街で過ごしながら、魔物を倒す ②
周りから見てみたら、俺の使い魔がクラなんだろうけれど。俺にとってはクラは家族だしなぁ。
使い魔とそれと契約している人たちの関係ってどういうものなんだろう?
家族としてのものだったり、戦友としてのものだったり、ペットとしてのものだったり色々なのかな。
使い魔と一緒に入れるお店を見ていたら、そこのオーナーに声をかけられた。
「君、お店を見てどうしたんだい?」
「俺にも使い魔のような存在がいるので、一緒に入れるかなと」
そう言ったら、そのオーナーの男性は笑ってくれた。
どうやら使い魔という存在が好きらしい。そもそもそういう風に使い魔と呼ばれる存在を好きでなければこんなお店などやらないだろう。地球でいうペットカフェ的なものだ。使い魔と呼ばれる存在の中には、お店に入れるのが難しい種族もそれなりに多いらしい。そもそも大きさによっては街中に入れるのが難しいとかもあるようだ。
確かに人よりも大きな、人を乗せて運べるような使い魔だと普通に街に住んでいる人たちにとっては怖ろしいだろうし。街中に入れられないレベルの使い魔と一緒に過ごすだと大変だよな。
体の大きさとか変えられるならともかく、そうでないなら一緒に旅をするのも一苦労だろうし。
「今度、君の使い魔を連れてきてくれ。是非、見てみたい」
「はい。そうさせてもらいます」
使い魔の話をしながら、店内も見させてもらった。
お客さんが連れている使い魔は様々な種類が居た。俺はその魔物たちを見ているだけでも楽しかった。
人に撫でられるのが好きだという小柄な使い魔の頭を撫でさせてもらったりした。
ただ主人以外には頭を撫でさせないぞというタイプの使い魔もそれなりにいるらしく、撫でれなかった子もいた。
クラも家族以外に撫でられることを嫌がる方なので、それと似たようなものだろう。
俺としては色んな使い魔と接することが出来て大変満足である。
その使い魔のお店には今度、クラを連れて訪れることにする。
その後は他にも似たようなお店があるかなどを調べに行った。あと使い魔と一緒に参加できるイベントなどもあったりするらしい。そのイベントがあるのはこの国ではないらしいけれど。そういうのいつか見に行きたいななどと思う。
ついでに神獣と呼ばれる存在についても色々調べてみた。
母さんの姉にあたるイミテア様にもそう呼ばれる存在がいるらしい。ちなみに母さんの神獣に関しては母さんの口から一言も聞いたことのないクダラという神獣はそれなりに有名らしい。母さんの名をよく口にしているだとか、時々、人の世界で暴れているとか。うん、まぁ、人の世界で認識されるようなことを行っていなければそもそもそのクダラって人が母さんの神獣だと認識されることはなかっただろう。
そう考えるとクダラという神獣を名乗っている人は結構好き勝手しているんだろうなと思う。
母さんが望んでそのクダラを動かしているわけでもないのに、その行動まで母さんの責任にされているのは何とも言えない気分だ。あと母さんにとってその他大勢でしかないのに、勝手に母さんの神獣を名乗っているのも。
そういう自称母さんの神獣からしてみれば本当の神獣であるクラのことをどう思うだろうか? 身勝手な理由でクラに怒りを示す可能性もあるかもしれない。
……だって周りの評判を聞く限り、そのクダラって存在は中々問題児っぽいから。
そんなことを考えながら使い魔に関する道具やおやつを売っているお店に行った。
そのお店にはすばやさなどをあげるような魔法薬もあった。こういうものを食べさせて戦闘の場に役立てたりするらしい。使い魔の種族ごとに好みそうなおやつが置いてある。
クラは神獣なのでどれでも食べれそうだけど、猫系統の使い魔が食べるものをいくつか買い込む。地球に居た頃もそういうおやつを好んで食べていたので喜ぶだろう。
ちなみに使い魔というのは、戦闘に使う場合と観賞用……要するにペット扱いの場合と様々なようだ。大体ペット扱いをしているのは王族や貴族と言ったものばかりのようで、冒険者が使い魔を連れている場合は一緒に戦う用らしい。
金持ちの中にはペットを買っては処分し、というのを繰り返している残虐な存在もいるようだ。しかし権力者であればあるほどそういう行為をしていても、まったく咎められることもないのだと聞いた。
うん、権力社会とはそういうものだよなぁ……。俺はそういう権力者たちとはやっぱり関わりたくはないなと思った。
あとは冒険をするにあたって、使い魔を沢山持っている人もいるそうだ。ただし、そういう使い魔との契約は結構魔力を持っていかれるらしく、複数契約できるのはよっぽど魔力量が多い人だけのようだ。
なるほど。漫画とかでみた英雄になる感じの主人公系キャラはそうやって使い魔を大量に持っている感じなのかな?
そうやって街をぶらぶらした後、フォンセーラに「使い魔持たないの?」と聞いたら「必要ないから、持ってないわ」とばっさりと言われた。
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