正気のとき、断捨離ってできない!

日本語の通じない人間に、よっぽど譲歩してやっと会話を終えたあと、もちろん何も収穫はないので、崩れ落ちた膝の痛みを思い出しながら、脱力し、涙だけが動いている。


飽和した共用スペースの私物を、既にものの溢れかえっている自室に移そうと、既に捨てることを諦め、容れる作業にだけ専念する中でふと、「容器とは秩序なのか」と気づいた。


床にばらばらに散らばるプリントの流れには、たしかに時間の流れがある。ノートも、順繰りに書かざるを得ないので、同様だ。


捨てられなかった靴箱や、ついついときめき取っておいてしまうお菓子の箱も、中には時間の流れがあった。


地層のように在る、遠くから見れば絶望するような山も、容器によってその細部には秩序が宿っていた。


片付けとは、混沌を秩序に収めていく過程なのか、と知って、それとこれとは関係ないので、私は涙を流し続けた。

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