第43話  マカイジャー、宇宙へ  後編

「取り敢えず、敵のお代わりは来なそうだな?」


 敵の小隊を撃破した、俺達マカイジャーチーム。


 ボスがいる銀河系の戦場へとに出る前に、太陽系で敵に足止めされるかと危惧していたが杞憂だった。


 『母艦も無事です、戦地へと急ぎましょう』

 「了解、とんだエンカウントだったぜ」


 二号ロボのメインパイロットのシルバーに返信する。


 「バスに乗り遅れないようにしましょう♪」


 レッドが、満月寺さんの宇宙空母をバスと呼ぶ。


 四角形で長い以外に共通点はない。


 「おおっ! 何か勝手にエネルギーが充電されてるのだ!」

 「レッドとイエローのバフのお陰ですかね?」


 グリーンとブルーが機内で語り合う。


 「魔力エンジンの調子も良いですぜ♪」


 イエローがテンションを上げて叫ぶ。


 空母の中に戻った俺達は、しばし小休止を取る。


 『ご苦労さまでしたわ皆様、間もなくゲートを展開いたします』


 満月寺さんが通信を入れて来た、


 「どういたしまして、それじゃあ宜しくお願いします」

 「向うに着いたら頑張りましょう♪」

 『ええ、ムーンライザーがそちらよりお先に手柄をいただきますわ♪』


 画面の向こうで満月寺さんが笑う。


 「にょわっ! 格納庫がが動き出したのだ!」


 グリーンが叫ぶ。


 『皆様、無事ゲート通過いたしました。 本艦はこれより、戦闘形態へと変形いたしますので皆様の機体を射出させていただきます』


 メイドのミドリさんから、こっちに通信が来た。


 「了解、乗せてくれてありがとう」

 「そっちも死ぬんじゃないわよ!」


 俺とレッドがお礼を言うと同時に、パンプキンオーとリュウギョオーはカタパルトで満月寺さんの空母から撃ち出された。


 空母の外は銀河系。


 巨大ヒーロー達や他のヒーローの巨大ロボが、無数のハニワ兵やダンゴムシに手足が生えた宇宙怪獣と交戦していた。


 「ちょ! 大乱戦じゃねえですか!」

 「ボスに辿り着くのは、少々手間ですね」

 「魔導バリヤー展開なのだ!」


 イエローが機体操作、ブルーが計器類の観測、グリーンがバリヤー展開。


 三人のお陰で敵の初撃は凌いだ。


 「ナイト、リュウギョオーはまだ無事よ!」

 「よし、リュウギョオーと連携を取りつつ進むぞ!」


 惑星サイズで控えているボスを倒さねば、どうにもならん。


 飛び交う光線や実弾の雨を搔い潜り、ボスへの攻め手を探る俺達。


 『ギガムーンライザー、フルムーンバーストですわ♪』


 俺達含め戦場の全ヒーロー達に向けて通信が飛ぶ。


 五十キロメートル程の、白く重厚な超巨大ロボが青い極太の光線を発射する。


 「おお、道が出来たな突っ込もう!」

 「確かにお手柄よね、道を切りひらいてくれるって♪」

 「満月寺さん、良い人だな」


 ギガムーンライザーのビームによる露払いで開けた道を進む俺達。


 ボスに近づきはしたが、埴輪の目や口に当たる部分から敵兵が出てきた。


 「ん? 嫌な予感がする、アンチカース発動だ!」

 「アイアイサーなのだ!」

 「全ヒーローに通達、呪詛攻撃に備えて!」


 ボスである超巨大埴輪の口から、黒い経文のような文字が洪水の如く溢れ出す。


 「くっそ、文字がバリヤーにガンガン当たって来るな!」


 パンプキンオーもリュウギョオーも、バリヤーで耐え凌ぐ。


 宇宙人も呪詛とか魔法使うのかよ。


 呪詛対策してないヒーローは、対策してるヒーローが助けに行った。


 「大丈夫よ、あんな呪詛如きに私達は負けない!」


 突然レッドが、強気な事を言い出した。


 「レッド、手はあるのかい?」

 「勿論、パンプキンファイヤーをぶっぱなすわ!」

 「オッケー、魔王印ブースト発動!」

 「うん、ブーストありがと♪ 行くわよ♪」

 「「パンプキンファイヤー!」」


 俺はレッドを信じて自分お魔力を流し込み、彼女の魔力をブーストした。


 パンプキンオーからは魔力の熱線でⒽなく、神聖な金色の光が放たれる。


 その一閃は、敵の呪詛の壁を射抜き穴を穿った。


 「やった、あの穴から敵の体内へ行けるのだ!」


 グリーンが叫ぶ。


 「良し、リュウギョオーも一緒に一寸法師アタックだ!」

 『了解いたしました!』


 俺達のパンプキンオーと、シルバー達のリュウギョオーがボスへと突っ込む。


 ボスの体内、ブラックハニワの本拠地は弥生時代に似ていた。


 スペースコロニーみたいに、広大な草原の上に弥生時代風な集落が広がる。


 「日本史の教科書の挿絵見たいな所ね!」

 「住民全員が敵って所以外はそうだね!」

 「罪のない人達には手出ししないとか言ってられません!」

 「国民皆兵って奴でさあ!」

 「どんどん巨大化して襲って来たのだ!」


 三角形の家や、高床式の建物に見惚れる暇もなく。


 生身サイズから、巨大なハニワ兵に変身して敵が弓矢や槍で襲い来る。


 『ハニワ兵は全滅で~~っす!』

 『ゴールド、怒りに飲まれてはいけません!』

 『ゴールド殿、頭脳はクールにでありますよ!』

 『ゴールドさんが荒ぶてtます~~~っ』


 リュウギョオーは虚空から金色の巨大土偶を召喚して、ハニワ兵を相手に大暴れ。


 「良いの、あっちは好きにさせて?」

 「ああ、リュウギョオーはそのまま攪乱してもらおう」

 「私達はボスを仕留めるですね」

 「ゴールドの嬢ちゃんの怨み、あっしらで晴らしやしょう」

 「奥の高床式御殿から高エネルギー反応なのだ!」


 雑兵はリュギョオーに任せて、パンプキンオーを飛ばしボスの居城を目指す。


 飛行しつつ巨大な弓、パンプキンアローで炎の矢を放ちボスの護衛を倒して行く。


 高床式御殿が爆散し、巨大な鬼婆が飛び出して来た。


 「我が名は女王ヨミコ! 我が領土を荒らした罪、死んで償え!」


 巫女服着た巨大なゾンビ肌の鬼婆が、これまた巨大な包丁の二刀流で襲って来た。


 「そっちこそ、地球を荒らしドグ―星を奪った罪を償え!」

 「自分達の悪行を棚上げするな!」

 「パンプキンカナボウでお仕置きなのだ!」

 「ぶっ飛べ、鬼婆!」

 「フルスイングでございます!」


 迫り来る包丁のラッシュを、金棒でガンガン打ち返して行く。


 「私は剛腕スラッガーよ♪」

 「かっ飛ばそうぜ、ホームラン!」


 パンプキンオーが一本足打法で金棒を振るい、女王ヨミコを弾き飛ばす。


 「おのれ~! ドグ―星人の手先め、呪いあれ~!」


 距離を取った女王ヨミコが怨嗟を込めて呪詛を吐き出す。


 漆黒の文字が実体化して襲い来る、さっきもみた技だ。


 「そんな呪い、私がいる限り効かないわ!」

 「レッド、魔法も神聖な力も両方使えるんだよな」


 うちのレッドは、神がかっていた。


 レッドから金色の光が溢れ出す。


 「ちょ、そんな機能付いてないはずなのだ!」

 「グリーン、これはレッドの力です」

 「神様、レッド様てやつでさあ♪」

 「パンプキンオー、伊勢神宮でお祓い受けてるから神器になるって♪」

 「いや、レッドは誰と話してるの?」


 何か、レッドの背後に天女みたいな女性の姿が見えた気がした。


 パンプキンオーが金色に輝き、呪詛を消滅させた。


 「ナイト、ぼさっとしないで一緒に行くわよ♪」

 「ああ、パンプキンブレード!」


 レッドに声を掛けられて正気に戻った俺、彼女と一緒に期待を操作する。


 「一緒に叫んで!」

 「わかった!」

 「「天下抜刀、神威大成敗っ!」


 パンプキンブレードの刀身に虹色の光が灯る。


 「ぐわっ! なんだその輝きはっ!」


 女王ヨミコが恐れおののき動きを止める。


 虹色の刃は女王ヨミコの体と魂を、唐竹割りに斬り捨てた。


 虹の光の柱が上がり、天を突き破る。


 俺達が女王を倒し、大穴をあけた事でヒーロー達が増援に来た。


 皆で残敵の掃討を行い、外へ出てから全員の光線で破壊した。


 かくして、ブラックハニワとの戦いは早期に決着がついたのであった。


 だが、それはそれとして俺にはレッドに関して謎が出来たのであった。

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