第6話 仕事の名目

☆(鴨川佐奈子)サイド☆


私は絶対に許す事は無い。

それは現にイッチーと付き合っているイッチーの浮気相手の事だ。

私はその相手と地獄に堕ちるつもりだ。

それも一緒に。


じゃないと私はとてもじゃないが腹が立って仕方がない。

思いながら私は部活を終えてから.....そのままイッチーを見る。

「イッチーは彼女さんと一緒に過ごすの?」という感じでニコニコしながらだ。

するとイッチーは少しだけ怪訝な顔をしてから「まあな」と返事をする。

私は詰めた質問をする。


「ねえねえ。一緒に行っても良いかな?私その人に会ってみたい」

「え?いや。会ってどうするんだ。.....俺としては会っても仕方がないと思うぞ」

「そんな事はないよ。.....大いに意味がある」


そうだ。

イッチーを地獄に落とした奴ならそれなりの顔だろう。

思いながら私はイッチーを見る。

するとイッチーは悩みながら「うーん。まあ会っても良いけど」と切り出した。

私は(よし)と思いながらニコッとする。


「.....取り敢えずアイツを驚かせてもしゃーない。連絡しておこう」

「そうだね。.....うん。それが良いよ」

「?.....お前何か考えているのか?」

「何も?」


考えては居る。

殺人は良くないので.....ならネット社会で殺す。

そう考えている。

相手がどんな形であろうが私の知った事ではない。

イッチーは私のものだ。


「じゃあ.....よし。メッセージを送った。.....んじゃまあ行きますか」

「そうだね」


そして移動を開始してから私はマスクを着ける。

仮にも有名なアイドル様だ。

こうしないとファンが寄って来る。

それは肝に銘じておかねば。



駅前まで移動する。

それからイッチーは駅前で待っている女子に声をかける。

そうかコイツか。

この女が中路苑香という女か。


「初めまして」

「.....初めまして。あはは」

「えっと.....お名前は?」

「私ですか?ジョンスミスにしておいて下さい」

「え?ジョンスミスさんですか?」


中路の姿を見る。

黒髪のボブに確かに可愛い顔立ちをしている。

ぶりっ子とは言わないがそんな顔立ちだ。

薄化粧をしてからの小顔である。


だが私の顔にはもはや.....嫉みの対象しか映らない為。

正直言って歪んでいるものしか見えない。

コイツが中路苑香か。

やはり聞いていた通りだ。


「.....えっと.....ジョンスミスさんは.....ヤマキとはどういう関係ですか?」

「恋人です」

「お、お前冗談がすぎるぞ!?」

「.....まあそれは冗談で。.....まあでも親しい間柄です」


瞬間。

真顔になった中路。

だが直ぐに笑顔を取り戻してから「そっか」と返事をする。


それから「じゃあ移動しようか」と言う中路。

そして喫茶店にやって来た。

と言っても小洒落たカフェだが。


「ヤマキは何を注文するの?」

「.....俺か。.....俺はまあ気にするな。考える」

「あはは。変なヤマキ」


(軽々しくイッチーを呼びやがって)と妬ましく思いながら私はメニュー表を見る。

すると美味しそうなフラッペ.....というか。

私が以前CMに出演していたフラッペが。

それを見ながら私は「これにする」と言いながら選択する。


そして3人で注文してから.....見合っていると。

イッチーが「話があるんだが」と切り出す。

それから数秒間沈黙してからイッチーは「お前と別れたい」と話す。

私はその様子をしばらく目線だけで観察する。

中路は「うん?何故?」と言葉を発する。


「.....お前は浮気しているだろ。.....そして寝取られただろ」

「ふーん。お金儲けしていたのバレちゃった?」

「.....いやバレたっ.....え?」

「仕事だからねぇ。私もお金儲けしないといけない。ヤマキと付き合うのに」


仕事.....いや。この女。

考えながら私はギリッと歯を食いしばる。

幸いにもマスクが邪魔している。

だからバレないけどめっちゃ最低だ。

ドクズだ。


「仕事とお付き合って全然別次元って思っているよ?」

「.....」


イッチーはまさかの言葉に呆れながら椅子に深々と腰掛ける。

私はその顔を見ながら中路を見る。

そして「めっちゃ穢らわしいんだけど」と私は言葉を発した。

すると中路は「何が?」とすっとぼける。


「.....いや。他人の知らないチン◯を自らの性器にぶち込んだって事でしょ?それを仕事としてずっと平然とか馬鹿なんじゃないの?穢らわしい」

「おい待て。佐奈子.....あ」

「.....もう良いよ。イッチー。面倒だ」


「佐奈子って貴方まさか」とそこまで言った野郎に「そうだね。私はアイドルの遠山佐奈子だけど。覚えておいたら?」と言う。

すると女は「待って待って」と苦笑する。

アイドルが「平然とち◯ことか卑猥な事を言って良いわけ?アンタ最低」と中路は苦笑しながら見てくる。


「残念だけど私はもうアイドルを引退した気で居るから。それに私はアンタを地獄に落とすつもりで居るしね。どうでも良いよ。アイドルはそのつもりでやっていた」

「私はそんなに悪い事をしたつもりっていうのはないんだけど。仕事だよ?」

「そう?私から見て悪質だと思うけど。.....私はアンタだけは絶対に許さない。中路苑香」

「.....そう。勝手にしたら?」


それから騒ぎを聞きつけた店員に「ごめんなさい。これお金」と渡してからそのまま「チャオ」と言って去って行った。

私はそんな中道の姿を見送りながらイッチーを見る。

「私達も出ようか」と言いながら。

そして謝ってから誰も居ないお店を後にした。

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