正常作動であります♪』


 シルバーとホワイトからも、水晶玉経由で通信が来た。


 『凄いですよ、これなら魔物も怪獣も美味しく狩れますね♪』

 『ピンクさん、魔物料理がお好きなんですね?』

 『レッドとナイトが二人きり、良いイチャイチャの波動が伝わって来ます♪』


 ピンク、ゴールド、オレンジは平常運転であった。


 「二百メートルくらいかな?」

 「日本だと、使いづらいわね?」

 「請求書来ないように戦わないとだね♪」


 俺達は三号ロボの誕生を祝った。

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