第46話  十人のマカイジャー!

 朝子さんのDIY精神により、俺は神剣と言う新たな力を得てしまった。


 光と闇を兼ね備えたって、中二病っぽいな。


 「しかし、角が戻って良かった♪」


 現実空間へと戻って来て安堵する俺。


 「光の力を得たと言っても、これからが始まりですからね♪」

 「あ、はい。 精進します」

 「進太郎、格好良かったわよ♪」

 「その言葉だけで報われたよ」


 勇子ちゃんに褒められた、嬉しい。


 「ああ、イチャイチャ空気が美味しいです♪」


 神様である朝子さんは、何と言うか世俗的になられていた。


 芋煮会のイベントも、敵が出る事はなく無事に終わった。


 ロボをゴールドパンプキン城の格納庫にしまう事もあり、全員で魔界に行く。


 俺は城主の間で、朝子さんと仲間達との顔合わせをした。


 「まさか、おとぎ話の住人と出会うとは」


 唖然としているザーマス。


 「伝説は本当だったんでやすね」


 同じく唖然としているガンス。


 「目から鱗です」


 真面目枠のギョリンも、すっとぼけた事を言い出す。


 「宜しくお願いするでありあます♪」

 「私、祝詞の奏上できますよ♪」

 「神様、すごいです~♪」

 「宜しくお願いいたしますね♪」


 追加戦士組の女子は歓迎モードだ。

 

 「マカイチェンジャーが勝手に増えてるのだ!」


 神様がコピーしたんだよ、フンガー。


 「お手間だと思い、勇子の物からコピーさせていただきました♪」

 「官給品の違法コピーは駄目なのだ! データ吸い出しとか仕事が増えたのだ!」


 後日、マカイチェンジャーのアップデートと朝子さん用の正規品が作られた。


 フンガーには、俺がデーモンナイトとしてのソロ活動時代から助られてる。


 「顔合わせも済みましたし、円卓の間へと向かいましょう♪」

 「そんな場所あったの?」

 「それは、俺も今知ったよ」

 「王家の者と十人の勇士候補が揃った時、ロックが解除されます」


 あの、大昔の時に現代の後輩の為にマニュアル一式用意しておいて下さい。


 隠し条件とかいらないから!


 「すべては悪用を防ぐためなのです」


 朝子さんが俺の不満げな顔を見て答える。


 俺達は、朝子さんに先導されて何もない部屋に来た。


 全員が室内に入ると床が開き、黄金の円卓と椅子が浮き上がって来た。


 「これ、全部俺のご先祖様の趣味とか?」


 円卓には、メンバーの種族を模した顔アイコンが刻まれていた。


 全員が席に着けば、テーブル表面に魔法陣が描かれて中心から何かが出て来た。


 『良くぞ集った、新たな十人の勇者達よ♪』


 宙に浮かぶ金色のハロウィンの南瓜がしゃべり出した。


 「ゴールドパンプキン、この城の本体である精霊みたいなもんかな?」

 『左様、流石は当代の我が主。 橙の勇者以外に宝玉を授けよう♪』


 城の本体の精霊が、早速宝玉をくれると言い出した。


 「皆、マカイチェンジャーを出してくれ」

 「ちょ、いきなりくれるの?」

 「仏、何らかの試練があるのでは?」

 「貰える物は、貰っておきやしょう」

 「ありがたく頂戴いたします」

 「じ、自分も伝説の後継者!」

 「パワーアップイベントですね♪」

 「ついこの間、メンバーになったばかりなのに♪」

 「皆さん、宝玉を手にしてからが本番ですよ♪」


 俺達全員のヒーローカラーの宝玉が天井に現れる。


 十個の宝玉は、各自の変身ブレスレットに吸い込まれた。


 『その通り、宝玉は勇士達に力を与える鍵である』


 宝玉が行きわたった所で、精霊が俺達に向けておごそかにのたまう。


 「力を引き出して使いこなせ、と言う事ですね」


 ザーマスが納得した。


 「確かに、道具は使い方知らねえと危ないでやすからね」


 ガンスも納得した。


 「セーフティーとしては納得なのだ」


 フンガーも頷く、仲間達はそれぞれ納得した。


 「後は、城のロボットモードへの変形法とかね♪」


 勇子ちゃんが微笑む。


 「フンガーには、既存のロボと城の合体システムを頼みたいけど?」


 俺はフンガーに尋ねる。


 「そこは伊賀ロボテックと、満月寺重工の協力が必要なのだ」


 フンガーがげんなりした顔で告げる。


 これは、面倒な仕事になるから自分一人だけでやりたくないって顔だ。


 「であれば、予算の確保も必要ですね?」


 ギョリンが律儀に挙手して発言する。


 「わかった、資金稼ぎにドラゴンを狩りに行こう!」

 「進太郎、何でドラゴンなの?」

 「勇子ちゃん、ドラゴンはその物が素材的価値があるしあいつら勝手にダンジョン作って財宝を溜め込む生活してるから金が要る俺達には最高の獲物なんだよ♪」


 俺は目を¥マークにしながら力説した。


 「懐かしい空気ですね、あの頃の私達の様です♪」


 朝子さんはこちらを見て微笑んでいた。


 「良し、ロボの為そして世界の平和と皆の食い扶持の為にドラゴンを狩るぞ♪」


 俺は仲間達に下知を下す。


 来週末は皆で、ドラゴンを狩りにダンジョンハックだ。


 「ダンジョンハックって、ゲームみたいですね♪」

 「グー子さん、ドラゴンのお肉は美味しいですよ♪」


 グー子さんと藤林さんはウキウキしていた。


 予定を決めた所でこの日は解散して、魔界から地球へと戻って来た。


 藤林さんやグー子さん、俺と勇子ちゃんは学校もあるんだ。


 そして迎えた週末。


 俺達十人は、変身した姿で巨大な石造りの地下迷宮を進んでいた。


 「レッドやオレンジのおかげで照明いらずですね♪」


 ブルーが嬉しそうに呟く。


 「お、宝箱ですぜ♪」


 イエローが通路横の部屋で宝箱を見つける。


 「イエロー、迂闊に近づいたら駄目なのだ!」

 「はい、私鍵開け得意ですよ♪」

 「狭い部屋ですが、慎重に行くであります!」


 グリーン、ピンク、ホワイトが宝箱へと近づく。


 宝箱の中身はグリーンの鑑定で、体力回復のポーショだとわかった。


 俺達はRPGのように部屋を漁りモンスターを蹴散らし、最深部に辿り浮く。


 「ドーム球場並みの広さだな」

 「ナイト、ターゲット発見っ!」

 「イエロードラゴンか、金銀財宝をベッド代わりにしてやがる」


 黄色い鱗の西洋風のドラゴンが、金貨や宝石の山の上で待ち構えていた。


 「黄色いドラゴン、カレーの具にしましょう♪」

 「いや、ピンクさん何言ってるんですか!」


 ピンクのボケにゴールドが突っ込む。


 そんな俺達にドラゴンは雄叫びを上げると、衝撃波が襲ってきた。


 「それ位なら!」

 「耐えられるであります!」


 グリーンとホワイトが前に出て壁になる。


 「ちいっ、雄叫びを合図に他のモンスター達が!」

 「私達はモンスターに向かいましょう!」

 「ドラゴンはレッドと坊ちゃんで!」

 「修行の時間ですよ、二人共♪」


 シルバー、ブルー、イエロー、オレンジは増援のモンスターと戦いに行った。


 「私とピンクさんもモンスターの対応に向かいます!」

 「ドラゴンのお肉は食べたいです!」


 ゴールドとピンクもモンスター退治に向かう。


 「行こうかレッド、出ろナナツサヤ!」

 「私達で決めるわ、マカイカリバー!」


 俺は、金色に光り輝く七支刀。


 レッドは、刃に炎が燃え盛る真紅の両手剣。


 必殺の武器を召喚した俺達は、イエロードラゴンに真っ向から挑む。


 ドラゴンが口から吐いて来た黄色いビームを左右に分かれて避ける俺達。


 「まずは翼から切り落とすわ、てりゃあっ!」

 「了解、輝けナナツサヤ!」


 俺達は光と炎の刃で、イエロードラゴンの背中の翼を切り落とす。


 痛みに悶えるイエロードラゴンが、口からビームを乱射して来た。


 「危ない、ライトパリーカウンター!」


 俺はナナツサヤをバットの如く振るい、ドラゴンのビームを弾き返す。


 「ナイスバッティング♪ 合体技で、決めましょう♪」

 「ああ、光と炎が一つになって!」

 「闇を払い未来を拓く!」


 口上を唱えながら俺とレッドは近づき、互いの刃を打ち合わせる。


 俺達が撃ち合わせた剣の切っ先に、太陽のような赤いエネルギー弾が生まれた。


 「「必殺、フレアダイナミック!」」


 俺とレッドが切っ先を相手へと向ければ、エネルギー弾が飛んで行く。


 俺達の真紅の光弾は、ドラゴンが吐いたビームを吸い込み巨大化。


 ドラゴンの頭部は、木っ端みじんに粉砕された。


 「よっしゃ、愛の力だ♪」

 「そ、そういう事にして置いてあげる!」


 レッドからの反応は、照れ交じりのツンな返事であった。

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