第15話 蛇の足

 項覇は西の果ての砂漠を征く


 昼の灼熱をテントでしのぎ目をつむる。


 劉堅とは故郷への凱旋に送り出されたっきり会っていない。


 西方で受け取った文は三通。冒輝との戦い方と……


 ♠

 項覇は凄い奴だ。俺の描く天の先を走る。

 俺の内にある天にお前をしまい込むのは難しい。

 俺の右手として働けば、

 不倶戴天の関係になるだろう。


 西方の民と共に冒輝と決して引けぬ戦いに挑むことになる。

 授けた策にて万の命をお前に賭ける。

 命の数は平等だが、お前は私の天を越えた唯一の漢だ。


 今一度はっきり言おう。

 項覇の天は俺の外にある。

 勝敗関わらず西へ消えるがいい。


 直接会えないことが残念だ。


 追伸

 以前、空箱を送ったが意味が伝わると思った俺が馬鹿だった。


 ♠

 項覇は砂漠の商人から西に海があるとを聞き、目指す。

 果ての海のそのまた果てに、劉堅がいる気がした。

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愚将項覇伝:万死を生んだ漢の物語 由兵衛(よしべえ) @you_hey_cool

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