第4話 雄叫びと始まり

『よっしゃあぁあぁぁぁ!!!!!勝ったぞ!!』


秋は嬉しさのあまりに雄叫びを上げて喜ぶ。



ディスの方を見ると大当たりはしていなかった。ただ、負けたにも関わらず爽快感のある顔をしており、秋は不思議に思ったのでディスに話しかけた。




『ディス、なんで俺に負けたのにそんな嬉しそうっていうか満足感たっぷりの顔してんの?一周回って負け惜しみか?』


と、いかにも調子に乗りすぎな発言をする秋。



ディスはそんな秋の様子には触れず、事の真実を秋に話した。



『秋、お前と儂が戦ったのはな

お前の中にある能力を引き出したくて、

あえて勝負したのじゃ。もちろん約束通り儂からも能力を授けることもするぞ。だが、自分の中から生まれた能力というのは、授けられた能力よりも遥かに強い。お前がこの世界を冒険する上で使って欲しいのは、“エミトライセプス”、即ち『特別な時間』を導く能力じゃ。光の中に居た時に声がしたじゃろ。あれは能力の中にいる強い念の集まりじゃ。確変は必ず引けるものではない、ただ、強い念さえあれば引ける、この強い念はお前が生前持ってたから一番わかるかの。

この能力はいつも使える訳ではない。お前が最大限のピンチになった時、誰かを助けたいといった有事の際に使える能力だ。乱用は出来ないからそこは注意じゃ。』



『ディス...ありがとうな。でも俺って普通の人間なのに能力とかあるんだな。』


『人は誰しも魂の中に念もある。念の中には人の心を動かす原動力があり、この世界ではそれが特別な能力として具現化できるのじゃ。本当は人間界でそれが出来ればいいんじゃが、人は頭が良すぎて能力の乱用の懸念があったから、禁止にしておる。この世界はざっくり言うと能力がないと戦えないから使える様にはなっているんじゃよ。』



秋はその言葉を聞き、確かに人間界で俺の能力あったら、乱用者続出で大変なことになるしな...と納得していた。


『でもディス、俺が勝ったら能力授けてくれるって言ってたけどさ、どんな能力くれるの?』



『そうじゃな、この世界には沢山のモンスターがおる。生身のお前だと攻撃されたらすぐに死んでしまう。防御特化の能力か、

攻撃特化の能力もあるがどれを選ぶ?』



『でもさ、敵と戦えばレベルアップとかはするの?』


『レベルアップはもちらんあるぞ。

台の中の世界といえど、経験値は貯められるから安心せい。』



『そうであれば、死にたくないから防御特化の能力が欲しい。あとはこの世界の雑魚モンスターバンバン倒して、レベルアップして攻撃力もつけてくぜ!』




『わかった。そしたら今授けるから

儂の手を触るのじゃ。』



秋はディスの手を触ると温かい光が出てきた。



そして、秋の体の中で何かがストンと落ちたかの様な感覚になった。


『能力授けたぞ。早速使ってみるか?』



『おう、ありがとう。使ってみるってどうやって?』


秋は、呪文を使って防御するのかと思っているのでディスに使い方を尋ねてみた。



『ライトニング!!!』




は?



『ちょっと待って何やってんだよ!!


うわぁーーーー!!!!』



ディスは突然秋に雷を落としてきた。




『...あれ?全然痛くない。どう言うこと?』



『ふふふ。お前の体はもう鉄壁の防御が纏われているから雷くらいでは死なないぞ。ちょっと驚かせてみたかったんじゃごめんの。』





ディスのチャメっけたっぷりの発言に、

怒りに満ち溢れている秋。


『ってめぇ!!!!!死ぬかと思ったじゃねぇかよぉーー!!!』



『ごめんごごめんご。よし、これで秋は二つの能力を得た。あとはレベル上げしてボス戦に備えるのじゃよ♡』



もはや現代の少し前のギャルみたいな雰囲気のディス。秋は疲れすぎて流す事にした。



『よし、これで俺は二つ能力を得たのか。

でも、今日は疲れたから寝てえよ...。』



『そしたら、隣町の宿泊施設があるはずじゃからそこへ行くかの。宿泊代はこの世界の概念にはないからこのまま泊りに行けばよい。』



『まじかよ。パチンコ台の世界最高すぎるな...』



秋は、二つの能力と得て

寝床まで得ることが出来そうなので、

意気揚々と隣町まで歩くのであった。



続く

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