第42話 マカイジャー、宇宙へ 前編
新たな敵、ブラックハニワ。
敵の狙いは、ドグー星人諸共に地球の絶滅。
敵の大将、女王ヨミコが地球全土に宣戦布告して来た。
白髪でゾンビみたいな灰色の肌に白い着物。
黒い埴輪の仮面の下の素顔は謎だがオーラはヤバかった。
テレビの画面越しでもヤバい圧を持ったボスだと思ったよ。
「相手は完全に敵対的だし、やるしかないかな?」
「無闇な争いは駄目だけど、地球全土に戦争吹っ掛けて来た以上はね」
俺と勇子ちゃんは互いに、顔を突き合わせて語り合う。
「ド、ドグ―星が取り返せない状態にされてました~っ!」
俺達の傍でグー子さんは、テレビの内容を思い出してパニックになっていた。
新たな敵が現れようとも普段と大体変わらない、俺達の教室。
仲間となったグー子さんと俺らは、前回戦った敵について話していた。
クラスの話題も、ブラックハニワでもちきりだった。
「そうよね、いつか取り戻せたらと思っていた故郷の星がああなるとはね」
勇子ちゃんがグー子さんを見て、憐憫の溜息を吐く。
「惑星を改造して巨大ロボ作るって、敵もやばいな」
俺もグー子さんが可哀想だと思った、夢を語り己を鍛えた彼女を見て来たので。
テレビで見たがドグ―星は、敵の手により巨大な黒い埴輪ロボに改造されていた。
侵略兵器になった以上、戦って破壊しないと地球どころか太陽系が危ない。
地球に逃れて来た一万人のドグ―星人は、取り戻す故郷を失ってしまった。
「グー子さん、覚悟を決めて地球を守りましょう」
「グー子さんの故郷はもう地球だよ」
クラスの学級委員達が来てグー子さんを慰める。
「はい、悲しいですがこの第二の故郷を皆さんと守りたいです!」
故郷を取り戻したいと言う夢を、見事に敵に壊されたグー子さん。
「ヤバい敵のはずだけど、私達の中のあの子達の反応は無いわね?」
「ああ、まだその時じゃないんだろう」
俺と勇子ちゃんの魔力で育成中のキングゴートとクイーンゴートは目覚めない。
ゴートランドの国難ではないから動かない。
と言う薄情な理由ではなく、まだ三割ほどしかできていないと言う感じだ。
宝玉の勇士も十人揃っていないから、城もロボにならない。
「装備の強化は無し、出せる手札で戦おう」
「ええ、暫くは攻めて来たハニワ兵を倒して行きましょう」
「はい、ハニワ兵は全滅です!」
俺達の言葉にグー子さんが拳を握る。
今のグー子さんなら、ハニワ兵をサバ折りで粉砕しそうだ。
「進太郎、ブラックハニワの所にカチコミに行きましょう♪」
「勇子ちゃん、女子だけど男前な所が良いね♪」
「え、お二人共何を言ってるんですか?」
「いや、全滅って言ったでしょグー子さん?」
「その心意気、進太郎と私が汲み取ったわ♪」
俺と勇子ちゃんの言葉に、グー子さんがキョトンとしてる。
「グー子さんも仲間なんだから、一人で殴り込みとかさせられないよ♪」
「ええ、私と進太郎は仲間を見捨てないわ♪」
「お、お二人共敵の戦力差とかご存じでは?」
「ああ、家もヒーロー協会が出した討伐依頼の応募に参加してるんだよ」
「宇宙に慣れている人がいるから心強いわ♪」
ギョリンから依頼に参加できると連絡を受ける。
日本のヒーロー達を纏める組織、日本ヒーロー協会。
協会はブラックハニワを宇宙にいる内に叩くべしと、依頼を出した。
ゲームで言うレイドボス戦である。
俺達マカイジャーも、申し込みはしており参加する事となった。
「魔王達、宇宙での戦いに参加できるんだ?」
「グー子さん、あの二人と組めば行けるよ♪」
「悔しいけれど、あの二人は家のクラスの実力者だし」
「私達は、地味に地球に来た敵を相手に頑張るから♪」
クラスの連中は、俺と勇子ちゃんではなくグー子さんを応援していた。
三日後、宇宙仕様に改修されたパンプキンオーとリュウギョオーで宇宙に出た。
「レッド、何かテンション上がってない?」
「うん、何かワクワクして来た♪」
コックピット内で変身した姿で語り合う。
宇宙に出たらレッドのテンションが上がった。
「地球は青かったですねえ♪」
ブルーが外部モニターを見て呟く。
「あっしも嬢ちゃんと同じで、月からバフが来てやす!」
イエローも興奮気味だ、狼男だし欠けない月の影響があるんだな。
「マカイジャースーツは宇宙服としても優秀なのだ♪」
グリーンがマスクの下でドヤ顔する。
『こちらシルバー、リュウギョオーは順調に航行中です』
リュウギョオーから通信が入る、シルバー達も無事な姿が見られた。
『宇宙怪獣も狩って食べて良いんでしょうか♪』
『ピンク殿、そんな暇はないであります!』
『ピンクさん、食いしん坊なんですか?』
『ああ、皆さん? マカイに戻れば宴席を設けますのでお静かに?』
通信からシルバーとホワイトが苦労しているのが分かった。
「見えて来た、でっかい船だな?」
「流石は満月寺重工、巨大ロボット用の空母まであるのね」
『マカイジャーの皆様、確認いたしましたわ乗艦なさって下さいませ♪』
俺達の機体のコックピット内にデジタルスクリーンが展開した。
画面の中から、黄色いパイロットスーツ姿の満月寺さんが顔を見せる。
「ありがとう、同乗させてもらうわ♪」
「お世話になります」
俺とレッドは満月寺さんにお礼を言う。
パンプキンオーとリュウギョオーは、超巨大な白い宇宙空母のハッチに入る。
巨大ロボを福数体搭載できる宇宙空母持ちが、俺達の知り合いにいて良かった。
俺達は、機体を空母内の格納庫のハンガーにセットさせる。
モニター越しに格納庫内を見回せば、以前試合をした巨大ロボのムーンライザーもハンガーにセットされていた。
「これで、太陽系を出るまでは一休みかな?」
満月寺さんの空母でゲートを開いてもらい、銀河系迄はのんびりと思っていた。
だが、ハンガー内に警報が響き渡り俺達のックピットにもスクリーンが浮かぶ。
『マカイジャーの皆様、敵襲ですわ! 乗車賃代わりに働いて下さいませ!』
「任せて、私達の腕前で払ってあげる♪」
「さて、それじゃあ皆? まずは太陽系を守ろうか!」
入って間もないと言うのに空母から出撃した俺達。
敵は漆黒の武者型ロボ、巨大ハニワ兵の五機小隊。
バズーカやライフルで武装した敵が攻撃して来た。
『空母はやらせませんよ、アイスシールド!』
リュウギョオーが水流砲を撃てば、巨大な氷塊が生成され敵の玉を防ぐ。
「こっちも行くぜ、パンプキンアローだ!」
「必殺必中、」バーニングアロー!」
「宇宙でもパンプキンオーは強いのだ!」
「ビームライフルよりも強いですぜ♪」
「南無八幡大菩薩でございますね♪」
「ブルー、天照様にもお祈りしときなさい♪」
パンプキンオーが放った、太陽の紅炎の如き炎の矢。
必殺必中に嘘はなく、バズーカハニワ(仮)を一発で木っ端微塵にした。
「太陽が私に力をくれる、宇宙で私に喧嘩を売った事を悔みなさい♪」
「お月様もあっしらにお味方してくれてやすぜ~♪」
レッドとイエローのテンションと魔力が上がる。
「よし、リュウギョオーは引き続き空母の護衛を頼む!」
『了解いたしました、撃破はお任せいたします』
俺の指示に従い、リュウギョオーは巨大な氷塊ごと移動する盾となった。
「よし、残りの敵も撃破して行くぞ! パンプキンクナイだ!」
「白兵戦はナイトに見せ場を上げるわ♪」
「ありがとう♪」
今度は俺がレッドに代わり、攻撃の操作を行う。
「うっしゃ、ぶっ飛ばしますぜ坊ちゃん♪」
「プリンスとレッドは、隙あらばイチャイチャなのだ♪」
「まあ、殿下達ですから♪」
いや、お前らなあとか思うが貰った見せ場は決めて見せる。
「パンプキンクナイ・ライトニングスラッシュ!」
俺の操作で苦無の二刀流状態になったパンプキンオー。
機体から金色のエネルギーを放出し、稲妻の如く動き回り残る敵の心臓部を全て苦無で貫いて行き爆散させる。
これが俺達の宇宙での初の戦果となった。
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